アスパルテームの危険性とは?発がん性や人工甘味料の毒性について解説

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人工甘味料の代表格であるアスパルテーム。

ダイエット飲料などカロリーカット商品に使用されており、強い甘みを感じるにもかかわらず、カロリーがほとんどないのが特徴です。

しかしカロリーが少ないからといって、大量に摂取すると人体への影響は少なからずあるようです。

  • 体への影響は?
  • 発がん性や毒性は大丈夫?

この記事ではアスパルテームの危険性、さらには体への影響や毒性についてご紹介していきます。

目次
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アスパルテームは危険性が高い?食品に使われる人工甘味料について

アスパルテームは砂糖に代わる甘味料として開発されました。甘さは砂糖の200倍あるので、砂糖よりも少ない使用量で同じ甘さを感じられます。

使用量が少なくなる分カロリーを気にしなくてよい点はメリットですが、気になる点もあります。ここでは、次の4つに分けて解説していきます。

  • アスパルテーム(人工甘味料)については賛否両論ある
  • 「アスパルテーム=悪」となったのは2014年のNature論文
  • 人工甘味料で気をつけたいのは「生理的反応」や「行動」
  • あくまで砂糖を摂取するよりマシと考えるのがよさそう

順に見ていきましょう。

アスパルテーム(人工甘味料)については賛否両論ある

アスパルテームについては賛否両論あります。否定的な意見があるなかで、メリットはどのようなものでしょうか。

そもそもアスパルテームとは、自然界には存在しない人工甘味料です。砂糖によく似た甘味で、後味にもクセがありません。また砂糖の主成分であるスクロースの約200倍の甘みが感じられることが特徴です。

カロリーは砂糖と同じく4kcal/gですが、甘みは200倍あるので使用量は砂糖の1/200で済みます。

「カロリーオフ」「糖質オフ」「ゼロカロリー」と謡っている商品に多く使用されており、摂取カロリーが少なく効率よくカロリー制限ができるとされています。

アメリカで開発されたアスパルテームは、コーラやペプシに採用され、世界で最もメジャーな人工甘味料のひとつとなりました。

日本では、1983年に厚生労働省が食品添加物として使用を認めています。国際的な機関で安全試験がおこなわれ、世界125か国以上で認可・使用されるようになりました。

参照:味の素株式会社|アスパルテームってどんなもの?

摂取しても血糖値は上昇しない

アスパルテームを含む人工甘味料の特徴の一つが「血糖値を上げない」ことです

通常、私たちが糖分を摂取すると、消化管でブドウ糖などに分解されて吸収されます。その際、吸収されたブドウ糖は血管内に入り血糖値を上昇させます。

しかし人工甘味料の場合、ブドウ糖を含まないため血糖値は上昇しません。

画像引用:味の素株式会社|「低カロリー/低糖質」とアミノ酸

また主成分はアミノ酸なので、虫歯や歯垢形成・酸の生成の恐れがないのが特徴です。そのうえ血糖値も上がりにくいことから、糖分を制限している方でも摂取しやすいというメリットもあります。

慢性的な健康状態を考慮して上手に活用すれば、必ずしも悪いものだとはいえないでしょう。

ただし長期的に糖尿病の予防ができた、肥満が解消されたという実績は現時点でないようです。

参考:PRESIDENT ONLINE 人工甘味料は内臓をダマす

一方でがんリスクの上昇につながるとの研究も

血糖値の上昇がない点ではメリットがある人工甘味料ですが、摂取量が多ければ「がん」のリスクが上昇するといわれています。

実際に10万2,865人のフランスの成人(試験開始時の平均年齢42.2±14.5歳、女性78.5%)を対象にした研究によると、人工甘味料の摂取が多い人は少ない人に比べてがんになるリスクが13%高いことが示されました。

