子どもの「免疫力」を高める方法って?病気をしない丈夫な身体の作り方

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「最近、子どもがすぐに風邪を引いてしまう」

そんなお悩みはありませんか?

子どもが突然体調を崩してしまうのはなぜなのでしょうか。

原因はさまざまですが、その1つに病原体に感染する数が多いことが挙げられます。子どもは大人に比べて、病原体に対する抵抗力が少ないため、体調を崩しやすくなるのです。

また厚生労働省によると、免疫力を高めるには、食事・運動・睡眠などが重要だと考えられています。

本記事で子どもの免疫力を高める方法を詳しく見てみましょう。

目次
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子どもの「免疫力」を高めるために知っておきたいこと

病気になってから治療は必要ですが、それ以前にまずは病気になりにくい丈夫な身体をつくることが大切です。

まずは「免疫力」について知り、将来に起こる病気や不調を少しでも避けるようにしましょう。

重症になる前に予防できれば、時間やお金の節約にもつながりますよ。

免疫には「自然免疫」「獲得免疫」の2種類がある

はじめに免疫の基本について。免疫とは、身体の正常な活動を守る仕組みのことです。

また免疫は生まれた瞬間から持っている「自然免疫」と、あとから獲得する「獲得免疫」の2つに分けられます。

人間がウイルスや病原菌に感染する仕組みを表したのが以下の図です。

まずウイルスが体内に侵入しようとすると、皮膚や粘膜による壁で防ぎ、その後自然免疫によって細胞を破壊します。

それでも侵入を抑えきれなかった場合に作用するのが獲得免疫。その病原体を認識して特異的な攻撃をしながら、さらに抗体を生産することで、効率良くウイルスを破壊します。

つまり病気になりにくい子どもは、日常生活でウイルスに接触する機会が多く、抗体が多く生産されているということ。一度ウイルスに感染したとしても、獲得免疫が抗体を生産しているので、軽い症状で済みます。

丈夫な身体をつくるためには、自然免疫や獲得免疫の強化が必要であるということですね。詳しい内容は「子どもの免疫力を高めるポイント」で解説しています。

免疫力低下のサイン

疲れやすくなった、風邪を引きやすくなったなどの症状が出ていれば、免疫力が低下している可能性があるでしょう。

そのほかにも、汗がべたつく、痰が黄色くなるなどの症状があります。

ただし、「免疫力」は厳密な定義のある言葉ではありません。病原体から守る免疫の仕組みは非常に複雑であるため、「風邪を引いた=免疫力が落ちた」と表現することは難しいものです。(※)

あくまで上記の症状は目安として考え、どうしても気になる場合には、専門医に相談する方が賢明です。

厚生労働省「免疫力はワクチン接種以外でも上げられますか」より

年齢が関係?子どもの免疫力は大人よりも未熟

子どもが風邪を引きやすいと言われる理由の一つに、身体にある抗体の数が少ないことが考えられています。そのためウイルスに抵抗できず、すぐに風邪や病気になってしまうのです。

