3歳児は、食べられる食品が大人と変わらなくなる時期です。とはいえ、幼稚園や保育園に入園したての時期のお弁当の内容は悩ましいですよね。当然、安全面や量の面で注意すべき点がいくつかあります。
「3歳児にピッタリのお弁当の大きさって?」
「簡単にできるおかずレシピが知りたい」
この記事では、3歳児のお弁当に悩む親御さんの疑問にお答えします。
食べやすい量や詰め方のコツなど参考にしてください。
3歳児のお弁当について知ろう!適量・味付け・サイズは?
3歳児のお弁当の適量やバランスについて4つのポイントにまとめました。
- お弁当で摂りたいエネルギーは350~400kcal
- 目安量はごはんで120g
- 主食3:主菜1:副菜2のバランスで詰めよう
- おかずはひと口サイズにしよう
順に見ていきましょう。
お弁当で摂りたいエネルギーは350~400kcal
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると3~5歳児の推定エネルギー必要量(kcal/日)は、男1300kcal・女1250kcalです。
そのうちの30%をお弁当で摂取しようと考えるとお弁当で摂りたいエネルギーは次のとおりです。
男 | 390kcal |
女 | 375kcal |
3歳児から5歳児までの平均なので、月齢差や個人差などもあるかもしれません。
小食な子であれば、食べきれる量から始めて350~400kcalを目安にお弁当を作りましょう。
弁当箱のサイズは350ml~400ml
3歳児に適した弁当箱のサイズは350ml~400mlです。これは『お弁当箱の容量(ml)= 摂取エネルギー量 (kcal)』と考えられているからです。
幼児用のお弁当箱のサイズは280ml・300ml・350ml・360ml・390ml・400mlと細かく分かれています。
どのサイズを選ぶか悩ましいかもしれませんが、お子さまの好きなキャラクターやふたの開け閉めのしやすさなどを確認したうえで購入しましょう。
自分で開けられる弁当箱を選ぼう
お弁当選びで、容量の次に重要な点は「お子さんがひとりで開け閉めできるか」という点です。4~5歳になれば問題なくできるふたの開け閉めも、3歳児には難しい場合もあります。
代表的なお弁当のふたの形状に次のようなものがあります。
- ロック式:ふたの両側にロックがついていて汁もれしにくい
- かぶせ式:かぶせるだけで簡単だがバンドなどで留める必要あり
- シール式:プラスチック容器によくあるタイプで密着力がある
どのタイプのお弁当箱にするかは、お子さんにふたを実際に開け閉めしてもらって確認して決めるのをおすすめします。
目安量はごはんで120g
同じく厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると炭水化物の食事摂取基準は、どの年齢でも男女ともに一日摂取カロリーのうち50%~65%を推奨しています。
お弁当に必要なご飯の量を計算してみたところ次の結果となりました。ごはんのカロリーは文部科学省の「日本食品標準成分表(2020年版)」を参考にしています。
3歳~5歳児 | ごはんから摂取すべきエネルギー (1食当たり/kcal) | ごはん量 (g) |
---|---|---|
男 | 195~253 | 124~161 |
女 | 187~232 | 119~147 |
上記は3歳~5歳が対象の数字なので、3歳児は120gと考えてよさそうです。
ごはん120gは、コンビニのおにぎり1個分や大人茶碗少し少なめ1杯分くらいの量です。
主食3:主菜1:副菜2のバランスで詰めよう
お弁当を詰める際、ごはんとおかずの割合は1:1と考えるといいでしょう。
ごはんやパンなどの炭水化物である主食、肉や魚などのタンパク質である主菜、野菜などのビタミンやミネラル源となる副菜のバランスは次のとおりです。
主食:主菜:副菜=3:1:2
3:1:2のバランスで詰めると、栄養やカロリーバランスもとれるようになっています。
あくまで目安でいいので、このバランスを覚えておきましょう。
味付けは大人よりも少し薄味に
人間の味覚は生後6ヶ月後ぐらいから発達しはじめ、幼児期から小学校高学年にかけて発達を続けます。味覚は成人後も発達を続けるといわれていますが、乳児期から幼児期はとくに重要な時期です。
