6歳といえば小学校入学を意識する時期。ほかのお子さんと比べ、成長が遅いと気になっている親御さんもいるかもしれません。
「わが子は小さめだけど異常じゃないよね?」
「今から身長を伸ばす方法はないの?」
そんな疑問にお答えできるよう6歳児の平均や成長についてまとめました。また低身長といえるケースやその陰に潜む病気についても解説。最後に身長を伸ばすコツについてもご紹介するので、参考にしてください。
6歳の身長・体重はどれくらい?発育・発達の特徴とは
6歳児の平均身長と平均体重について解説します。ご紹介する内容は次のとおりです。
平均より大幅に低い場合にチェックすべき項目もわかりますよ。
- 6歳の平均身長は男117.5cm、女116.7cm
- 6歳から7歳までの1年間の伸び率は約6cm
- SDスコアや成長曲線で確認しよう
- 男女ともに10歳頃から急激に成長する
- 背の伸びは個人差や遺伝の影響が大きい
- 2割はこれからの生活環境で変わるかも…
- どうしても心配なら専門家に相談しよう
順に見ていきましょう。
6歳の男の子の平均身長は117.5cm
文部科学省の令和2年度学校保健統計調査によると、6歳児の男の子の平均身長は117.5cmでした。
身長の平均値の推移は、平成6年度から13年度あたりをピークにその後は横ばい傾向です。
平均体重は22.0kg
6歳の男の子の平均体重は22.0kgです。
体重の平均値も身長同様、18年度をピークに横ばい傾向です。肥満児の割合も全体の3.65%と大きな変化は見られません。
急激に増えたり減ったりする場合は注意が必要ですが、毎年約1㎏程度体重が増加していればおおむね平均的だと考えられます。
6歳の女の子の平均身長は116.7cm
6歳女の子の平均身長は116.7cmです。
こちらも平成17・18年をピークに横ばい傾向です。
5歳前半の平均身長は107cmなので、5歳のはじめごろから小学校に入学し6歳の誕生日を迎えるまでに10cm近く伸びていることがわかります。
また、女の子は10歳・11歳頃が発達のピークです。この2年間だけは、男の子の平均を上まわりますが、女の子の平均は幼児のころから身長・体重ともに男の子をわずかに下回っています。
6歳の女の子は、男の子と比べてわずかに低いですが、大きな差はないと考えてよいでしょう。
平均体重は21.5kg
6歳の女の子の平均体重は21.5㎏です。身長と同じく男の子と比べてわずかに軽いです。ただし体重が標準の範囲内であっても、体重の増え方を観察する必要があるでしょう。
体重の予期せぬ増加や減少、成長曲線からの著しい逸脱は、基礎疾患を示唆している可能性があります。お子さまの成長を把握するために、月に一度は体重を測り、記録をつけることが大切です。
6歳から7歳までの1年間の伸び率は約6cm
6歳から7歳までの平均身長から計算してみると、男女ともに約6cm伸びていることがわかります。
『平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書』で見てみると、3歳から7歳までの間に平均身長は毎年6~7cmほど伸びています。
身長の高さには個人差はありますが、6歳から7歳にかけて6cm程度伸びていれば平均的な増加率です。
6歳平均身長 | 7歳平均身長 | 増加分 | |
男 | 117.5cm | 123.5cm | +6.0cm |
女 | 116.7cm | 122.6cm | +5.9cm |
125cmは低身長?身長が高いか低いかはSDスコアで確認しよう
文部科学省のデータより6歳児の平均身長と平均体重についてご紹介しました。
わが子の身長・体重と照らし合わせてみたところ、平均を下回った方は不安を感じたかもしれません。
しかし平均は全員の数値を合わせて人数で割ったものです。プラスとマイナスの幅や個人差があるので気にしすぎないようにしましょう。
平均身長より下でわが子の成長が心配な方は、SDスコアで確認します。SDスコアとは、平均値からのばらつきの大きさを表すものです。
