キャノーラ油は体に悪い?発がん性や健康被害の危険性について徹底調査

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キャノーラ油は、菜種を品種改良したものを原料とした安価で使いやすい食用油です。日常的に利用している方も多いはず。

しかし毎日摂取する油の種類には、こだわりたいところです。

この記事では、キャノーラ油の安全性や摂取の注意点などを詳しく解説。発がん性や健康被害がないかを徹底調査します。

目次
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キャノーラ油(菜種油)は体に悪い?特徴や安全性について

ビーカーいっぱいの食用油と背後にペットボトル入りの食用油が横たわっている

キャノーラ油(菜種油)の特徴や安全性について、次の4つのポイントにまとめました。

  • キャノーラ油の原料は植物の菜種
  • 体に悪いといわれる理由は「オメガ6(リノール酸)」
  • トランス脂肪酸も確かに含まれるが少量
  • 【結論】大量摂取は危険!ただし研究は動物実験によるものが多い

順に見ていきましょう。

そもそもキャノーラ油って何?原料は植物の菜種

キャノーラ油の原料は、キャノーラというアブラナ科の種子です。菜種に含まれる有害なエルカ酸とグルコシノレートという成分が微量になるよう品種改良されています。

主要生産国は、カナダやオーストラリアです。ドレッシングから炒め物、揚げ物まで幅広く使用され、マーガリンやショートニングの原料に、カスは肥料や飼料にも利用されています。

サラッと軽く、くせのない淡白な風味なので、生食にも適しています。

2020年の食用油の金額市場規模を見ると、キャノーラ油はトップを誇り、非常にメジャーな食用油だといえるでしょう。

サラダ油との違いは菜種の品種!成分はほとんど同じ

一般的に「サラダ油」と呼ばれるものは、精製された食用油の総称で、キャノーラ油もサラダ油に含まれます。使用できる植物の種類はJAS規格で定められており、現在は指定されているのは次の9種です。(平成26年改訂時点)

  • サンフラワー(紅花種子)
  • ぶどう(グレープシード)
  • 大豆
  • ひまわり
  • とうもろこし
  • 綿実
  • ゴマ
  • 菜種

これらの油を2種類以上混ぜ合わせたものが「調合サラダ油」です。

ブレンドされている油の種類は原材料名を見るとわかります。キャノーラ油は、キャノーラのみを原料としたサラダ油の一種といえます。

参照:日本植物油協会|植物油とJAS制度

こめ油・大豆油・アマニ油の違いは…

健康に良さそうな油としては、こめ油・大豆油・アマニ油などが挙げられます。

ほかにもさまざまな食用油があり、それぞれの特徴を表にしてみました。

種類原料主要生産国特徴
菜種油菜種カナダ
オーストラリア
ドレッシング・炒め物・揚げ物まで幅広く使用。
マーガリンやショートニングの材料にも。
菜種粕は肥料や飼料に。
こめ油米ぬか日本、タイ
ベトナム、ブラジル
揚げ物・マヨネーズ・製菓用などに使用。
風味豊か。
大豆油大豆アメリカ
ブラジル
キャノーラ油と並び日本の食用油のなかでポピュラー。
油粕は飼料や醸造用に。
アマニ油アマの種子カブフスタン
ロシア
食用以外にもインキや塗料などの原料に。
ゴマ油ゴマナイジェリア
タンザニア
焙煎するので香ばしい風味。
ゴマリグナンなど抗酸化作用のある成分含む。
グレープシードオイルぶどうの種子フランス淡黄・淡緑色が特徴の油。
リノール酸を多く含む。
サンフラワーオイルヒマワリの種フランス
スペイン
アルゼンチン
クセのない淡泊な風味。
食用油以外にもショートニングに利用

参照:日清オイリオ|油に関するQ&A

こめ油や大豆油はキャノーラ油と同じように、日本ではメジャーな食用油です。どれもクセが少なく使いやすいのが特徴です。

一方、アマニ油には、オメガ3(n-3)系脂肪酸であるα-リノレン酸が多く含まれており、健康志向が高い方に人気があります。熱に弱く酸化しやすいので、調理に利用するよりも生食が適しています。