年齢と免疫抗体の関係を表したのが以下の図です。

1歳頃は一生で最も免疫力が低下する時期であり、10歳頃以降は獲得免疫によって成人の免疫力に近づいていることが分かります。

もちろん個人差はありますが、風邪や病気になりやすい時期はとくに子どもの体調管理に気をつけたいところ。

風邪を引いたから身体が弱いと思うのではなく、大人と子どもの身体の違いを理解し、基準を子どもに合わせることが大切です。

生後6か月くらいまでの赤ちゃんは母親からもらった免疫で守られている

ウイルスへの接触回数が少ない赤ちゃんは、感染しやすいと思われがちですが、実はそうではありません。

生後6か月くらいまでの赤ちゃんは母親からもらった免疫(抗体)で守られています。

しかし、10か月頃までにはその免疫がほぼ消滅するため、以降はウイルスや細菌に接触することで抗体を増やす必要があります。

なぜ?子どもの免疫力が低下する原因は複数ある

子どもの免疫力が低下するおもな原因をまとめました。

  • 「栄養不足」:自然免疫が低下することで貪食細胞の機能低下が生じる
  • 「運動不足または過度な運動」:自律神経の乱れにより、細胞の働きを低下させる
  • 「睡眠不足」:睡眠が5時間以下で時間が短いほど唾液中のIgA(免疫物質)分泌量が低下
  • 「身体の冷え」:血流が悪くなり、免疫細胞や栄養が行き届きにくくなる
  • 「ストレス」:白血球中のリンパ球や細胞の働きを低下させる
  • 「環境汚染」:皮膚や口などから直接体内に細菌が侵入する
  • 「先天性免疫不全症」:遺伝によって生まれつき免疫力が低くなる

とくに知っておきたいのは、過度な運動が免疫力を低下させることについて。

運動不足だけでなく、過度な運動が免疫力を低下させるのは、身体に大きなストレスがかかるためです。結果的に自律神経のバランスが乱れ、感染のリスクが高まってしまいます。

早稲田大学 スポーツ科学学術院の鈴木 克彦氏のインタビューによると、一般の人が毎日スポーツクラブで汗をかく程度の運動なら感染のリスクは高まらないとのこと。運動不足だけでなく、運動のしすぎにも注意したいですね。

先天性免疫不全症

先天性免疫不全症とは、風邪の原因となるウイルスや病原菌糖に対する抵抗力に生まれつき欠陥がある病気です。

原発性免疫不全症(PID)の検査はどこで受けられる?10の徴候も合わせて紹介 | メディカルノート
出典:Medical Note

おもな症状は風邪がなかなか治らない、何度も発熱を繰り返すなどです。非常に稀ではありますが、ときには重篤化することも。

子どもは自分の症状を上手く伝えられない場合があるので、親がしっかりと様子を確認し、病気の疑いが見られた場合には早期に医者に相談しましょう。

軽傷であれば、抗菌薬や抗ウイルス薬。重篤な場合は造血細胞移植が必要になる場合があります。

参考文献:難病情報センター

免疫力が低下すると全身のさまざまな症状を引き起こす

免疫力が低下すると、以下の画像のように風邪やインフルエンザなどの感染症のほか、呼吸不全や発育不全などになる場合があります。

体のどこで症状が出やすいの?

とくに、のどや鼻などの粘膜は体外と接するため、ウイルスの影響を受けやすいことが特徴です。

このように免疫力の低下は、全身のさまざまな症状を引き起こします。

人間の身体には最低限の自然免疫が備わっているので、すぐに重篤な症状を引き起こすわけでありません。しかし、軽い症状で済ますために、普段から免疫力の向上に努めておきたいですね。

子どもの免疫力を高める5つのポイント

子どもの免疫力を高めるポイントは以下の通りです。

  1. 食事バランスを整える
  2. 自然のなかで遊んで細菌に触れる
  3. 規則正しい生活で適度な睡眠をとる
  4. 気分転換でストレス解消
  5. 予防接種を受ける

まずは日常生活で免疫力を低下させる要因をできる限り取り除くことが大切です。

基本的な生活習慣から見直していきましょう。

1.食事のバランスを整える(食べ物、飲み物など)

