「白砂糖は体に悪い」
こんな言葉を一度は聞いたことがありませんか?
「白砂糖は虫歯になる」
「白砂糖は肌が老化する」
「白砂糖は鬱になる」
上記のようにさまざまな説が横行していますが本当なのでしょうか。
この記事では、科学的根拠に基づいて白砂糖がよくない理由や、その真実について解説します。
「白砂糖」=「体に悪い」は嘘?危険性を論文を基に検証
「白砂糖は体に悪い」という説に科学的根拠はあるのでしょうか?
論文などを引用しつつ次のような観点から解説していきます。
- 砂糖がよくない理由
- WHOと厚生労働省の見解の違い
- 砂糖と虫歯の関係
- 精製されたほかの炭水化物との違い
- 代替甘味料について
順に見ていきましょう。
そもそも白砂糖の何が悪いのか。良くない理由は…
白砂糖の主成分である糖質は、体のエネルギー源として重要な役割をはたしており、日々の活動に欠かせません。
分解されて肝臓に取り込まれた糖質は、おもにエネルギー源として利用されます。それ以外にも、グリコーゲンに合成されたり必須アミノ酸の合成に利用されます。
グリコーゲンとは、ブドウ糖(D-グルコース)の重合体で、おもに動物の細胞中に存在する貯蔵多糖類のことを指します。細胞のエネルギー源となるグルコースを、安定で、しかも必要に応じてすぐ取り出せるような形で貯蔵しておくことが、グリコーゲンの機能です。
引用:コトバンク(日本大百科全書/ニッポニカ)グリコーゲンの解説
「頭を使うと甘い物がほしくなる」といいますが、これはグリコーゲンが脳のエネルギーに使用されているためです。
このように人間の活動に糖質は欠かせません。しかし白砂糖が問題視されるのは、サトウキビから精製される過程でほとんどのミネラルを失ってしまうためです。
これは、体のバランスを取るための栄養素をほとんど含まず、エネルギー源としての機能しかないことを意味します。
また、糖がエネルギーに変換されるにはビタミンB1が必要となります。
つまり大量の白砂糖を摂取すれば、大量のビタミンB1が消費されるのです。
参考:大阪教育大学|糖質の役割
ビタミンB1が不足すると問題なのは、脚気やウェルニッケ脳症のリスクが高まることです。
また病気に至らないにしても、ビタミンB1の不足は、いらいら・むくみ・手足のしびれ・全身の倦怠感・食欲不振・末しょう神経障害や心不全にもつながります。
ウェルニッケ脳症はビタミンB1(チアミン)の不足により、脳の奥のほうの部位(脳幹部)に微小な出血が起こり、細かい眼の振るえ(眼振)が目の動きに制限が出る(眼球運動障害)、意識障害などの精神状態の変化、ふらつき(失調性歩行)といった様々な症状が急激に出現します。
厚生労働省e-ヘルスネット|ウェルニッケ・コルサコフ症候群
また砂糖の過剰分は、脂肪として蓄積されるので、肥満のリスクも高まります。
じつは危険じゃない?WHOと厚生労働省では砂糖の目安量が異なる
よく議論される「白砂糖をどれくらい摂取すると体に悪いか」については、世界保健機構(WHO)と日本で目安が異なっています。
WHOは、砂糖が1日の総エネルギーの10%以上になった場合、肥満や虫歯になる確率が飛躍的に上がると報告。
そのうえで摂取量を1日の総エネルギーの5%未満に抑えることが好ましいとしています。これは一般的な成人のカロリーで計算すると約25g(小さじ6杯分)です。
世界保健機関(WHO)ガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」
一方、日本ではどれくらいの糖類を摂取すると健康に影響が出るのか、また現在日本人がどのくらいの糖類を摂取しているのかがほとんど明らかになっていないことから、目標量は設定されていません。
日本人の食事摂取基準(2020 年版) 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書においても、糖質は炭水化物の一種と考え、次のように言及しています。
糖類の過剰摂取が肥満やう歯の原因となることは広く知られているが、日本人の糖類の摂取量の把握が現状では困難であることから、目標量は設定しなかった。
日本人の食事摂取基準(2020 年版) 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
WHOは、かなり厳しい目標値を設定していますが、国別で見てみると推奨量に差があるのが現状です。
参考:炭水化物を糖類について
1日に全糖で133g、果糖で58g、加糖で65gで心血管疾患の発症リスクが高まる
ジョン・シーヴェンパイパー博士が率いる研究チームは、心血管疾患の発生率と死亡率に対して果糖を含む全糖類と添加糖類の関係を調べ、以下のことを明らかにしました。
“全糖,果糖,加糖とCVD死亡率との有害な関連は,全糖で133グラム(26%エネルギー),果糖で58グラム(11%エネルギー),加糖で65グラム(13%エネルギー)以上の摂取量を有害とする。これらの糖の摂取量が少ない場合、あるいはショ糖のどの用量でも有害な関連は見られず、ショ糖とCVD死亡率の関係は、ショ糖の50グラム(10%エネルギー)増加がCVD死亡率の7%減少という結果となった。”
引用元:Khan TA, Tayyiba M, Agarwal A, Mejia SB, de Souza RJ, Wolever TMS, Leiter LA, Kendall CWC, Jenkins DJA, Sievenpiper JL.総糖類、ショ糖、果糖、加糖と心血管疾患のリスクとの関係。A Systematic Review and Dose-Response Meta-analysis of Prospective Cohort Studies(前向きコホート研究の系統的レビューと用量反応メタ分析)。Mayo Clin Proc. 2019 Dec;94(12):2399-2414. doi: 10.1016/j.mayocp.2019.05.034.pmid: 31806098.
