- セルロースは体に悪いのか?
- そもそも、セルローストは何なのか?
あらゆる食品に含まれるセルロースと呼ばれる成分。健康上の問題を懸念する声が多々あることでも知られます。
自分自身はもちろん、子どもに与えることにも不安を覚えるでしょう。そこで本記事では以下の点を解説します。
- セルロースの基本情報や原材料
- 健康に対する影響
- セルロースが使われる理由
セルロースに関して疑問がある人はぜひ参考にしてみてください。
セルロースとは危険な添加物?体に悪いのか?
結論から言えばセルロースは体に悪いわけではありません。それどころか、人体に対して良い効果をもたらす可能性さえあります。
なぜそのように言えるのか、これらの点から見ていきましょう。
- セルロースの基本的な特徴
- 体に悪いわけではない理由
- セルロースを入れる目的
- 健康に対するメリットと効果
セルロース=食物繊維の一種で植物由来の原材料
セルロースは、わかりやすく言えば食物繊維のひとつです。
野菜や根菜をはじめとした、多くの植物に含まれています。食物繊維、と表現するだけでも、ずいぶんと安全そうな印象を受けるのではないでしょうか?
大阪府保健所食品衛生監視課によれば、ナタデココからも抽出できるとのこと。
セルロースは、例えばチーズ類に使用されます。これによってチーズ同士がくっつきにくくなり、使いやすくなるわけです。
また粘り気や弾力を出すため、ゼリーやアイスクリームに使われることも。
体に悪いわけではないのでまず安心
冒頭で触れたとおり、セルロースは体に悪いものではないため安心してください。ごぼうなどに含まれている食物繊維の一種だと考えれば、その安全さが伝わるでしょう。
より明確な根拠として、食品の安全性に関して最も権威ある組織、”JECFA”がセルロースに対してADIを設定していない点が挙げられます。
ADIとは、簡単に言えば「1日の摂取許容量」です。例えばイオノンと呼ばれる物質には、1日に、体重1kgあたり0〜0.1mgまでが許容量だとされています。
(引用:食品安全委員会)
しかしセルロースには特別な危険性がないため、ADIが設定されていません。このことからも、セルロースは安全性が高い食物繊維だといえるでしょう。
また大阪府保健所食品衛生監視課にも問い合わせたところ、「日本含め海外でも使用制限がされていない背景を踏まえれば、安全である」との見解を示しました。
乳化剤もさほど心配する必要はない
チーズをはじめとする、セルロースが含まれている食品の多くには乳化剤が含まれています。これが不健康だと言われることもありますが、やはり心配する必要はありません。
乳化剤に関しては、1970年に発表された大洋化学工業株式会社の論文にて、「毒性の少ない添加物として比較的平穏である」とされています。わかりやすく言えば、さほど危険ではないわけです。
(引用:J-Stage)
ちなみに乳化剤とは、本来混ざり合うことがない、水と油のようなもの同士が混合した状態を保つために使われます。
乳そのものが入っているわけではなく、アレルギーを心配する必要はありません。
セルロースには健康的な効果もある
体に悪いと言われがちなセルロースですが、実は健康的な効果もあります。
公益財団法人長寿化学振興財団によれば、セルロースをはじめとした不溶性食物繊維には以下の効果があるとのこと。
- 大腸を刺激して排泄をスムーズにする
- 有害物質を吸着して体外に排出する
- 大腸がんの危険を低減する
- 善玉菌を増やして腸内環境を改善する
セルロースは食物繊維らしく、大腸の状態を整える効果を持っています。いわゆる腸活の一環として、積極的に摂取するとよいかもしれません。
セルロース(食物繊維)が多く含まれている食品
セルロースが多く含まれている食品は、野菜・穀物・小麦ふすまなどです。
これらを中心とした食生活を送れば、多分に摂取できるでしょう。
ただしこれだと、血糖値やコレステロールを安定させる水溶性の食物繊維が摂取できません。何事も偏り過ぎは好ましくないため、以下のような食品をバランスよく摂取しましょう。
(引用:太陽化学)
まんべんなく食べるようにすれば、その他の栄養もバランスよく摂取できます。あまりセルロースにこだわりすぎないようにしましょう。
どうしても心配な場合はセルロース不使用チーズなどもある
それでも「セルロースが入っているのは嫌だ」と思う人もいるでしょう。
そう考えるなら、セルロース不使用の食品を選ぶのがおすすめ。特にチーズには、セルロース不使用のものが多々あります。
そのような商品の方がおいしいと感じる方がいる一方で、やや高価になる傾向があります。
食費との相談が必要になりますね。
セルロースに関するよくある質問Q&A
本記事ではセルロースに関して解説しました。最後によくある質問にQ&A形式で回答します。
- セルロースには発がん性がある?