体に悪いといわれる理由は「オメガ6(リノール酸)」が含まれているから

キャノーラ油が身体に悪いといわれる理由は「オメガ6(リノール酸)」を含むからです。オメガ6は不飽和脂肪酸と呼ばれ、植物油に多く含まれます。

血中コレステロールの低下や動脈硬化の予防など健康に良い効果がある反面、摂りすぎるとアレルギー症状の悪化や高血圧、体重増加などの弊害があると報告されています。

実際に1993年の研究では、マウスに大量のサンフラワー油をあたえる実験がおこなわれましたが、牛脂だけを摂取したマウスにくらべて12.3%も体重が増加しています。

ヒトを対象にした実験では、782人の男性を2つのグループにわけて、一方には動物の脂肪(飽和脂肪酸)を、もう一方には植物油(オメガ6)だけを、5年にわたって摂取し続けてもらったところ、オメガ6のグループは少しずつ体重が重くなり、最終的には動物脂肪グループよりも5%ほど体脂肪が増えました。

参照:Composition of lipids in human serum and adipose tissue during prolonged feeding of a diet high in unsaturated fat
参照:J-Stage|n-3系 多価不飽和脂肪酸の摂取基準の考え方 

日本人は、オメガ6を過剰に摂取している傾向があり、油の摂取量が適量であるかが重要でしょう。

酸化が危険!オメガ6自体が体に悪いわけではない

オメガ6は、体内で作り出せない成分なので食品からとる必要があります。悪玉コレステロールを減少させるなど、適量であれば体によい影響があります。

ただし気を付けなければいけないのは摂取量と酸化です。

酸化はアンチエイジングの大敵で、炎症や老化の原因となります。とくに植物油は、製造過程で熱を加えるため、販売時点で酸化が進んでいる可能性も大いにあります。これはキャノーラ油に限らず、大豆油・コーン油も同様です。

日本人は、オメガ6の使用量が1960年代以来増加しており、とくに外食が多い人ほど注意が必要です。

ほかにも動物実験でガンを悪化させるとの研究も

動物実験の段階ですが、関西医科大学病理学教室によると、マウスにコーン油を与えたところ、リノール酸の摂取量と乳がんの進行の早まりに関連性が見つけられました。

参照:J-Stage|食餌コーン油含量の乳癌発育に及ぼす効果

大量にオメガ6を摂取すると体が炎症を起こすこともある

オメガ6は体内で生成できない必須脂肪酸で、代謝調整などの重要な役割を果たします。

一方で過剰摂取すると体内で炎症を起こし、免疫系に悪影響を及ぼします。花粉症などのアレルギーもそのうちのひとつです。

オメガ6が身体に有用な効果をもたらすためには、オメガ3との摂取割合が重要です。理想的な摂取割合は、オメガ3:オメガ6=1:2と言われていますが、現在は平均で1:10ほどになっており、オメガ6の過剰が過剰になると急に死亡率が上昇すると報告されています。

トランス脂肪酸も確かに含まれるが少量なので気にしなくてよさそう

トランス脂肪酸は、肥満や生活習慣病の原因になることが危惧されています。そのトランス脂肪酸が生成されるのは、主に以下4つのタイミングだと言われています。

  • 植物油に水素添加して加工する過程で生成
  • 植物油の精製時に脱臭の過程で生成
  • 油を高温加熱調理する過程で生成
  • 牛の反すう胃内でバクテリアの働きにより生成

キャノーラ油のように食用油を生成する過程でもトランス脂肪酸が生成されることもあります。ただし、その量はごくわずかで気にするほどではないといわれています。

トランス脂肪酸を多く含む食品には要注意

トランス脂肪酸は、WHOが健康に悪影響だと2003年に摂取上限を設定しています。とくに加工食品に含まれる油が問題視されていて、とくにトランス脂肪酸を多く含む商品は次のようなものです。

  • マーガリンやショートニング
  • マーガリンやショートニングを使用したパン・ケーキ・ドーナツなどの洋菓子
  • 揚げ油を使用した食品
  • 肉や乳製品に含まれる天然由来のもの

キャノーラ油などの植物油にもトランス脂肪酸が含まれますが、製品自体は問題視されていません。

ただ高温で熱することでトランス脂肪酸が発生するので、揚げ油には注意が必要です。

トランス脂肪酸を多く含む食品のイラスト

【結論】大量摂取は危険!ただし研究は動物実験によるものが多い

植物油の危険性についての研究は、まだラットでの動物実験段階であるものがほとんどです。人への影響については、まだ研究段階なので、キャノーラ油が危険であるとは断言できないでしょう。