中央(平均身長)からの離れ具合が±2SD以内であれば問題ないと考えられます。±1SDにおさまる子は全体の68.3%、±2SD内におさまる子は全体の95.4%です。
‐2SD以下は全体の2.3%存在し、低身長と判断されます。低身長かどうかを判断するには、次の表をご覧ください。
平成12年度文部科学省学校保健統計調査報告書のデータをもとにファイザーが作成した一覧表です。
この一覧では各月齢ごとに‐2.0SD値がわかるので、細かく確認できます。
この数値よりも大幅に身長が低い場合、重大な病気が潜んでいる場合もあり得ます。どうしても心配な方は、専門家に相談することも視野に入れましょう。
低身長に早く気づくには成長曲線を書くのもおすすめ
成長曲線は、子どもが生まれてから思春期までの成長を表にしたものです。
男女別にまとめた表が、母子手帳に「乳幼児身体発育曲線」として掲載されています。身長や体重を測定するたびに書き込んでみましょう。
たとえ低身長であったとしても成長曲線のカーブに沿って背が伸びていれば、問題ないと考えられます。
「ほとんど伸びない」「横這い」「減ってしまった」など異常に気づいた場合は、専門医に相談しましょう。低身長の原因となる重大な病気が隠れている可能性があるからです。
男女ともに10歳頃から急激に成長する
生まれてから1歳までの間に身長は急激に伸びます。その次に大きな成長が目立ってくるのは、10歳頃から訪れる思春期頃です。
思春期に大きく身長が伸びる時期は「成長スパート」と呼ばれ、男の子は年間10~12cm、女の子は年間8~9cm伸びるといわれています。
とくに身長が伸びるのが、男の子であれば中学生になった13歳頃、女の子の場合は小学校高学年の11歳頃です。
6歳は、成長スパートに入る準備期間といえます。成長スパートの時期に、大きく伸ばすためによい生活習慣や食生活を身につけておきましょう。
背を伸ばす方法はない!個人差や遺伝の影響が大きい
身長を伸ばす確実な方法は見つかっていません。個人差や遺伝の影響が大きく、背が高い両親の子どもは背が高く、小柄な両親の子どもは小柄なケースが多いですよね。
そこで、両親の身長をもとに子どもの将来的な身長がわかる計算式をご紹介します。計算式は以下のとおりです。
男の子の場合:(父親の身長+母親の身長+13)÷2+α
女の子の場合:(父親の身長+母親の身長-13)÷2+α
例えば、父親が170cm、母親が160cmの場合
男の子:(170+160+13)÷2+α=171.5㎝+α
女の子:(170+160-13)÷2+α=158.5㎝+α
もちろん必ず計算の結果になるとは限りません。食生活や環境によって変化する部分もあり、逆にマイナスの影響も考えられます。
2割はこれからの生活環境で変わるかも…
遺伝による要因が大きい身長ですが、残りの2割は環境的なものが影響します。栄養状態や生活習慣、運動習慣などがそれにあたります。日々の生活のなかで身長を伸ばすプラスの要素を多く取り入れましょう。
身長を伸ばすために重要な要素は、後半で詳しくご紹介します。
また、生活環境で身長を伸ばすコツについては、次の記事でもご紹介しています。参考にしてください。
どうしても心配なら専門家に相談しよう
成長曲線やSDスコアと照らし合わせてみて、低身長が疑われる場合は専門家に相談してみましょう。
とくに次のような場合は要注意です。
- 身長の伸びがストップした
- 成長曲線の基準から大きく下回っている
- ‐2.0SD値よりも身長が低い
相談先としては次のようなところがあります。
- こども病院・内分泌代謝科
- 大学病院小児科・内分泌外来
- 小児科の成長障害専門家
病院では、低身長が遺伝によるものか病気によるものかを調べます。
生まれてからの記録や家族・親戚の身長など判断材料を用意しておきましょう。
6歳で平均身長より小さくなる原因とは
6歳の時点で、「平均身長をはるかに下回っている」「身長の伸びがほとんどない」など異常を感じる場合は、重大な病気が潜んでいることも考えられます。
主な原因としては、次のようなものが挙げられます。
- 成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌低下