この時期に濃い味付けのものを日常的に食べていると、味を感じる部分である味蕾が摩耗し、感受性が低下する危険性があります。
乳児期は大人の半分程度の味付けが適切といわれていますが、3歳児であれば大人より少し薄味くらいの味付けにしましょう。
参照:子どもの味覚を育てる食育
おかずはひと口大サイズにしよう
3歳になると少しずつ箸を使えるようになってきます。しかし十分に使いこなすまでには至らない場合がほとんどです。
そこでフォークや箸で刺しても食べられるよう、おかずはひと口大にしましょう。固さは、大人が食べるよりも少しやわらかめを心がけます。
また繊維質で薄いものを奥歯ですりつぶすのは意外に難しいものです。レタスやわかめ、のりなどは、噛み切れず飲み込んでしまう心配があるので、細く切ったり、おにぎりや卵焼きに混ぜたりして食べやすい工夫をしましょう。
3歳児におすすめのお弁当おかずレシピ3選
3歳児が食べやすく、簡単に作れるお弁当レシピを3つご紹介します。
- 夏でも安心細巻き3種
- はんぺんとブロッコリーのカレーマヨ炒め
- みんな大好きなやわらかからあげ
作りやすそうなレシピから挑戦してみてください。
夏でも安心細巻き3種
酢を使えば殺菌効果があり、暑い季節の食中毒を予防できます。最初に酢飯を使ったひと口大の食べやすい細巻きレシピをご紹介します。
夏でも傷みにくい具材として、梅きゅうり・ゴマをまぶした細切りたくあん・肉そぼろの3種などが挙げられます。
【作り方】
- あたたかいごはん120gにすし酢小さじ2を加えて混ぜ合わせ、バットに広げて冷ます
あらかじめバットの上にラップを敷いておくとさらに衛生的 - オーブンシートの上に縦横半分に切ったのりを置く
- のりに酢飯を広げ、巻き終わり側に指1本分くらいの余白を残す
- 手前側に具をおき、オーブンシートを巻きすの代わりにして巻く
巻き終わりに下の部分を引っ張りながら全体をキュッと締めると崩れにくくなります。ほかの具材も同じように巻きましょう。
お弁当の深さに合わせて、長さをひと口大にカットすれば、より食べやすくなります。
はんぺんとブロッコリーのカレーマヨ炒め
ブロッコリーとはんぺんを合わせることで、おかずのボリュームがアップします。
少しカレー粉を加えれば、ふたを開けたときの香りが食欲をそそるでしょう。
【作り方】
- はんぺんをひと口大に切る
- カレーマヨソースの材料を混ぜ合わせる
- フライパンにサラダ油を引いて熱し、はんぺんを並べ入れて両面こんがりと焼く
- ブロッコリーを加えてサッと炒める
- 全体に油が回ったらソースを加え全体に絡める
下ごしらえとしてブロッコリーをレンジで加熱するか塩ゆでしておきます。仕上がりが水っぽくならないよう水分をしっかり切ってから加えましょう。
サラダ油の代わりにバターで炒めるとコクが出ます。冷蔵庫で3日保存可能なのもうれしいポイントです。
みんな大好きなやわらかからあげ
子どもが大好きな唐揚げのレシピです。
すりおろしの玉ねぎを加えるとお肉がやわらかくなります。甘めが良い場合は玉ねぎの代わりにりんごをすりおろして使用するのもおすすめです。
【作り方】
- 鶏モモは3㎝角に切る
- ☆に2時間程度漬け込む
- 片栗粉と小麦粉を混ぜた衣をつけ揚げる
片栗粉と小麦粉を混ぜることで、冷えてもカリッとおいしく仕上がります。
3歳児のお弁当を作る際の注意点
最後まで食べてもらうための工夫や安全上の問題まで、3歳児のお弁当を作る際に気を付けるポイントを4つにまとめました。
- ミニトマトやぶどうはカットして詰める
- 冷めてもおいしい白ごはんのコツを知ろう
- 詰め方のコツは量が多いものから
- 食中毒対策をしよう
順に見ていきましょう。
ミニトマトやぶどうはカットして詰める
子どもは意外な食品をのどに詰まらせることがあります。お弁当のすき間を埋めるのに便利なミニトマトもそのうちのひとつです。
日本小児科学会が注意喚起している「窒息が起こりやすい食品」のひとつに「丸くてつるっとしたもの」があります。
ぶどうやミニトマトなどは、詰める際に小さくカットしましょう。
実際、ぶどうをのどに詰まらせた4歳児が死亡した事故もあります。
