4歳頃は、ぐんぐん身長が伸び、毎年のように洋服が小さくなっていきますよね。
ただ、同級生とわが子を比べて、「うちの子は平均よりも身長の伸びが少ない?」と不安に思うこともあるのではないでしょうか。
「4歳児の平均身長って、どれくらい?」
「身長をもっと伸ばしたいけど、良い方法はないの?」
そんな不安を感じている親御さんのために、4歳児の平均身長や背を伸ばすポイントについて解説します。ぜひ参考にしてください。
4歳の身長・体重はどれくらい?発育・発達の特徴とは
4歳児の身長の平均や伸びについて、『平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書』をもとに詳しく解説します。平均値とお子さんの身長・体重を照らし合わせてみましょう。
さらに注意すべきポイントについても次のとおりまとめました。
- 4歳の男の子の平均身長は102.0cm
- 4歳の女の子の平均身長は100.8cm
- 4歳までの1年間で男女ともに約6cm伸びる
- SDスコアで身長が高いか低いかを確認しよう
- 男女ともに10歳頃から急激に成長する
- 背を伸ばす方法はない!個人差や遺伝の影響が大きい
- どうしても心配なら専門家に相談しよう
順に見ていきましょう。
※見出しの平均身長や体重は0〜6カ月未満の数値を記述しています。
4歳の男の子の平均身長は102.0cm
『平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書』によると、4歳児の男の子の平均身長は次のとおりです。平成12年との比較も掲載されていたので、ご紹介しておきます。
4歳児の平均身長(男) | 平成12年 | 平成22年 | 増減 |
4歳0~6ヵ月未満 | 101.6cm | 102.0cm | +0.4cm |
4歳6~12ヵ月 | 104.9cm | 105.1cm | +0.2cm |
4歳半未満と5歳未満とでは約3cmの差があり、同じ4歳児でも月齢によって身長差があります。
平均体重は15.99kg
体重についても同様にまとめてみました。4歳の男の子の平均体重は15.99kgでした。
さらに詳しく見るために、4歳半以下と5歳未満に分けてご紹介します。
4歳児平均体重(男) | 平成12年 | 平成22年 | 増減 |
4歳0~6ヵ月未満 | 16.15kg | 15.99kg | -0.16kg |
4歳6~12ヵ月 | 17.27kg | 16.92kg | -0.35kg |
4歳半未満と4歳後半とでは、体重差は約1㎏ありますね。
体格や骨格の違いで個人差が大きいので、あくまでも目安としてください。
4歳の女の子の平均身長は100.9cm
同様に『平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書』から、4歳の女の子の平均身長は次のとおりです。
4歳児の平均身長(女) | 平成12年 | 平成22年 | 増減 |
4歳0~6ヵ月未満 | 101.0cm | 100.9cm | +0.1cm |
4歳6~12ヵ月 | 104.3cm | 104.1cm | -0.2cm |
男の子の平均身長101.1cmと比べると1.0cmの差があります。
同じ月齢でも男女差が多少あることがわかります。
平均体重は15.65kg
体重については次のとおりです。
身長と同じく男の子に比べ約0.3㎏少なめですね。
4歳児平均体重(男) | 平成12年 | 平成22年 | 増減 |
4歳0~6ヵ月未満 | 15.73kg | 15.65kg | -0.08kg |
4歳6~12ヵ月 | 16.79kg | 16.65kg | -0.14kg |
男の子と女の子を比べた場合、わずかですが女の子のほうが華奢といった印象です。
しかし、これもあくまでも目安であり、個人差の大きい部分です。参考程度にご覧ください。
4歳から5歳までの1年間で男女ともに約6cm伸びる
3歳から4歳までの1年間で、男女ともに約6cm程度身長が伸びます。その平均値は次のとおりです。
4歳半未満平均身長 | 5歳未満平均身長 | 増加分 | |
男 | 102.0cm | 108.2cm | +6.2cm |
