わが子の成長について、同級生や同じ月齢の子と比べて不安になることはありませんか。
「うちの子は、同じ年の子と比べて小さくない?」
「身長の伸びがゆっくりのような気がする」
成長に問題がないか、身長や体重の伸びで比較することも多いですよね。
この記事では、3歳児の平均身長と体重について詳しくご紹介。後半では、身長を伸ばすためのポイントについても解説します。ぜひ参考にしてください。
3歳の身長はどれくらい?発達・発育の特徴について
3歳児の身長の平均や伸びについて、『平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書』をもとに詳しく解説します。
わが子の身長や成長について気になっている方へ、チェックすべきポイントについて次のとおりまとめました。
- 3歳の男の子の平均身長は95.1cm
- 3歳の女の子の平均身長は93.9cm
- 3歳までの1年間で男女ともに約7cm伸びる
- SDスコアで身長が高いか低いかを確認しよう
- 男女ともに10歳頃から急激に成長する
- 背を伸ばす方法はない!個人差や遺伝の影響が大きい
- どうしても心配なら専門家に相談しよう
順に見ていきましょう。
3歳の男の子の平均身長は95.1cm
『平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書』によると、3歳児の男の子の平均身長は次のとおりです。
3歳児の平均身長(男) | 平成12年 | 平成22年 | 増減 |
3歳0~6ヵ月未満 | 94.7cm | 95.1cm | +0.4cm |
3歳6~12ヵ月 | 98.3cm | 98.7cm | +0.4cm |
平成12年と比較してみると、10年間で平均身長が0.4cm伸びています。
3歳半未満と4歳未満とでも数センチの差があり、同じ3歳児でも成長の度合いによって身長差がありますね。
平均体重は14.1kg
体重についても同様にまとめてみました。
3歳の男の子の平均体重は14.1kgです。平成12年に比べると微減ですが、ほぼ変わらないと考えていいでしょう。
3歳児平均体重(男) | 平成12年 | 平成22年 | 増減 |
3歳0~6ヵ月未満 | 14.13kg | 14.10kg | -0.03kg |
3歳6~12ヵ月 | 15.15kg | 15.06kg | -0.09kg |
3歳半未満と3歳後半とでは、体重差は約1㎏あります。さらに体格や骨格の違いで個人差が大きいので、目安として参考にしてください。
3歳の女の子の平均身長は93.9cm
同様に『平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書』から、3歳の女の子の平均身長は次のとおりです。
3歳児の平均身長(女) | 平成12年 | 平成22年 | 増減 |
3歳0~6ヵ月未満 | 93.7cm | 93.9cm | +0.2cm |
3歳6~12ヵ月 | 97.4cm | 97.5cm | +0.1cm |
男の子の95.1cmと比べると1.2cmの差があります。
同じ月齢でも男女差が多少あることがわかりますね。
平均体重は13.59kg
体重についても次のとおりです。身長と同じく男の子に比べ約0.5㎏少なめです。
3歳児平均体重(男) | 平成12年 | 平成22年 | 増減 |
3歳0~6ヵ月未満 | 13.62kg | 13.59kg | -0.03kg |
3歳6~12ヵ月 | 14.62kg | 14.64kg | +0.01kg |
3歳から4歳までの1年間で男女ともに約7cm伸びる
3歳から4歳までの1年間で、男女ともに約7cm身長が伸びます。
その平均値は次のとおりです。
3歳半未満平均身長 | 4歳半未満平均身長 | 増加分 | |
男 | 95.1cm | 102.0cm | +6.9cm |
女 | 93.9cm | 100.9cm | +7.0cm |
幼児期の3・4・5歳は、平均して毎年6~7cmずつ身長が増えていきます。
個人差はありますが、毎年7cm程度成長していたら問題ないと考えていいでしょう。
SDスコアで身長が高いか低いかを確認しよう
これまで厚生労働省のデータをもとに3歳児の平均について紹介してきました。
しかし平均はあくまでも平均です。子どもの身長が正常値範囲内かどうかを知るにはSDスコアを確認してみましょう。