ただし油の摂りすぎは、肥満や生活習慣病の一因となります。日本人の油の摂取量も年々増えており、過剰摂取には気を付けましょう。

キャノーラ油は体に悪い?摂取目安量と油の摂取量を抑えるコツ

売り場に並ぶペットボトル入りの食用油

植物油は、オメガ6(n-6系脂肪酸)やオメガ9などの体内で生産できない必須脂肪酸を多く含みます。適度の摂取であれば健康にもプラスの影響があります。

そこで、摂取目安と過剰摂取を抑えるコツを次の3つのポイントにまとめました。

  • オメガ6(n-6系脂肪酸)の摂取目安量は男性9〜11g、女性7〜8g
  • 油の摂取量を減らすならフライパンで調理するのもおすすめ
  • 揚げ物に使うなら「オリーブオイル」や「こめ油」を使おう

順に見ていきましょう。

オメガ6(n-6系脂肪酸)の摂取目安量は男性9〜11g、女性7〜8g

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020 年版)(p16) 」によると、オメガ6(n-6系脂肪酸)の摂取目安量は、男性が9~11g程度で女性が7~8g程度です。妊婦と授乳婦は多く摂る必要があります。

※キャノーラ油の商品によってオメガ6の含有量は異なります。商品のパッケージもしくは公式サイトに掲載された摂取目安量を参考にしましょう。

各年齢の摂取目安量を「日本人の食事摂取基準(2020 年版) 」を参考に表にまとめたので、参考にしてください。

年齢男性(g/1日)女性(g/1日)
0~244
3~566
6~987
10~11108
12~14119
15~17139
18~29118
30~64108
65~7498
75歳以上87
妊婦9
授乳婦10
参照:「日本人の食事摂取基準(2020 年版)p16
油は1日あたりの14gを目安に!

味の素で販売されているキャノーラ油の摂取目安量を見ると以下のように書かれています。

一日あたりの摂取目安量:調理用の油として、一日当たり14gを目安に、普段ご使用の食用油と同じようにお使いください。

引用元:AJINOMOTO 「さらさら®キャノーラ油健康プラス」

摂らなさすぎもダメ!脂肪酸はバランスが大事

脂肪酸は脂質の主要な構成要素で、人のエネルギー源になります。

ほかにも細胞膜やホルモンを構成する、皮下脂肪として臓器や外部刺激から保護する、脂溶性ビタミンの吸収促進するなどの働きがあり、人の健康に欠かせません。

問題は、摂取過剰とバランスの悪さです。脂肪酸には4つの種類があります。

  • 飽和脂肪酸
  • 一価不飽和脂肪酸(オメガ9)
  • 多価不飽和脂肪酸(オメガ3・オメガ6)
  • トランス脂肪酸

トランス脂肪酸を除く脂肪酸の比率が次のような比であることが望ましいとされています。

飽和脂肪酸:一価不和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3

この比率はそれぞれの頭文字をとってSMP比と呼ばれています。過剰摂取を避け、それぞれの脂肪酸をバランスよく摂取することが大切です。

油の摂取量を減らすならフライパンで調理するのもおすすめ

フライパンの中で1㎝程度の深さの油で揚げ焼き調理しているところ

通常、揚げ物には約800mlもの油が必要です。何度も使用すると酸化も気になります。

そこで油の摂取量を減らす工夫のひとつに、フライパンでの揚げ焼きがあります

写真では、1㎝程度の深さまで油を使用していますが、もっと少ない分量でも十分です。後処理も簡単なので、試してみてください。

また調理によっても油の吸収率は違ってきます。

  • 素揚げ:吸油率5%
  • 唐揚げ:吸油率8%
  • 天ぷら:吸油率15%
  • フライ:吸油率15%

衣の種類で10%も吸油率に差があるので、これを参考に調理方法も工夫してみましょう。

レンジを使えばさらにカロリーオフ

油を吸いやすい、なす・きのこ・玉ねぎなどの食材は、あらかじめ電子レンジで加熱して下処理しておきましょう。

蒸してから焼くことで、長時間油で加熱することがなく、油の酸化も防げます

揚げ物に使うなら「オリーブオイル」や「こめ油」を使おう

揚げ油に使用するなら、加熱しても酸化しにくい油を使用しましょう。

酸化しやすいのは多価不飽和脂肪酸のオメガ6やオメガ3系の油である、ゴマ油・大豆油・ヒマワリ油・えごま油・アマニ油などです。これらは、加熱用よりも仕上げや生食に適しています。

