成長期の子どもたちには、タンパク質をたくさん摂らせたいですよね。
「おやつでもタンパク質が摂れるようにしたい」
「手軽にタンパク質を摂れるおやつって何?」
この記事では、忙しい毎日でも簡単に食べられるタンパク質豊富なおやつをご紹介!
スーパーやコンビニでも購入できる食品がほとんどなので、参考にしてください。
間食にもおすすめ!タンパク質が豊富なおやつ5選
間食におすすめのタンパク質豊富なおやつは次の5つです。
①ゆで卵
②ギリシャヨーグルト
③ダークチョコレート(なるべくカカオが多いもの)
④ナッツ類(クルミ、アーモンド、ピーナッツなど)
⑤ベビーチーズ
順番に見ていきましょう。
①ゆで卵
ゆで卵は高タンパク・低糖質な食材で、ダイエットや筋肉をつけたい人にも重宝されています。単にタンパク質が豊富なだけでなく「アミノ酸スコア」が100に限りなく近い点も注目ポイントです。
アミノ酸スコアとは、食べ物に含まれるタンパク質の量と「必須アミノ酸」がバランスよく含まれているかを数値化したもの。
20種ある必須アミノ酸のうち体内で合成できないものが9種(イソロイシン・ロイシン・リジン・メチオニン・フェニルアラニン・スレオニン・トリプトファン・バリン・ヒスチジン)あり、1つでも不足すると健康な体の維持が難しいといわれています。
100gあたりの栄養素は次のとおりです。
エネルギー | 134kcal |
---|---|
タンパク質 | 12.5g |
脂質 | 10.4g |
コレステロール | 380mg |
ナトリウム | 140mg |
カリウム | 130mg |
カルシウム | 47mg |
リン | 170mg |
鉄 | 1.5mg |
亜鉛 | 1.1mg |
レチノール | 160μg |
葉酸 | 48㎎ |
ゆで卵M(可食部約50g)を1個食べると、上記の半分の栄養が摂取できるとされています。
また白身の大部分はタンパク質で構成されているのに対し、黄身にはその他にも脂質、ビタミンA・E・B群・レシチンなどが豊富に含まれます。
平飼いと普通の卵の違いはない
北海道立消費者センターが平飼いの鶏とゲージで飼育された鶏の卵で栄養価の比較テストをおこないました。その結果、大きさ・脂質・タンパク質の量において、両者に大きな違いがないことがわかっています。
一番の違いは色と価格でした。普通卵に比べ平飼いの卵(一般的に有精卵であることが多い)は黄色味が薄かったり赤味を帯びていたりなどの違いがあります。その原因は飼料に含まれるカロチノイドです。
価格は普通卵と比較すると、平飼いなどの特殊卵は平均して3倍でした。これは育てるためにかかったコストを反映したものです。
参照:北海道立消費者センター|たんぱく質、脂質ともに普通卵と大差なし ~特殊卵の栄養テスト~
「卵は1日1個まで」は科学的根拠がない
以前は「卵を食べすぎるとコレステロールの摂り過ぎになりよくない」「卵は1日1個まで」などといわれていました。
これは1970年代におこなわれた研究をもとにしており、それを受けて厚生労働省は1日のコレステロール摂取基準を女性600㎎、男性750㎎としていました。卵1個のコレステロール量は約300㎎であることから、卵は1日1個までが良いと推奨されてきたのです。
それが2015年に改定された厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、「十分な科学的根拠がない」ことから目標量(摂取上限)が消えています。
実際のところ卵に含まれるオレイン酸は悪玉コレステロールを減らします。またレシチンは善玉コレステロールを増やし、その結果血管壁に付着したコレステロールを回収してくれます。
ただしどんなものも食べすぎは禁物です。栄養指導でも1日1~2個を推奨しているケースが多く、多くても2個程度に抑えておくのが無難でしょう。
②ギリシャヨーグルト
ヨーグルトも卵と同じくアミノ酸スコアが100の良質なタンパク質を含む食品です。
全脂無糖と脱脂加糖で多少栄養成分が違うので表で比較してみました。ゆで卵と比べるとタンパク質量は少ないものの、カルシウムが同時に摂れるのがメリットです。
加糖ヨーグルトは、脱脂しているのでタンパク質量がアップしていますが、亜鉛やレチノールなどのビタミン類はほとんどなくなっています。
成分 | 全脂無糖 | 脱脂加糖 |
---|---|---|
エネルギー | 56kcal | 65kcal |
タンパク質 | 3.6g | 4.3g |
脂質 | 3g | 0.2g |
コレステロール | 12mg | 4mg |