SDスコアとは、平均値からのばらつきの大きさを表す数値です。
中央(平均身長)からの離れ具合が±2SD以内であれば問題ないと考えられます。±1SDにおさまる子は全体の68.3%、±2SD内におさまる子は全体の95.4%です。
‐2SD以下は全体の2.3%存在し、低身長と判断されます。低身長かどうかを判断するには、次の表をご覧ください。
平成12年度文部科学省学校保健統計調査報告書のデータをもとにしていますが、ファイザーが一覧表を作成しています。
もし子どもが平均身長‐2SDの数値よりも低い身長の場合は、何らかの対策が必要かもしれません。
低身長に早く気づくには成長曲線を書くのもおすすめ
成長曲線は、子どもが生まれてから思春期までの成長を表にしたものです。
男女別にまとめた表が、母子手帳に「乳幼児身体発育曲線」として掲載されています。身長や体重を測定するたびに書き込んでみましょう。
たとえ低身長であったとしても成長曲線のカーブに沿って背が伸びていれば、問題ないと考えられます。
一方で、「ほとんど伸びない」「横這い」「減ってしまった」などは、重大な病気が隠れている可能性があります。
どうしても気になるようであれば、小児科など専門医に相談しましょう。
男女ともに10歳頃から急激に成長する
子どもの身長が大きく伸びる時期は2回あります。
1回目が乳児期、2回目が10歳頃から始まる思春期です。とくに思春期に訪れる成長期は「成長スパート」と呼ばれ、身長を大きく伸ばす重要な時期と言われています。
成長スパートは、男の子の場合は中学生になった13歳頃、女の子は男の子よりも少し早い小学校高学年の11歳頃に訪れます。
それまで年間平均6~7cm程度だった身長の伸び幅が、男の子で10~12cm、女の子で8~9cmとなります。
この時期は、体が子どもから大人へと大きく変化します。高校生ぐらいまでに多くの子が身長を伸ばし、その後身長の伸びがほぼストップします。
背を伸ばす方法はない!個人差や遺伝の影響が大きい
これまで平均的な身長の伸びをご紹介しましたが、一人ひとり見てみると個人差や遺伝の影響が大きいと言わざるを得ません。
それ以外にも環境や食生活なども絡み合っているので、確実に背を伸ばす方法は、はっきりわかっていないと言えます。
一番大きいのは遺伝の影響で、父親と母親の身長から、ある程度子どもの最終的な身長の予測が可能です。
遺伝による将来の身長を予測する計算式は以下のとおりです。
男の子の場合:(父親の身長+母親の身長+13)÷2+α
女の子の場合:(父親の身長+母親の身長-13)÷2+α
例えば、父親が170cm、母親が160cmの場合
男の子:(170+160+13)÷2+α=171.5㎝+α
女の子:(170+160-13)÷2+α=158.5㎝+α
残りの+αの部分は、生活や環境による伸びしろといえます。
もちろんマイナスの影響も考えられるので、思春期の食生活や運動習慣などは重要でしょう。
2割はこれからの生活環境で変わるかも…
身長の伸び+αの部分に大きく影響を及ぼしているのが生活環境です。骨の成長にかかわる環境因子の代表的なものは次のとおりです。
- 骨をつくる材料を食事でしっかり摂る(タンパク質・ビタミン・カルシウム・マグネシウム)
- 成長ホルモン分泌のために、しっかり睡眠時間を確保する
- 骨に刺激を与えるために適度な運動をする
- 毎日15分程度紫外線を浴びる(ビタミンD生成)
生活環境で身長を伸ばすことに関しては、次の記事も参考にしてください。
どうしても心配なら専門家に相談しよう
成長曲線と照らし合わせてみて、明らかに身長が低い場合や心配な場合は専門家に相談してみましょう。
相談先としては次のようなところがあります。
- こども病院・内分泌代謝科
- 大学病院小児科・内分泌外来
- 小児科の成長障害専門家
病院では、さまざまな角度から原因を検証します。
低身長が遺伝によるものか病気によるものかを調べるので、判断材料となるものを用意しておきましょう。
- 生まれたときの状況
- 病歴や使用した薬
- 家族の身長
- 乳幼児期の食事内容
- 成長と体重の成長
- 母子手帳
調べた結果、次のような重大な病気が原因となっている場合もあります。
- 成長ホルモン分泌不完全性
- 甲状腺機能低下症
- 軟骨異栄養症
- ターナー症候群
- プラダーウィリ症候群