女 | 100.9cm | 107.3cm | +6.4cm |
幼児期の3・4・5歳は、平均して毎年6~7cmずつ身長が増えていきます。
個人差はありますが、毎年6~7cm程度成長していたら問題ないと考えていいでしょう。
SDスコアで身長が大きいか小さいかを確認しよう
厚生労働省のデータをもとに4歳児の平均身長と体重をご紹介しましたが、個人差が大きい部分です。さらに詳しく見るために、SDスコアで確認してみましょう。
SDスコアとは、平均値からの「ばらつきの大きさ」を表す数値です。
中央(平均身長)からの離れ具合が±2SD以内であれば問題ないと考えられます。±1SDにおさまるケースは全体の68.3%、±2SD内におさまるケースは全体の95.4%です。
‐2SD以下は全体の2.3%存在し、低身長と判断されます。低身長かどうかを判断するには、次の表をご覧ください。
平成12年度文部科学省学校保健統計調査報告書のデータをもとにファイザーが一覧表を作成しています。
もし子どもが平均身長-2SDの数値よりも低い身長の場合は、何らかの対策が必要かもしれません。
低身長に早く気づくには成長曲線を描くのもおすすめ
成長曲線は、子どもが生まれてから思春期までの成長を表にしたものです。
男女別にまとめた表が、母子手帳に「乳幼児身体発育曲線」として掲載されています。
線の枠内で推移していれば、問題ないと考えられます。身長や体重を測定するたびに書き込んでみましょう。
たとえ低身長であったとしても成長曲線のカーブに沿って背が伸びていれば大丈夫といわれています。
一方で、「ほとんど伸びない」「横這い」「減ってしまった」などは、重大な病気が隠れている可能性があります。小児科など専門医に相談しましょう。
男女ともに10歳頃から急激に成長する
子どもの身長が大きく伸びる時期は2回あります。
1回目が1歳までの乳児期、2回目が10歳前後から始まる思春期です。とくに思春期に訪れる成長期は「成長スパート」と呼ばれ、身長を大きく伸ばす重要な時期と言われています。
成長スパートの時期には男女の差があり、男子は13歳、女子は11歳頃です。女子のほうが先に成長スパートを迎えるので、小学校高学年頃は女子のほうが身長が高いケースも多く見られます。
しかし中学校になると一転、男子が成長スパートを迎え、13歳から15歳くらいまで急激に成長します。
この時期に伸びる身長は、男子で平均年間10~12cm・女子で年間8~9cmと言われています。
背を伸ばす方法はない!個人差や遺伝の影響が大きい
子どもの身長は、毎年6~7cm程度伸びていき、成長スパートでピークを迎えることがわかっています。しかし個人差や遺伝の影響が大きい部分なので、背を伸ばす確実な方法は証明されていません。
とくに遺伝の影響は大きいといえます。ある計算式を使えば、父親と母親の身長から子どもの最終的な身長を予測できるといわれています。参考程度に計算してみましょう。
男の子の場合:(父親の身長+母親の身長+13)÷2+α
女の子の場合:(父親の身長+母親の身長-13)÷2+α
参照:鏡雅代,田中敏章,緒方勤:日本人のtarget heightおよびtarget rangeの再評価.第37回日本小児内分泌学会,2003より
例えば、父親が170cm、母親が160cmの場合
男の子:(170+160+13)÷2+α=171.5㎝+α
女の子:(170+160-13)÷2+α=158.5㎝+α
残りの+αの部分は、生活や環境によって変化する部分です。
食生活や生活習慣など、成長にプラスの要素を取り入れていきましょう。
2割はこれからの生活環境で変わるかも…
約8割は遺伝によるものですが、残りの2割は生活環境によって変化します。とくに骨の成長にかかわる良い環境を整えれば、予想外に伸びる可能性も。
骨の成長にプラスになる要素として、次のようなことを意識してみましょう。
- タンパク質・ビタミン・カルシウム・マグネシウムを食事で摂る
- しっかり睡眠時間を確保する(成長ホルモン分泌のため)
- 適度な運動をする
- 毎日15分程度紫外線を浴びる(ビタミンD生成のため)
生活環境で身長を伸ばすことに関しては、次の記事も参考にしてください。
どうしても心配なら専門家に相談しよう
成長曲線と照らし合わせてみて、明らかに身長が低い場合や心配な場合は専門家に相談してみましょう。