ナトリウム | 48mg | 60mg |
カリウム | 170mg | 150mg |
カルシウム | 120mg | 120mg |
リン | 100mg | 100mg |
鉄 | – | 0.1mg |
亜鉛 | 5.5mg | 0.3mg |
レチノール | 33μg | 0μg |
葉酸 | 11㎎ | 3mg |
ヨーグルトは、腸管のバリア機能を強化し炎症のリスクを低減することが明治の研究で明らかになりました。免疫を上げ、リーキーガットなどの腸の炎症を抑えることで、アレルギーなどを抑制する効果が期待できるようです。
さらに成人男性を対象にした12週間の試験では、ギリシャヨーグルトを食べて運動することで、体脂肪を減らしつつ筋肉量を上げる効果があることもわかりました。
ギリシャヨーグルトと普通のヨーグルトとの違いは「ろ過」により乳清(ホエー)を取り除いている点です。その結果、全体の重さに占めるタンパク質の量が増え、同じ量を食べても多くのタンパク質を摂取できます。普通のヨーグルト100g中のタンパク質が3.6gであるのに対して、ギリシャヨーグルトは約10gと3倍近くなっています。
タンパク質の量からいえばギリシャヨーグルト。次に脱脂加糖ヨーグルト、ミネラルやビタミンを重視するなら全脂無糖と使い分けるのもいいかもしれません。
参照:J-Stage|腸管バリア機能に対するヨーグルトの効果
参照:Greek Yogurt and 12 Weeks of Exercise Training on Strength, Muscle Thickness and Body Composition in Lean, Untrained, University-Aged Males
冷凍ベリーやアーモンドを入れれば食べ応えのあるおやつに
飽きずに食べるには、トッピングにこだわるのも一つの方法です。
ビタミンBやビタミンEが豊富で美容に効果的なアーモンドや抗炎症作用や心臓・血管機能の向上効果があるブルーベリーなどをトッピングすれば食べ応えがあるうえ、栄養的にもパワーアップできます。
ブルーベリーの栄養効果については、こちらの記事を参考にしてください。
③ダークチョコレート(なるべくカカオが多いもの)
チョコレートには、ダークチョコレート・ブラックチョコレート・ミルクチョコレート・ホワイトチョコレートなど、さまざまな種類があります。
ダークチョコレートとブラックチョコレートは同義ですが、カカオマスの割合が明確に決まっているわけではありません。一般的にカカオ40~60%を「スイートチョコレート」、カカオ60%以上を「ダークチョコレート」と表記することが多いようです。
またミルクチョコレートはカカオの含有量に関係なく、チョコレートに乳分量を加えたものの総称です。一方ホワイトチョコレートにはカカオマスが含まれません。主な原料はカカオバターなので、別の商品と考えたほうがいいでしょう。
ダークチョコレートの成分については明治のブラックチョコレートを参考にしました。50gあたりの栄養成分は次のとおりです。
タンパク質 | 3.3g |
脂質 | 19.7g |
炭水化物 | 26.1g |
‐糖質 | 22.8g |
‐炭水化物 | 3.3g |
タンパク質量は多いものの、カロリーが高いのが気になるところです。そのため量には気をつける必要がありますが、ダークチョコレートの香りで食欲が抑えられるという研究結果もあります。
ほかにも血圧低下・精神安定効果なども報告されています。カロリーに気をつけつつ、小腹が空いたときに食べるには良いかもしれませんね。
参照:Appetite suppression through smelling of dark chocolate correlates with changes in ghrelin in young women
参照: チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究
砂糖入りのチョコレートの大量摂取には要注意
ダークチョコレートであっても、多くの砂糖を含みます。虫歯のリスクが高まるだけでなく、同時に脂肪分が多い食品であることも知っておく必要があります。
効率的にエネルギーとタンパク質を摂取できるチョコレート。クセになるほどおいしいですが、1日に摂取する量を決め、食べ過ぎないよう気を付けましょう。
④ナッツ類(クルミ、アーモンド、ピーナッツなど)