- 骨や臓器の病気
- 染色体の変異による病気
- 子宮内の発育不全
詳しく見ていきましょう。
成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌が少なくなっている
専門医を受診してみると、内分泌(ホルモン)の異常を指摘される場合があります。
成長ホルモンや甲状腺ホルモンの分泌が少なくなっている場合は、身長の伸びに大きく影響を及ぼします。
成長ホルモンは、脳の奥の垂下体という部分から分泌され、肝臓や骨に働きかけ身長を伸ばすのです。
分泌不全の原因で考えられるのは、生まれつき垂下体の発達が悪い先天的なものと垂下体の腫瘍など後天的なものです。
検査、血液検査やレントゲン検査ののち、成長ホルモン分泌刺激試験をおこないます。
検査の結果、成長ホルモンの分泌が少ないと判明したら、必要に応じて投薬治療となります。
ホルモンの分泌に異常がない場合は骨や臓器に異常があるかも
ホルモン分泌に異常がなくても、心臓・肝臓・消化器などの重要な臓器に異常があると身長の伸びが悪くなる場合もあります。小児慢性腎不全もそのひとつです。
臓器の病気により、成長に必要な栄養が十分に取り込めないのが主な原因ですが、治療により病気が治れば身長が伸びてくるケースが多いようです。
また、臓器の治療に加え、成長ホルモンを投与して成長を促す治療をする場合もあります。
染色体の変異による病気
染色体の異変により軟骨細胞の異常によって骨の形成が阻害されるのが「軟骨無形成症」です。
成人男性で平均身長が130cm、女性で124cm前後の身長で止まり、手足が短いのが特徴です。
胴体に比べて頭が大きく、額が出て鼻の付け根が低い容貌も共通しています。1万人から2万人に1人程度発症するといわれています。
治療方法としては、成長ホルモンの投与や骨延長手術などがおこなわれていますが、病気そのものを治す方法はまだ見つかっていません。
ほかにも遺伝子が原因で低身長になるものとして、ターナー症候群やプラダー・ウイリー症候群などがあります。
どちらも成長ホルモンの投与などをおこない、保険治療が認められています。
子宮内の発育不全の可能性もある
低身長になる病気にはさまざまありますが、75%は体質的なものとSGA低身長症です。
SGA低身長症とは、母胎内での期間に応じた発育が標準より小さい赤ちゃんのことを指します。同じ性別・在胎週数の赤ちゃん100人のうち、小さいほうから10番目以内がSGA児です。
その原因は主に胎児の栄養障害で、原因としては次のようなものが考えられます。
- 母親の病気(糖尿病・環器性疾患・妊娠高血圧)
- 薬物・飲酒・喫煙
- ウイルスの感染
- 染色体異常・遺伝子異常
このうち90%は2~3歳までに標準の成長に追いつきますが、残り10%は追いつくことができず低身長のままです。SGA性低身長症は成長ホルモン投与による治療が認められています。
6歳で身長を伸ばすためのポイント
6歳は小学校に入学する時期です。活動量も増え、筋肉も強くなっていきます。習い事や勉強で忙しくなり、睡眠や食事のバランスが崩れてしまうこともあるでしょう。
しかしこの時期の体作りは重要です。
そこで身長を伸ばすために重要なポイントを次のようにまとめました。
- バランスのよい食事を摂る
- 1日60分ほどの運動をする
- 1日9時間程度の睡眠をとる
- 足りない栄養サプリメントで補給する
順に見ていきましょう。
バランスのよい食事を摂る
身長を伸ばすためには、体を作る栄養素をバランスよく食べることが重要です。
とくに次のような栄養素を意識して摂るようにします。
- タンパク質:骨や筋肉を作る
- 炭水化物:エネルギー源になる
- ミネラル:成長因子を作る
- ビタミン:成長ホルモンや代謝を促進
牛乳を飲めば身長が伸びると思われていますが、カルシウムだけで身長は伸びません。同時にタンパク質を摂取し、吸収を良くするためのビタミンC・D・K・Bやマグネシウムなどのミネラルも必要です。
野菜や肉・海藻・ご飯など好き嫌いなく食べられるよう、日々の食事を工夫しましょう。