免疫力を高めるためには、栄養不足を避け、食事バランスを整えることが大切です。さまざまな食材から栄養を摂取しましょう。

バランスの良い食事とは、以下のように主食、副菜、主菜などが組み合わさった食事のこと。

具体的に主食はごはんやパン、副菜は豆類やいも、主菜はたんぱく質の供給源となる肉や魚です。

さまざまな食材から栄養を摂取することで、炭水化物やたんぱく質などの栄養効果を高められます。

  1. 炭水化物や脂質:身体を動かす
  2. たんぱく質:身体を作る
  3. ビタミンやミネラル:身体の調子を整える

詳しい食材の組み合わせ方法については、農林水産省と厚生労働省が作成した「食事バランスガイド」をご覧ください。

食事中の飲み物に関しては、なるべく冷たい物を避け、身体を冷やさないように気をつけましょう。

食事は体温と免疫力を上げる

体温は食後に向上することがさまざまな研究で明らかになっています。被験者19名(大人)を対象にした調査では、食後約4時間で0.3度以上あがることも。

体温の変動
出典:大塚製薬

子どもを対象にした調査ではないものの、体温が上がると、血流が良くなり細胞が正常に働くようになります。

そのほか体温を上げる方法は以下の通りです。

  • 入浴
  • 運動
  • 漢方薬
  • 暖かい飲み物を飲む
  • カイロや湯たんぽ など

ごはんを食べていなかったり、冷房が当たるような場所にいる場合には、食事や運動などで体温を高めると良いでしょう。

バランスの良い食事を意識しながら取り入れたい食材

この食材を摂取すれば、免疫力がアップするとは断言できませんが、免疫細胞のもとや免疫機能に働きかける食材はあります。

その1つが腸内環境を整えてくれる発酵食品。その他には、海藻やきのこ類などの食物繊維が豊富な食品も挙げられます。

  • 腸内環境を整える発酵食品、海藻、きのこ、豆類、芋類など:免疫機能を正常化する
  • たんぱく質を多く含む肉類や魚類、卵、豆腐など:免疫細胞のもとになる
  • 抗酸化作用を持つビタミンA・C・Eなど:粘膜の働きを正常化する

反対にインスタント食品のような添加物が含まれている食材は、腸内環境のバランスを崩してしまう可能性があります。

腸内環境が乱れると、免疫機能のバランスも悪くなるので、海藻やきのこ類などはしっかりと取り入れたいところ。

また、免疫細胞のもとになる栄養素がたんぱく質ですが、細胞の寿命は短いので、栄養が不足すると免疫力が落ちる可能性があります。

バランスの良い食事を心がけながら、発酵食品や肉類などの食材を摂取すると良いでしょう。

食事においては栄養不足からくる免疫機能の低下を防ぎ、免疫を正常にはたらかせることが重要です。

腸内環境を整える飲み物

食物繊維のほか、ヤクルトやカルピスなどの乳酸菌飲料も腸内環境を整える効果が期待できます(※)。

ただし、子どもが飲みやすいような甘い乳酸菌飲料には砂糖が含まれている場合があるので、飲み過ぎにはくれぐれも注意しましょう。

体調を崩して食が細くなった、どうしても発酵食品や野菜が苦手という状況であれば、頼るのも一つの手です。

厚生労働省や農林水産省では、腸内環境の改善方法として、日本型食生活や適度な運動を推奨しています。

乳酸菌飲料だけに頼るという考えではなく、バランスの良い食事や運動など取り入れながら、改善していきたいですね。

※出典:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター

2.自然のなかで遊んで細菌に触れる

自然での外遊びをして、免疫細胞を強化しましょう。外では適度な運動ができるほか、自然界に生息する菌に触れられるので、免疫機能がより効果的に発揮されます。

東洋経済ニュース 森田 麻里(医師)氏によると、 幼少期に土や動物とふれあって細菌を体内に取り入れたほうが、アレルギーや肥満になりにくいそうです。

もちろん手洗いも必要ですが、病気にさせないために殺菌や除菌ばかりをしていると、かえって身体に必要な菌まで除去してしまいます。

子どものうちにできる限り外敵に触れることで、自然と免疫は強化されていくでしょう。

たしかにスマホやゲームでの遊びは簡単に時間を潰せますが、外遊びの時間も少しづつ取り入れたいですね。

具体的な外遊び

子どもの能力を高める外遊びには鬼ごっこ、縄跳び、虫取りなどがあります。どれもシンプルなルールとはいえ、基礎体力のアップをしながら、試行錯誤の力や体験的知識が身につくでしょう。