相談先としては次のようなものがあります。
- こども病院・内分泌代謝科
- 大学病院小児科・内分泌外来
- 小児科の成長障害専門家
ファイザーの子ども成長相談室では専門医を検索できます。どうしても気になる方は、お近くの専門医に相談してみましょう。
低身長?4歳で平均身長を大幅に下回る原因とは
成長曲線やSDスコアに照らし合わせてみて、明らかに低身長だと判明した場合は、専門医に相談するのをおすすめします。
重大な病気が隠れているケースもあるからです。
どのような病気が隠れているか、代表的なものをご紹介します。
- 成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどの内分泌代謝の異常
- 骨や臓器に異常
- 染色体の変異による病気
- 子宮内の発育不全
順に見ていきましょう。
成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌が少なくなっている
低身長が指摘されるのは3歳児検診や学校の検診の場が多いようです。専門医を受診してみると、内分泌(ホルモン)の異常を指摘される場合も。
よく知られているのが成長ホルモンや甲状腺ホルモンの欠乏です。先天的な原因としては、生まれつき垂下体の発達が悪いなどが考えられます。後天的な原因は、垂下体の腫瘍などです。
内分泌の異常が疑われる場合は、血液検査やレントゲン検査をおこない、成長ホルモンの分泌が弱いことを確認します。成長ホルモンの分泌量が少ないと判明したら、必要に応じて投薬治療となります。
ホルモンの分泌に異常がない場合は骨や臓器に異常があるかも
ホルモン分泌に異常がなくても、心臓・肝臓・消化器などの重要な臓器に異常があると身長の伸びが悪くなる場合もあります。小児慢性腎不全もそのひとつです。
臓器の病気により、成長に必要な栄養が十分に取り込めないのが主な原因ですが、治療により病気が治れば身長が伸びてくるケースが多いようです。また、臓器の治療に加え、成長ホルモンを投与して成長を促す治療をする場合もあります。
染色体の変異による病気
軟骨細胞の異常によって骨の形成が阻害される「軟骨無形成症」と呼ばれる病気も手足が短く低身長になります。
成人男性で平均身長が130cm、女性で124cm前後と、手足が短いのが特徴です。
胴体に比べて頭が大きく、額が出て鼻の付け根が低い容貌も共通しています。1万人から2万人に1人程度発症し、その原因は染色体の変異だと判明しています。
軟骨が骨に置き換わる過程で異常が起こり、骨の伸びが阻害されます。全身への影響も大きく、脊柱管狭窄症や腰痛、中耳炎、歯列や嚙み合わせの異常など合併症も起こりえます。
成長ホルモンの投与や骨延長手術などの治療がおこなわれていますが、病気そのものを治す方法はまだ見つかっていません。
ほかにも遺伝子が原因で低身長になるものとして、ターナー症候群やプラダー・ウイリー症候群などがあります。どちらも成長ホルモンの投与などをおこなう保険治療が認められています。
子宮内の発育不全の可能性もある
母胎内での期間に応じた発育が標準より小さい場合、胎内発育不全(SGA性低身長症)と呼ばれます。
同じ性別・在胎週数の赤ちゃん100人中、小さいほうから10番目以内がSGA児と呼ばれます。
その原因は主に胎児の栄養障害が考えられていますが、原因としては次のようなものがあります。
- 母親の病気(糖尿病・環器性疾患・妊娠高血圧)
- 薬物摂取・飲酒・喫煙
- ウイルスの感染
- 染色体異常・遺伝子異常
このうち90%は2~3歳までに標準の成長に追いつきます。残り10%は追いつくことができず、低身長のままです。そういった場合も成長ホルモン投与による治療が認められています。
4歳児が身長を伸ばすためのポイント
重大な病気などが隠れている場合は別ですが、人より少し低いくらいであれば今後身長が伸びる可能性も十分あります。
そこで身長を伸ばすために家庭でできる取り組みを次のとおりご紹介します。
- 正しい食習慣を身につける
- 深い睡眠をとる
- 適度な運動で骨に負荷をかける
順に見ていきましょう。
正しい食習慣を身につける
この食品を食べれば身長が伸びるといったものはありませんが、好き嫌いなくバランスよく食べることは重要です。