それ以降、4歳以下の子どもにミニトマトやぶどうを与えるときには1/4にカットすることが推奨されています。
誤嚥や窒息の事故は意外に多い
消費者庁が厚生労働省の「人口動態統計」を分析したところ、平成22年から平成26年までの5年間で14歳以下の子どもの窒息事故623件のうち107件は食品が原因でした。
菓子や果物、パンなど思いもよらない食品で窒息死が起こっています。事故を防ぐために、危険性が高い食品は入れない、小さくカットする、しっかり噛むように指導することなどを心がけましょう。
冷めてもおいしい白ごはんのコツを知ろう
冷めてもおいしい白ごはんにするには、浸水時間をしっかり取ることです。60分程度浸水時間を取り、しっかり吸水させると、やわらかくふっくらと炊きあがります。
また混ぜご飯にするときは、水を少し減らしておくとべたつきを防げるのでおすすめ。
冷えてもおいしい米の代表として、低アミロース米といわれる種類のお米があります。粘りが強く「もちもち」として「冷めても硬くなりにくい」のが特徴です。
もち米とうるち米の中間のお米で、CMで有名になった「ゆめぴりか」をはじめ「ミルキークイーン」や「ひとめぼれ」なども低アミロース米なので、よかったら試してみてください。
ちなみに300人に聞いたおすすめのお米ランキングは次のような結果でした。
ただし炊きたてのお米をすぐにお弁当に詰めると、蒸気が底にたまり、痛みの原因にもなります。炊きあがったあと、いったんバットや皿に広げ、少し冷ましてから詰めるようにしましょう。
余ったおかずを冷めたまま食べてみよう
子どものために作った弁当のおかずの余りを、自分用の昼食として温めないまま食べてみましょう。
- 生野菜から水分が出てべちゃべちゃ
- レタスやサラダ菜が傷んで変色
- 豚肉の脂が固まったままで気持ち悪い
- チーズがとろけてふにゃふにゃ
もしかすると、このような問題点に気付くことがあるかもしれません。子どもにも感想を聞くなどして、ブラッシュアップしていきましょう。
詰め方のコツは量が多いものから
上手にお弁当を詰めるコツは、量の多いものから順に詰めていくことです。
一番量が多いのがごはんです。ふんわり詰めると偏りの原因になります。きゅっとしっかり詰めましょう。
その次に、一種類のみであることが多い主菜です。ご飯や弁当箱の壁に沿わせて、安定する位置に詰めます。最後に副菜です。小さめのおかず数種ですき間を埋めれば、崩れにくいお弁当になります。
番外編として、汁気の多いおかずを入れる際、ごはんの横に置けば余分な汁気をごはんが吸収してくれます。その場合は仕切りを使わず直接ごはんに沿わせるのがコツです。
食中毒を防ぐ対策をしよう
園で食べるお弁当の場合、調理から一定時間が経っている、常温で保存している、保護者が同席していない、などの理由から食中毒の危険性が低くありません。そこで食中毒の原因菌を繁殖させないための対策が大切です。
厚生労働省では、食中毒を防ぐために「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」を紹介しています。6つのポイントの中から、お弁当作りにとくに大切な下準備と調理の部分を抜粋しました。
下準備と調理のなかでも、清潔な器具を使用する、作業前には手を洗う、十分な加熱で殺菌するなど注意すべき点がいくつもあります。
食中毒の原因菌は、75℃以上で1分間加熱すると死滅するので、十分な加熱も心がけましょう。
ごはんは仕上がりの30分前に炊きあがるように
食中毒を予防するためには、ごはんは十分に冷まし、蒸気がなくなってから詰める必要があります。余分な水分があると、菌が増殖する原因になるからです。
そのためお弁当を作る際には、作る時間のほかに冷ますための時間も計算に入れておきましょう。
食中毒を防ぐためには、ごはんは当日の朝に炊くのが理想です。ふたをする30分前までに炊き上がるよう前日にセットしておきましょう。
早く冷ますコツとしては、保冷剤の上に乗せたバットに広げる、皿の上にラップを敷きご飯を薄く広げるなどが挙げられます。朝は忙しいですが、賢く時間短縮してみてください。
3歳児のお弁当に関するQ&A
3歳児のお弁当に関して、よくある質問を集めました。
Q.野菜を食べない・好き嫌いが多い場合の献立は?