ナッツ類は、タンパク質以外にビタミンEが豊富で、健康的なおやつとして注目されています。ただし下の表を見ていただくとわかるように、ナッツ類は高脂肪・高カロリー食品です。
カロリー | 572kcal | 608kcal | 674kcal |
タンパク質 | 25.2g | 20.3g | 14.6g |
脂質 | 47g | 54.1g | 68.8g |
炭水化物 | 19.4g | 20.7g | 11.7g |
ビタミンE | 18mg | 30mg | 27.5mg |
とはいえ、高カロリーだから控えめにするべきかといえば、それを覆す研究があります。
トロント大学で二型糖尿病に悩む117人の男女がナッツを主食とした食事を3ヶ月続けたところ、HbA1c(糖尿病の指標)が大幅に改善。全粒粉で作られたマフィンを主食としたグループと比べても、その差は明らかでした。
タンパク質やビタミンEが豊富で糖尿病改善効果もあるナッツ。積極的におやつに取り入れたいですね。
参照:https://link.springer.com/article/10.1007/s00125-018-4628-9
⑤ベビーチーズ
乳製品であるチーズは、タンパク質とともにカルシウムが豊富です。コップ1杯の牛乳(200ml)分の栄養が約20gのチーズに凝縮されています。
以下の表を見ると、ヨーグルトと比べても、チーズはタンパク質量・カルシウムを多く含むことが分かります。
カロリー | 313kcal |
タンパク質 | 22.7g |
脂質 | 26.0g |
炭水化物 | 19.4g |
カルシウム | 630mg |
ベータカロチン | 230μm |
ただし気になるのはカロリーや脂肪分ですよね。「食べすぎると太るのでは?」と思われていたチーズですが、逆の効果があるとわかりました。
イギリスの2018年の調査によれば、チーズは体重減少や筋肉量増加に寄与するとのこと。5年に及ぶ追跡調査で、チーズなどの乳製品を多く食べているグループのほうがBMIが低かったことがわかりました。
参照:Dairy Foods and Body Mass Index over 10-Year: Evidence from the Caerphilly Prospective Cohort Study
心筋梗塞など循環器系疾患になるリスクとは無関係
チーズには飽和脂肪酸が多く含まれます。「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」において「飽和脂肪酸の摂取量を減らすと心筋梗塞リスクが下がる」と指摘されており、1日に摂取する上限量も設定されました。
その結果、「チーズを食べすぎると心筋梗塞に悪影響」といわれるようになったのですが、実際は逆だと指摘する研究がその後発表されています。
また「牛乳や乳製品の摂取習慣は、全脂肪・低脂肪に関係なく中立的(体重の増減に影響を与えない)である」との指摘や、チーズを摂取することで血中コレステロール濃度が改善するといったデータもあります。
タンパク質が豊富なおやつを食べる際の注意点と吸収効率を上げる方法
タンパク質豊富なおやつを食べる際の注意点と効率的な摂取方法について、次の3点にまとめました。
- おやつからのタンパク質摂取量は1日あたり50〜65gを目安にしよう
- ビタミンB6、B2、Cと一緒に摂取するのがおすすめ
- 食事やおやつから摂取することが難しい場合は健康食品の活用も考えよう
順に見ていきましょう。
おやつからのタンパク質摂取量は1日あたり50〜65gを目安にしよう
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」には、性別と年齢ごとにタンパク質の1日摂取目標値が設定されています。運動量が多い・普通・少ないと分かれていますが、成人であれば100g前後となっています。
注意ポイントは、成長期の子どもには大人以上にタンパク質が必要な点です。成長中の身体のために、意識してタンパク質を摂る必要があります。
一方で、平均必要量は50~65gと設定されていています。おやつでタンパク質を積極的に摂取しておけば、1日に必要なタンパク質の1/2〜1/3を確保できて安心です。
腎臓病を発症している場合には腎機能に悪影響を及ぼすかも
ただし慢性腎臓病を発症している場合、タンパク質摂取が腎機能の低下を促進する恐れがあります。
実際、慢性腎臓病の方が低タンパク質食にした場合、高タンパク質食に比べ、末期腎疾患への進行が少なかったと報告されています。
参照:日本腎臓学会|CKD の進展を抑制するために,たんぱく質制限は 推奨されるか?