アスパルテームに注目してみると、アセスルファムKやスクラロースなどのほかの人工甘味料よりもリスクが高めでした。

  • 乳がんリスク22%上昇
  • 大腸がんリスク15%上昇

「アスパルテーム=がんのリスクを上げる」と直接的な因果関係は結論付けられてはいませんが、ひとつの参考にしたいところです。

「アスパルテーム=悪」となったのは2014年のNature論文

アスパルテームの悪評が広まったのは、2014年に発表された有名科学雑誌Natureの論文。

実験では、市販の人工甘味料(スクラロース、サッカリン、アスパルテーム)を溶かした飲料水(約2%)をマウスに11週間摂取させたのち、グルコースを与えて血糖値のコントロール能力を判断するグルコース負荷試験をおこないました。

実験の結果、マウスに耐糖能に障害が起こることが判明しました。耐糖能とは、糖分を摂取して上昇した血糖値を元に戻す能力のことです。この機能が低くなると糖尿病になる可能性が高まります。

有名な科学雑誌が指摘した事実を発端に、一気に「アスパルテーム=悪」の印象が強まりました。

参照:NatureAsia|微生物学:人工甘味料の有害な影響

ペプシではアスパルテームを一時的に禁止に

Natureの論文の影響からアスパルテームの危険性が指摘され、消費者のダイエットペプシ離れが進みました。

そうした影響により、2015年ペプシコ(ペプシを販売している会社)は北米で販売するダイエットペプシにアスパルテームを使用することを中止しました

しかし翌年の2016年にはアスパルテームの使用を再開しています。

参考:USA TODAY
参考:日本経済新聞

ただし実際にはアスパルテームで異常は見られなかった

Natureに掲載されている論文によると、人工甘味料の実験で使用されたものは、アスパルテームのほかスクラロースとサッカリンです。

なかでも異常が認められたのは、アスパルテームではなくサッカリンでした。腸内フローラへ影響を及ぼし、耐糖能異常を引き起こしたようです。

あたかもアスパルテーム、スクラロース、サッカリンのすべてで耐糖能異常があるようなタイトルで書かれていたため、勘違いした人が多くいました。誤解を誘う不正確なタイトルに対する批判は免れないでしょう。

また別の大規模な調査によれば、各種人工甘味料の摂取が、直接的に糖尿病を引き起こすという証拠は見つかりませんでした。さらにアスパルテームが耐糖能異常の原因となったという実験結果は、今のところないようです。

参照:東洋経済|人工甘味料を「危険」と決めつけるのは問題だ
参照:日本糖尿病学会誌|人工甘味料と糖代謝

脳腫瘍、リンパ腫、白血病などの発症はいずれも動物実験である

耐糖能異常以外にアスパルテームを摂取した場合の影響として考えられているのが、脳腫瘍、リンパ腫、白血病など。

実際にアスパルテームをラットの餌に混ぜて投与したところ、リンパ腫と白血病の誘発が見られ、悪性腫瘍や多臓器発がん性も認められたとの報告もあります

ただしこれらの調査は、動物が対象の実験であり、人間に対する影響ではありません。

また人間を対象におこなった大規模な調査もありますが、アスパルテームと発がん性の直接の関係性は不明とのこと。アスパルテームの毒性を証明するには十分とはいえないようです。

参照:食品安全委員会|追加関連論文(アスパルテーム;ネオテーム関係)pdf
参照:食品安全委員会|アスパルテームに関する論文
参照:マイナビ薬学生|人工甘味料の摂取はがんリスクの上昇に関連

人工甘味料で気をつけたいのは「生理的反応」や「行動」

テキサス大学のジェニファーネットルトン博士は、2009年にダイエットソーダを毎回飲んでいる人と飲んでない人とを比較した大規模調査をおこないました。

その結果、ダイエットソーダを毎日飲んでいる人は、飲んでいない人に比べてメタボリック症候群や2型糖尿病を発症する可能性が高いことがわかりました

そこから得られる考察は次のようなものです。

  • 人工甘味料はエネルギーに変換されないため、かえって体がエネルギーを要求し食欲が増進する。
  • 脾臓は人工甘味料を摂取し続けると、本物の砂糖を摂取しても甘さに反応せず、インスリンの分泌をしなくなる。