1日60分ほどの運動をする
運動をすると成長ホルモンの分泌を促します。とくに男性のほうが運動効果は顕著です。
2006年にアメリカで発表された「成長ホルモン分泌に対する性別と運動時間の影響」という論文のなかで、運動と成長ホルモンの関係が明らかになりました。
運動を30分・60分・120分継続した場合の成長ホルモン分泌量を男女別に測ったところ、60分以上の運動で成長ホルモンが多く分泌されることがわかりました。また60分と120分では大きな差がないことも判明しました。
つまり60分程度運動すれば、十分効果があるというわけです。できれば1日60分ほど運動をしましょう。
また、骨に縦方向の負荷を与えるのも有効といわれています。
特別な運動の必要はなく、歩く・走る・ジャンプするなど自然な重力の負荷で十分です。しかし、ハードな筋トレは要注意です。
「バーベルなどの器具を使ったウエイトトレーニングは、成長期の関節には強すぎる負荷がかかってしまい、骨の成長を止めてしまう可能性もあります。身長の成長が止まるまでは、避けたほうがよいいいでしょう」
引用:スタディサプリ|身長を伸ばす方法とは?(石川三知先生)
かけっこや鬼ごっこなどの普通の遊びで十分です。ひとりであれば、なわとびでも十分縦方向の刺激効果が得られますよ。
1日9時間程度の睡眠をとる
科学的研究により、睡眠は精神的な安定・体の回復・体のシステムの教科のために不可欠だとわかっています。
睡眠から十分な恩恵を受けるため必要な睡眠時間をアメリカのSleepFoundationは、年齢別で発表しています。
それが次の表です。
年齢層 | 推奨睡眠時間 | |
新生児 | 0~3ヶ月 | 14~17時間 |
子ども | 4~11ヶ月 | 12~15時間 |
幼児 | 1~2歳 | 11~14時間 |
未就学 | 3~5歳 | 10~13時間 |
学齢期 | 6~13歳 | 9~11時間 |
ティーン | 14~17歳 | 8~10時間 |
ヤングアダルト | 18~25歳 | 7~9時間 |
大人 | 26~64歳 | 7~9時間 |
この表によれば、6歳児は9時間から11時間の睡眠が必要だとわかります。
6時半に起きようと思ったら、夜9半時には寝る必要があります。たくさん寝る子であれば、夜8時に就寝できるとよいですね。
足りない栄養はサプリメントで補給する
身長を伸ばすために大切なことは次の3つです。
- バランスの取れた十分な食事
- 質の高い睡眠
- 適度な負荷の運動
栄養は食事から摂取するのが基本ですが、どうしても足りない栄養はサプリメントで補給することも検討しましょう。
例えば、亜鉛は身長を伸ばすのに有効な栄養素だといわれています。亜鉛は、たんぱく質や細胞内の遺伝物質、DNAなどを生成するための主要な成分であり、身体の成長を促す成分です。
しかし亜鉛単体だけが身長を伸ばすわけではありません。さまざまな成分と一緒になって効果を発揮するのです。したがってサプリに頼れば大丈夫ではないことを知っておきましょう。
正しい食事によってしっかり体を作りつつ、どうしても足りない栄養素があると感じた場合はサプリメントを利用するくらいがよいでしょう。
まとめ
このページでは、6歳児の平均身長と体重についてまとめました。さらに低身長に潜む病気や身長の伸ばし方のコツについてもご紹介しました。
最後に重要な点をおさらいしておきましょう。
- 6歳の平均身長は男117.5cm、女116.7cm
- 6歳から7歳までの1年間で男女ともに約6cm伸びる
- 低身長か調べる方法はSDスコアと成長曲線
- 男女ともに10歳頃から急激に成長する
- 成長は個人差や遺伝の影響が大きい
- 低身長には重大な病気が潜んでいる場合も
- 身長を伸ばすためには睡眠・栄養・運動が大切
6歳は小学校に入学し、心身ともに大きく成長する時期です。小柄だったとしても、正しい生活習慣を身につけていれば、10歳頃から訪れる成長スパートの時期に大きく伸ばすことも可能かもしれません。
まだまだこれから伸びるチャンスが十分ある6歳児。生活習慣や食生活を整えて、成長をサポートしていきましょう。