一方、酸化に強いのはオメガ9系(一価不飽和脂肪酸)のオリーブオイル、こめ油、キャノーラ油など。

とくにこめ油は、比較的安価で手に入れやすく、クセもなくカラッと揚がるのでおすすめです。

キャノーラ油は体に悪い?に関するQ&A

スプーンに食用油を注ぎ、あふれてこぼれている

キャノーラ油について、よくある質問をまとめました。

Q. キャノーラ油が安い理由は?

Q. こめ油とキャノーラ油はどっちの方がいい?

Q. コレステロールゼロの油は体にいい?

Q. 遺伝子組み換えのキャノーラ油はある?

気になる項目をチェックしてみましょう。

Q. キャノーラ油が安い理由は?

キャノーラ油の価格が安い理由は、原料の安さと製法にあります。

キャノーラ油の原料となるのは、品種改良されたアブラナ科のキャノーラです。おもな生産国はカナダで、菜種特有の体に害をなすエルカ酸とグルコシノレートを低めに抑えた品種です。

カナダは、キャノーラの開発と生産に力を入れ、大豆と小麦に並ぶ輸出品としての地位を確立しました。

また生産方法は、圧搾ののち溶剤で原料残油を採油するというものです。菜種油とは、原料も製法もまったく違い、かなり安価で製造できます。

それぞれの違いを次の表で比較してみてください。

キャノーラ油菜種油
原材料菜種キャノーラ種の菜種
主な原産国日本・カナダ
オーストラリア
カナダ
オーストラリア
平均価格490円/1000g1300円/1000g
製法玉締め絞りノルマルヘキサン抽出法
価格参考:価格com(2023年2月時点)

Q. こめ油とキャノーラ油はどっちの方がいい?

こめ油は、米ぬかを原料にした食用油で、熱にも強く、揚げ物もカラッと上がります。味や香りのクセもないので非常に使いやすい食用油です。

また、ビタミンEなどの栄養分を豊富に含みます。100g中に含まれるビタミンE量は下記のとおりで、こめ油が断トツに高いです。

食用油のビタミンE含有量
画像引用:TUNO|こめ油の秘密

使いやすさはキャノーラ油とこめ油に大きな違いはありません。ただし揚げ物の場合は熱による酸化に強いこめ油の方がおすすめです。

一方、価格面ではキャノーラ油の方が安価ですから、普段使いには適していると言えるでしょう。

Q. コレステロールゼロの油は体にいい?

食用油のパッケージに「コレステロール・ゼロ」と表示されているのを見たことありますか。健康に良さそうなイメージがありますよね。

食用油のラベル3つ
画像引用:Amazon

しかしコレステロールは、もともと動物の細胞に含まれる成分で、植物にはほとんど含まれません

そのためキャノーラ油を含む一般的な食用油には、コレステロールはゼロもしくは微量しか含まれていないのです。

そもそもコレステロールを含まないので「コレステロール・ゼロ」は虚偽でもなく、法的にも「コレステロール・ゼロ」と表記して問題ありません。

Q. 遺伝子組み換えのキャノーラ油はある?

キャノーラ油の原料となるキャノーラは、カナダで品種改良によって作られた菜種の品種名です。従来の菜種には心臓の働きに悪影響を及ぼすエルカ酸が含まれており、品種改良によってエルカ酸を含まないよう作り変えられました。

つまりキャノーラ自体が遺伝子組み換えによって作られています。日本では使用を承認されていますが、遺伝子組み換えの影響が心配になる方もいるでしょう。

現在のところ、遺伝子組み換えによって導入された遺伝子とタンパク質は、精製過程で不純物として除去されているので、使用による影響はほぼないといわれています。

まとめ

このページでは、キャノーラ油の特徴や安全性についてまとめました。

最後に重要な点をおさらいしておきましょう。

  • キャノーラ油の原料は植物の菜種
  • 体に悪いといわれる理由は「オメガ6(リノール酸)」
  • トランス脂肪酸も確かに含まれるが少量
  • 大量摂取は危険!ただし研究は動物実験によるものが多い
  • オメガ6の摂取目安量は男性9〜11g、女性7〜8g
  • 油の摂取量を減らすならフライパンで調理するのもおすすめ
  • 揚げ物に使うなら「オリーブオイル」や「こめ油」を使おう

品種改良によって作られたキャノーラ。遺伝子組み換え食品ではありますが、ヒトで健康被害などが出た具体的な例はありません。

キャノーラ油自体は、血中のコレステロールを適正に保つ働きがあるオレイン酸や血栓や血圧上昇を防ぐαリノレン酸を豊富に含み、適量の使用であれば問題なさそうです。

ただし、加工食品や総菜などで日本人の油の摂取量が年々増えてきているのも事実。油の摂取は控えめにし、調理の際には、できるだけ新鮮な油を使用するようにしましょう。

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この記事を書いた人

子供を健康に育てたい全てのママに向けて、栄養や食育、幼児教育などの情報を発信する「mamahealth(ママヘルス)」編集部です。

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