- 赤ちゃんに与えても問題ない?
- 木材から作られているから危険では?
- ”カルボキシンメチル”セルロースなどは安全か?
セルロースは単なる食物繊維であるにもかかわらず色々な噂がひとり歩きしています。ぜひ細かい疑問も解消し、正しい知識を身につけましょう。
セルロースには発がん性がある?
結論から言えば、セルロースに発がん性はないでしょう。
欧州食品安全機関の検査によれば、セルロースに発がん性は確認されませんでした。ちなみに生殖能力や発達に関する影響も認められなかったとのことです。
(引用:食品安全委員会)
赤ちゃんに与えてもよい?
セルロースを赤ちゃんに与えてはいけないという研究結果はありません。しかし、セルロースが含まれている食品で、他の理由から赤ちゃんに与えては行けない食べ物は多数存在します。
耳鼻咽喉科医の三塚沙希医師が監修したリストによれば、以下のものは食べさせないほうがよいとされています。
- 山いも
- 牛乳
- 大豆
- ピーナッツ
- はちみつ
- ごま
- ファーストフードetc.
また大阪府保健所食品衛生監視課も、「乳児に与えることに特段の問題は報告されていない」との見解を示しました。
セルロースのサプリメントもある
大腸のはたらき整えるための、セルロースのサプリメントも存在します。
とはいえ、セルロースは野菜などから十分な量を摂取することが可能です。
わざわざサプリメントを購入する必要があるかといえば微妙なところ。よほど食生活を整えるのが難しい環境でない限り、無理に飲む必要はないでしょう。
木材から作られているから危険?
結論から言えば、セルロースが木材から作られているから危険だとは言えません。
たしかに木材を加工して、セルロースを抽出することはあります。木材由来のセルロースを添加した販売されていたこともあるようです。
しかし、それらは日本の厳しい基準をクリアする製造方法で作られたもので、危険性は認められていません。
”カルボキシンメチル”セルロースなどは安全か?
セルロースには、以下のように、原材料などにしたがって区分された種類が存在します。
しかし大阪府保健所食品衛生監視課によれば、特別の健康被害は報告されておらず、過度に警戒する必要はありません。
- カルボキシンメチルセルロース
- ヘミセルロース
- ホロセルロース
上記もセルロースの一種、つまり食物繊維です。仮に成分表で上記の記載があっても、単にセルロースが含まれている場合と同様の判断が問題ありません。
まとめ
本記事では「セルロースが体に悪い」という説について解説しました。最後に重要なポイントおさらいしましょう。
- セルロースは食物繊維の一種
- 野菜などにも含まれるごくありふれた成分で、体に悪いわけではない
- むしろ大腸の環境が整うなどのメリットもある
- どうしても心配なら、セルロース不使用の食品を食べるのがおすすめ
- 発がん性などはない
- 赤ちゃんに与えても特別問題はない
体に悪いと勘違いされるセルロースですが、実際のところ問題点は見つかりませんでした。
よくわからない横文字で不安になりがちですが、元を正せば単なる食物繊維です。よほど偏った量でない限り、セルロースの摂取を不安に思う必要はないでしょう。
どうしても気になるなら、多少値段は高くなるもののセルロース不使用のものを使うのもひとつです。自分自身のライフスタイルに合わせて、食品を選ぶとよいでしょう。