- 脳腫瘍や心臓、腎臓、肝臓の慢性の病気
- 精神的ストレス
ファイザーの子ども成長相談室では専門医を検索できます。どうしても気になる方は、お近くの専門医に相談してみましょう。
背を伸ばせる?3歳児の成長のために押さえるべきポイント
専門医に相談するまでではなくても、子どもの身長の伸びが気になる方も多いですよね。そこで、子どもの身長を伸ばすために家庭で取り組めることをご紹介します。
3歳児の成長のために抑えるべきポイントは次の5つです。
- 規則正しい生活をしよう
- 食習慣を大切にしよう
- 1日の食事の目安量は大人の半分くらい
- 調理の工夫をしよう
- おやつも適度に取り入れよう
順に見ていきましょう。
規則正しい生活をする
身長を伸ばすためには、骨を大きく成長させる成長ホルモンの分泌が重要です。
成長ホルモンは、一生にわたって分泌されますが、幼児期には次のような働きがあります。
- 骨の成長や発達
- 筋肉の成長や発達
- 各臓器の成長や発達
- 免疫力を強化
また、成長ホルモンは深い睡眠中に分泌されます。そのため、早寝早起きに加え十分な睡眠時間が必要です。
とくに4歳から5歳の間は成長ホルモンの分泌量が多いと言われています。
3歳のうちに規則正しい生活を身につけ、生活リズムを整えましょう。
とくに食習慣は大切
生活習慣に加え、骨の材料となる食事も重要です。3歳になると好き嫌いがはっきりし、偏食や栄養バランスが気になるケースが増えてきます。
近年、子どもの食生活の偏りを危惧し、厚生労働省も食育に力を入れています。
食に関する子どもの問題が深刻化しており、次のような問題が増加傾向です。
- 偏食
- 朝食の欠食
- 小児期の肥満
- 思春期の痩身
幼児のうちに正しい食習慣を身につけておけば、健全な成長はもちろんのこと、将来の病気の予防にもつながります。好き嫌いなくバランスのよい食習慣を身につけましょう。
1日のエネルギー必要量は大人の半分くらい
厚生労働省の|日本人の食事摂取基準(2020年)によれば、3歳から5歳児の1日の必要摂取カロリー目安は次のとおりです。
- 男児:1,300kcal
- 女児:1,250kcal
これは成人男性(約2,600cal)の半分程度です。身体の大きさの比率に比べ、多くのエネルギーが必要だとわかります。
3歳児に必要なエネルギーの内容については、次の記事を参考にしてください。
好き嫌いがあれば調理の工夫を
わが子の好き嫌いに悩んでいる方は少なくありません。
しかし「どうせ食べないから」と苦手な食材を排除してしまうと、苦手を克服する機会を失ってしまいます。調理に工夫を取り入れて、少しずつ慣らしていきましょう。
例えば、次のような方法があります。
- 小さく刻んで食べやすくする
- さまざまな調理方法を試してみる
- 親がおいしそうに食べてみせる
- 買い物から一緒にする
- 野菜を育ててみる
- 一緒に調理してみる
少しずつ馴染ませ、繰り返していくうちに食べられるようになるかもしれません。
また、子どものときは食べられなくても、大人になって食べられるようになることこともあるでしょう。
諦めず、できることから取り組んでみましょう。
おやつも適度に取り入れて
3歳児は、一度に食べられる量が少ないので、栄養の不足分をおやつで補うようにしましょう。
目安としては、100~200kcalです。
甘いおやつを好む子も多いかもしれませんが、食事の補食として考え、できるだけミネラルやビタミンも摂れるものを選びます。
例えば、おにぎりや焼き芋・チーズやヨーグルト・果物やナッツなどはいかがでしょうか。
アレルギーなどに気をつけて、おやつも工夫しましょう。
まとめ
このページでは、3歳児の平均的な身長や成長のためにできるポイントについて解説しました。
最後に重要な点をおさらいしておきましょう。
- 3歳児の平均身長は、男95.1cm、女93.9cm
- 1年で平均7cm伸びる
- 低身長か判断するには成長曲線を書いてみる
- 身長は遺伝の影響が大きいが、2割は環境にも影響される
- 心配な場合は専門医に相談しよう
- 身長を伸ばすためには、睡眠・食事・運動が大切
身長の伸びは遺伝の影響が大きいといえますが、食を含む生活習慣によって伸ばす余地があります。
とくに10歳頃から始まる成長スパートを逃さないためにも、幼児期から適切な食生活や生活習慣を身につけておきましょう。