Q.保育園なのにどうしてお弁当の日があるの?
Q.作りおきを利用してもいい?
気になる項目をチェックしてみましょう。
Q.野菜を食べない・好き嫌いが多い場合の献立は?
成長や健康へのマイナス影響が心配ですが、お弁当に慣れるまでは「みんなと楽しく食べること」と「残さず食べられること」が優先です。最初は、好きなおかずを中心に詰めましょう。
3歳は成長が少し落ち着き、自分の意思がはっきりしてくる時期です。それにともない好き嫌いもはっきりしてきます。
株式会社mogが1133人におこなったアンケートによると、約50%の保護者が子どもの食事に関して「好き嫌いが多い」ことを心配しています。
偏りが気になったら朝と夕の食事で補うようにします。栄養のバランスは1食ではなく1日トータルで整えればよいと気楽に考えましょう。
Q.保育園なのにどうしてお弁当の日があるの?
朝の忙しい時間のなかで、時々あるお弁当の日が負担と感じている保護者の方も少なくないでしょう。
これは幼稚園や保育園の方針にもよりますが、お弁当作りを通して親の食に関する関心を高め、食育や親子の交流を促す目的があります。
さらに、子どもに自分のために親がお弁当を用意してくれたといった感謝の気持ちが芽生えたり、自分で食と自分の健康の関係について学ぶ効果も期待されています。
Q.作りおきを利用してもいい?
作り置きのおかずを利用する場合、気を付けるポイントがいくつかあります。
- 酢やしょうゆで味付け
- 再加熱して菌の増殖を防ぐ
- 汁気の少ないものにする
- マヨネーズで和えるなら当日
味付けが濃いものや酢を使用したものは菌が繁殖しにくく腐りにくいので、作り置きのおかずの味付けとして意識しましょう。また再加熱は電子レンジで中心が熱くなるまで温めます。
水分は菌を繁殖させやすいので、生野菜や煮物などの汁気はしっかり切ってから詰めます。
生卵を使用しているマヨネーズは腐りやすいのでとくに注意が必要です。ツナマヨやポテトサラダなどは、できるだけ当日に和えるようにするか、暑い時期はやめておきましょう。
まとめ
このページでは、3歳児のお弁当についてまとめました。
最後に重要な点をおさらいしましょう。
- お弁当で摂りたいエネルギーは350~400kcal
- 目安量はごはんで120g
- 主食3:主菜1:副菜2のバランスで詰めよう
- おかずはひと口サイズにしよう
- 誤嚥に注意しよう
- 冷めてもおいしい白ごはんのコツを知ろう
- 詰め方のコツは量が多いものから
- 食中毒を防ぐ対策をしよう
食事の量も増えてくる一方で、好き嫌いも多くなるのが3歳児。子どもが喜ぶお弁当作りに苦労することもあるでしょう。
しかしお弁当作りを通して、食育や親子の交流などの効果があるのも確かです。この記事で紹介した量やコツを参考に、安全で栄養のバランスのとれたお弁当を作っていきましょう。