とくに身長を伸ばすために重要な栄養素は次のとおりです。
- カルシウム
- マグネシウム
- 亜鉛
- タンパク質
- ビタミン
骨の土台となるのがタンパク質で、その上にカルシウムやリンがくっつくことで丈夫な骨となります。さらにマグネシウムが、骨の強度や弾力性を調節し、骨の健康維持に役立ちます。
ビタミンDとビタミンKは、カルシウムの吸収と石灰化を促進させ、亜鉛やビタミンによって、コラーゲンの生成や結びつきが活性化されます。
どの栄養素も重要なので、好き嫌いせずまんべんなく食べるよう心がけましょう。
とくに骨を強くするカルシウムは摂りたい
骨のもととなるカルシウムは積極的に摂りたい栄養素ですが、日本人のカルシウム摂取量は十分ではありません。
理由のひとつにカルシウムが豊富な海産物や小松菜などの青菜などの摂取量が減っているにもかかわらず、それに代わる乳製品の摂取量が増えていないことが挙げられます。
厚生労働省の『令和元年 国民健康・栄養調査結果』と日本人の食事摂取基準(2020年版)によれば、3歳~5歳児のカルシウムの1日あたりの平均摂取量と必要量を比べてみると、男女ともに不足しています。
年齢 | 1日あたりの必要量(㎎) | 1日あたりの平均摂取量(㎎) |
3-5 | 男:489 女:444 | 416 |
カルシウムを十分に摂り丈夫な骨をつくっておけば、骨折しにくい、骨粗鬆症になりにくいなど成人以降の骨の強さにもかかわってきます。積極的にカルシウムを含む食品を摂るよう心がけましょう。
カルシウムについてはこちらの記事も参考にしてください。
成長ホルモンを分泌させるために深い睡眠をとる
身長が伸びるためには成長ホルモンの分泌が不可欠です。成長ホルモンの働きは次のとおりです。
- 体の成長
- 体の修復
- タンパク質の合成促進
- 疲労回復
成長ホルモンは、寝付いてから2時間後までの一番深い眠りのときに大量に分泌されます。
夜更かしや浅い睡眠が続くと分泌されにくいので、深く良質な睡眠でなくてはいけません。
適度な運動で骨に負荷をかける
身長の伸びには運動が不可欠です。
骨が成長するときには、骨の先端にある「骨端腺」という部分から骨が伸びていきます。この骨端腺を活発に働かせるためには、適度な運動が効果的です。
走る、ジャンプするなど軽い刺激を骨に加えることで、骨端腺が活発に働き始めます
骨端線にある細胞を活発化させるためには、成長ホルモンの分泌が鍵を握っています。
睡眠中に分泌されるといわれる成長ホルモン。十分に分泌されるよう睡眠の質にもこだわりましょう。
骨端腺は思春期頃まで活動を続けますが、その後、思春期を終えると骨端線が閉じ、成長も止まります。骨端腺が活発に働く子ども時代の運動習慣は、背を伸ばすためにかなり重要のようです。
さらに運動をすることは睡眠の質を高める事にも繋がる
適度な運動は、深く良質な睡眠につながります。
しかも激しい運動よりは、軽めの運動を習慣的にするほうが睡眠の質を高めると考えられています。
「運動により睡眠は改善できます。ただし、運動は習慣づけることが大切です。ふと思い立って日曜日だけ10キロ走っても、睡眠の改善という面ではあまり意味がありません。それよりも毎日の通勤で片道15分ずつでも歩くほうが効果があります」(内田院長)
引用:日経ビジネス|運動の習慣で「睡眠が若返る」!
毎日15分~30分程度の運動習慣なら、家族で取り組めそうですね。
まとめ
このページでは、4歳児の平均身長と体重についてまとめました。さらに伸びなくなったり低身長が気になったりした場合のチェックポイントや対処法も解説しました。
最後に重要な点をおさらいしておきましょう。
- 4歳の平均身長は 男の子101.8cm、・女の子100.8cm
- 4歳までの1年間で男女ともに約6cm伸びる
- 男女ともに10歳頃から急激に成長する
- 低身長が気になる場合はSDスコアと成長曲線をチェックしよう
- 低身長の原因には病気が潜んでいる場合がある
- 身長を伸ばすポイントは、食事・睡眠・運動
骨の成長は、骨端腺が活発に活動している子ども時代に限定されます。その活動を補助するためには、良質な食事・睡眠・適度な運動が不可欠です。
家庭で取り組めることから始め、お子さんの成長をサポートしたいですね。