ビタミンB6、B2、Cと一緒に摂取するのがおすすめ
タンパク質は、一気に摂取しても大量に吸収できないといわれています。一度に吸収できる量の目安は50g。その吸収率を高めるためにビタミンが大切な役割を果たしています。
タンパク質は胃で消化されたのちアミノ酸として腸から吸収されますが、分解にはビタミンB6やB2が必要です。またビタミンCは、タンパク質からコラーゲンを生成する際に欠かせません。
おやつでタンパク質を食べる際には、ビタミンB2・B6・Cが豊富な果物と一緒に摂るとよいでしょう。とくにビタミンが豊富な、バナナやいちご・キウイなどがおすすめです。
手作りの食事やおやつから摂取することが難しい場合は健康食品の活用も考えよう
毎日のようにタンパク質とビタミン豊富な食事やおやつを用意するのが難しい場合は、市販品や健康食品の活用も考えましょう。サラダチキンやゆで卵であれば、コンビニでも手に入ります。
またプロテインバーやプロテインのスムージーなど、健康食品で積極的にタンパク質を摂る習慣をつけても良いかもしれませんね。
タンパク質を含むおやつに関するQ&A
タンパク質豊富なおやつに関する、よくある質問についてまとめました。
Q.手作りできるおやつのレシピはある?
Q.コンビニで買えるもので一番タンパク質が多い食品は?
Q.手軽にタンパク質を取れる飲み物は?
気になる項目をチェックしてみましょう。
Q.手作りできるおやつのレシピはある?
クッキーやケーキの生地におからを混ぜるのは、タンパク質豊富な手作りおやつを作る手軽な方法です。おからは大豆が原料の植物性タンパク質で食物繊維も豊富。
動物性たんぱく質であれば、プリンや牛乳寒天などもおすすめです。クックパッドなどのレシピサイトにたくさん掲載されているので参考にしてみましょう。
ここでは、クックパッドに掲載されていた豆腐とクリームチーズのケーキをご紹介します。
簡単にできるうえ、タンパク質豊富な材料ばかりです。
Q.コンビニで買えるもので一番タンパク質が多い食品は?
コンビニで買えるなかで一番タンパク質が多い食品はハムとチーズのブリトー(27g)です。
そのほかにも約25gのタンパク質が摂れるサラダチキンもおすすめ。スモークタイプやハーブ味などアレンジされたものも発売されているので、いろいろな味を楽しめます。
ちなみにプロテインバーのタンパク質量は約10gです。チョコレート味など食べやすいものが多いので、ぜひ試してみましょう。ほかにもタンパク質が多く含まれる食材としては、チキンと卵のサンドイッチ(約17g)や唐揚げなどもおすすめです。
Q.手軽にタンパク質を摂れる飲み物は?
手軽にタンパク質を摂れる飲み物には次のようなものがあります。
商品名 | 100mlあたりのタンパク質 | 備考 |
---|---|---|
牛乳 | 3.4g | |
飲むヨーグルト | 3g | ※グリコ飲むヨーグルト |
プロテイン | 8g | ※ZAVASを水100mlに溶かす量で計算(11.2gあたり) |
豆乳 | 3.3g |
プロテインを牛乳で溶かして飲めば、10g以上のタンパク質を摂取できる計算です。運動量が多い方、筋肉をつけたい方は活用しましょう。
まとめ
この記事では、タンパク質を多く含むおやつについてまとめました。
最後に重要な点をおさらいしておきましょう。
- タンパク質を多く含むおやつ5選は、ゆで卵・ギリシャヨーグルト・ダークチョコレート・ナッツ類・ベビーチーズ
- おやつからのタンパク質摂取量は1日あたり50〜65gを目安にしよう
- ビタミンB6、B2、Cと一緒に摂取するのがおすすめ
- 手作りの食事やおやつから摂取することが難しい場合は健康食品の活用も考えよう
成長期の子どもはもちろんのこと、成人や年配の方にとっても、新しい細胞を生み出すためにタンパク質は重要な栄養素です。おやつをタンパク質豊富なものにすれば、健康的な食生活になること間違いなし。
コンビニやスーパーでも手軽に手に入るものが多いので、意識して食べるようにしたいですね。