さらに適度な運動は基礎代謝力を向上させるので、免疫機能の低下を防ぐ効果も。

交通事故や命に関わるような大きな怪我は避けたいですが、軽傷程度であれば、痛みから学ぶこともあるものです。

新たな経験をすることで子ども自身の自立性も育つでしょう。家でゲームばかりしているのであれば、たまには息抜き程度に外遊びに誘ってみるのも良いかもしれませんね。

3.規則正しい生活で適度な睡眠をとる

適度な睡眠は、免疫物質であるIgAの分泌量を高めます。

205名の健康的な大学生を対象にした研究では、6〜8時間程度の睡眠が最も免疫物質を分泌させることが明らかになりました。

子どもを対象にした研究ではありませんが、単純に睡眠時間を増やせば良いのではなく、適度な睡眠が免疫力アップに欠かせないようです。

  • 寝る時間になれば、部屋を暗くする
  • 昼間の運動量を増やす
  • 深い睡眠に入れるように快適なパジャマやベッドを用意する
  • 夜食はうどんやヘルシーな野菜サラダなど消化の良いものに変える

上記のように自然な眠気を誘うためには、昼間の活動量を増やしたり、寝る時間に部屋を暗くするなどの工夫が必要です。

4.気分転換でストレス解消

子どものストレスとなる環境をできる限り取り除いてあげましょう。

免疫力の低下に大きく関わっているのが自律神経です。ストレスによって緊張状態が続くと、自律神経が乱れ、免疫機能が正しく機能しなくなります。

具体的なストレス解消法には、以下のようなものが挙げられます。

  • 外で遊ぶ
  • ものづくりに集中する
  • 生物を育てる
  • 一緒に料理をする など

またストレスとなる原因を理解してあげることも大切です。

「どこか痛いところある?」「学校でなにかあった?」などと声をかけて、様子をうかがいながら、聞き役に徹しましょう。

一緒に遊んでるときやテレビを見ているときなど、自然な流れで話しかける方が、子どももより話しやすくなりますよ。

子どものストレスサイン

幼児期や小学校の低学年〜中学年くらいの時期は、自分の悩みや不安を適切に表現するのが難しくなりがちです。

親が子どもをよく観察し、以下のような変化に気づいてあげましょう。

11280_3200_見逃してはいけない幼児のストレスサインに注意しよう(1) - 伸芽'Sクラブ - 受験対応型託児所 -
出典:伸芽’Sクラブ
  • 身体の不調(食欲が減った、なかなか起きない、お漏らしが増える など)
  • 行動の変化(態度が乱暴、落ち着きがない、爪を噛む など)
  • 感情の変化(感情の波が激しい、落ち込みやすい、怒りっぽい など)

もちろん、個人差があるので確実ではありませんが、変化が見られた場合には、子どもがストレスのサインを出しているかもしれません。

5.予防接種を受ける

ワクチンによって免疫力を上げる行為を予防接種と言います。

特定の食べ物を食べたり飲んだリしても、免疫を上げることはできませんが、ワクチンはその疾患に対して唯一免疫を上げられます。

またそのほか、熱や発疹などの副作用は見られますが、感染症にかかったとしても軽度な症状で済む、周りの人に移さないなどの利点があります。

風疹や麻疹などは大人でも感染する場合があるので、感染前に摂取することが大切です。

一般的なワクチンでは、おたふく風邪やインフルエンザなど16種類の感染症を防げます。

毎年繰り返し流行するような季節性の感染症を予防したい場合は、ワクチン試してみると良いでしょう。

まとめ

このページでは、子どもの免疫力について、低下の原因や高める方法などを解説しました。 

最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。 

  • 免疫には「自然免疫」「獲得免疫」の2種類がある
  • 疲れやすくなった、風邪を引きやすくなったなどの症状は免疫力の低下が原因かも
  • 子どもの免疫力は大人よりも未熟
  • 免疫力が下がる原因には、栄養不足や運動不足などが関係している
  • 免疫力を上げるには規則正しい生活が重要

子どもの免疫力が下がる原因には、食事・運動・睡眠などさまざまなことが関係しています。

疲れやすくなった、風邪を引きやすくなったなどの症状が出ていれば、免疫力が低下している可能性があるので、一度生活習慣を見直してみましょう。

規則正しい生活を心がけるだけで、免疫機能が活性化されますよ。

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この記事を書いた人

子供を健康に育てたい全てのママに向けて、栄養や食育、幼児教育などの情報を発信する「mamahealth(ママヘルス)」編集部です。

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