つまり人工甘味料を摂取し続けると、インスリンの分泌がされない、もしくはされにくくなる「生理的反応」と、さらに甘いものを求めたくなる「行動」の変化がもたらされる危険性が生じるというわけです。

さまざまな論文でアスパルテームを含む人工甘味料の指摘がありますが、実際に気をつけたいのは人工甘味料入り食品の「食べ過ぎや飲み過ぎ」といえます。

低カロリーだからとつい摂取量が多くなりがちなので十分に注意しましょう。

参照:市民のためのがん治療の会『人工甘味料と肥満や糖尿病などの関係についての最新情報』

うつ病のリスクは高まるかもしれない

人工甘味料の強い甘みに慣れてしまうと、味覚が鈍くなり、自然な食品の甘さを感じ取れなくなる危険性も心配されています。強烈な甘みが神経の快楽中枢に影響し、中毒性を招くこともわかってきました

甘さを感じると幸せな気分になるといわれていますが、これにはインスリンの分泌が関係しています。

一般的にインスリンは、幸せホルモンであるセロトニンの分泌を増加させ、気分を高揚させる働きがあります。

しかし甘いものを食べてもインスリンが分泌されにくくなれば、セロトニンの分泌量も減ってしまいます。

その結果、うつ病の危険性が高まるというわけです。糖尿病患者にうつ病が多いのもインスリンの分泌が関係しているようです。

参照:農畜産業振興機構|脳の栄養~ブドウ糖(砂糖)とトリプトファンを中心として~

あくまで砂糖を摂取するよりマシと考えるのがよさそう

アスパルテームと砂糖を比較すると、アスパルテームの方が少量で甘さを感じられます。

そう考えると許容範囲内で少量のアスパルテームを摂取する方が効率的で、健康面でも負担が少ない可能性がありそうです。

「あくまで砂糖を摂取するよりはマシ」という考えを持ちながら、人工甘味料の特性をよく知ったうえで使うのがよいでしょう。

実際の摂取目安は0~40mg/㎏体重/日

食品添加物に関しては、厚生労働省が一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される「1日摂取許容量(ADI)」を設定しています。

アスパルテームは、JECFA(FAO/WHO 合 同添加物専門家会議)において0〜40mg/㎏体重/日と定められており、その数値が日本でも採用されています。

画像引用:食品安全委員会資料

厚生労働省では食品添加物について日本人の平均的な一日摂取量の調査をおこなっていますが、アスパルテームに関していえば一日摂取平均は体重50㎏の成人で0.055mgでした。1日摂取許容量が40㎎に対してアスパルテームの摂取の割合は、ほぼ0に近い結果となっています。

とくに偏った食生活でない限り、人の体に悪影響を及ぼすことはなさそうですね。

参照:厚生労働省|令和元年 マーケットバスケット方式による 甘味料の摂取量調査の結果について 

アスパルテームの危険性に関するQ&A

アスパルテームに対する危険性は動物実験の域を出ず、毒性がはっきりと証明されてないことがわかりました。ただし安全性への疑念は残ったままです。

そこでアスパルテームに関するよくある質問をご紹介します。それが次の4つです。

Q. アスパルテームの使用が禁止されている国はある?

Q. 人工甘味料が入っている食品には何がある?

Q. 安全な人工甘味料はある?

Q. 天然甘味料なら安全?

順番に見ていきましょう。

Q. アスパルテームの使用が禁止されている国はある?

A. 一時は安全性を疑問視されたアスパルテームですが、再評価され現在ではとくに使用を禁止されていません。

アメリカ・欧州・アジア・アフリカ・オセアニアなど125以上の国で1万品目を超える食品・ダイエット食品・医薬品などに使用されるほど普及しています。

動物実験で発がん性が指摘されたこともあるアスパルテームですが、その後再評価されています。

アメリカのペプシコがダイエットペプシに使用する人工甘味料をアスパルテームからスクラロースとアセスルファムカリウムに変更しましたが、その1年後には再びアスパルテームへ戻しています。

Q. 人工甘味料が入っている食品には何がある?

A. アスパルテームは、飲料・デザート・菓子・チューインガム・ヨーグルト・ダイエット食品・卓上甘味料などさまざまな食品に含まれています。

卓上甘味料で有名なのは「パルスイート」です。健康補助食品やダイエット食品、さらには薬品にも広く使われており、多くの身近な商品に使用されています。

アスパルテームはLフェニルアラニン化合物と表記されている場合もあります。

参照:アスパルテームを使用した商品のL-フェニルアラニン含量について

Q. 安全な人工甘味料はある?

A. 自然界のものを原料にした人工甘味料もあります。

人工甘味料には、自然界のものを原料に合成された糖アルコールと科学的に合成された合成甘味料があります。糖アルコールは、果物や野菜、発酵食品など自然界に含まれる甘味成分を人工的に抽出して作られています。 

代表的な糖アルコールは、キシリトール・ソルビトール・エリスリトール・還元水飴などです。

糖アルコールの代表的な3種の特徴は次のとおりです。

名称特徴使用商品例
キシリトール・原料は白樺や樫の木からとれるキシラン・ヘミセルロース
・酸を産まない
・虫歯の原因になりにくい
・溶けるときに熱を奪う
チューインガムタブレット
ソルビトール・ジャガイモやトウモロコシのデンプン由来
・溶けるときに熱を奪う
煮豆、つくだ煮、生菓子、冷凍すり身、さきいか、梅干し、菓子
エリスリトール・カロリーがほとんどない
・血糖値を上げない
・溶けるときに熱を奪う
飲料、菓子、健康食品、ダイエット食品

Q. 天然甘味料なら安全?

A. 天然甘味料は紀元前から使用されており比較的安全です。ただしアレルギーなどの心配があります。

甘味料は、糖質系と非糖質系の2種類に分かれます。先ほどの表を見ていただくとわかるように、天然甘味料は非糖質系にあたります。代表的なものは、ステビアや甘草です。

それぞれの特徴は次のとおりです。

名称特徴使用商品例
ステビア・砂糖の200倍以上の甘さ
・コストパフォーマンスが高い
・酸を産まないので虫歯になりにくい
・キク科にアレルギーがある人にとってはリスクがある
清涼飲料水・ヨーグルト・アイスクリーム・スナック菓子・インスタントラーメン・フルーツ缶詰・漬物・ガム・医薬品・ダイエット甘味料・プロテイン・チョコレート
甘草・紀元前から漢方薬に用いられている
・炎症を抑える効果
・長期間摂取すると「「偽アルドステロン症」を発症のリスク
味噌、醤油、漬物類、ソース、菓子類、冷菓類、畜肉加工品、水産加工品、缶詰類、清涼飲料水、酒類等の食品類の他に医薬品、化粧品、歯みがき、たばこ

※「偽アルドステロン症」の症状には、過剰な血圧上昇・むくみ・体重増加・低カリウム血症による手足のしびれ、脱力感・倦怠感・頭痛・食欲不振などがあります。

参照:守田化学工業株式会社|ステビアとは
参照:西陣病院|漢方薬によく含まれている「甘草」のお話

まとめ

このページではアスパルテームの危険性や毒性について解説しました。

最後に重要なポイントをおさらいしましょう。

  • アスパルテームは砂糖の200倍の甘みを感じる人工甘味料
  • 世界中で利用されていて日本でも厚生労働省が認可している
  • 血糖値を上げないメリットがある
  • 動物実験では発がん性が疑われている
  • メタボリックシンドローム・2型糖尿病・うつ病の原因になる疑いがある
  • 人工甘味料の危険性は疑いのレベルを超えていない
  • 甘味料にはさまざまな種類がある
  • 摂りすぎは、どの甘味料でも害になる可能性がある

人工甘味料の代表格であるアスパルテーム。

ダイエット飲料などカロリーカット商品に使用されており、強い甘みを感じるにもかかわらず、カロリーがほとんどないのが特徴です。

しかしカロリーが少ないからといって、大量に摂取すると人体への影響は少なからずあるようです。

甘いものを食べると幸せな気分になりますが、メリットとデメリットを知り、納得して体内に摂り入れるようにしましょう。

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