まとめると1日に全糖で133g、果糖で58g、加糖で65gで心血管疾患の発症リスクが高まるということです。
全糖はブドウ糖などの単糖類、ショ糖などの二糖類、デンプンなどの多糖類すべてをまとめたものを指します。
果糖は、多くの果物や野菜に含まれる天然の糖であり、添加されたショ糖および高果糖コーンシロップの糖の約半分を占めています。また、加糖は、加工過程で加えられる加工糖(グラニュー糖など)、食品を甘くするために加えられる天然糖(ハチミツやフルーツジュース)のことを指します。
加糖が最も多く使われるのは、クッキーやチョコレートバーなどの加工食品です。
加糖の一日摂取量の目安は22g以下とされ、これはティースプーン2杯分の果物ジャム、または炭酸飲料1杯に含まれる量にあたります。
参考:KBSWorldJapanese|身体によくない添加糖 10年間で摂取量36%増加
この目標値は、WHOが推奨する25gよりもさらに厳しい基準ですね。
砂糖と虫歯の発症リスクの関係は明らか
砂糖の摂り過ぎは、健康リスクがあると分かりましたが、虫歯の発症リスクとの関係は、すでに明らかです。
日本において1人あたりの年間砂糖消費量と12歳児童における平均虫歯指数(DMFT)に強い関連があったと報告されています。
グラフでもわかるように、砂糖の摂取量の多い子のほうが虫歯発症率が高いようです。
普段の口の中は弱酸性ですが、食べ物を口に入れると酸性に傾きます。この酸が歯の表面のエナメル質を溶かし、虫歯へとつながるのです。
糖のなかでも虫歯菌が特に好むのが砂糖(ショ糖)といわれています。
とくに子どもは虫歯になりやすい
歯を守っている一番外側の層を「エナメル質」といい、酸によってエナメル質が溶かされることで虫歯が進行していきます。
乳歯のエナメル質は、永久歯の半分ほどしかなく、酸の攻撃に弱く虫歯になりやすいのが特徴です。
また同じ砂糖の摂取量でも、だらだら食べると常に口の中が酸性に傾き虫歯になりやすくなります。
とくにあめやガム、グミ、チューイングガム、ジュース、スポーツドリンクなどは、口の中が甘いもので満たされている時間が長くなりがちです。
量ももちろんですが、食べ方にも注意したほうがよさそうですね。
白米や小麦などの精製された炭水化物も砂糖と同じ
食品に含まれる「糖」は、甘いものだけとは限りません。ごはんやパンに含まれるでんぷんも、最終的に人の体の中で消化されると同じ物質となります。
でんぷんは、唾液に含まれるアミラーゼという酵素によって分解され糖となります。
とくに精製された白米や小麦は糖質の割合が高いので、砂糖と同じく虫歯の原因になる可能性もあるでしょう。
その他乳製品や果物にも糖が含まれているので、虫歯になる危険性は同じようにあるといえます。
砂糖を使うなら代替甘味料を用いるのがおすすめ
代替甘味料とは、砂糖のように甘さを感じる物質の総称です。
種類も多数あり、大きく分けると糖質(炭水化物の一種)に分類される糖質系甘味料と、炭水化物から作られていない非糖質系甘味料があります。
代替甘味料は、単糖類や二糖類の総称である糖類以外のものを指しますが、なかでもキシリトールは、むし歯を予防する効果があるとして注目されています。
またキシリトールは、代謝にインスリンを必要としないので、糖尿病の患者が摂取しても問題ないとされています。
キシリトールは、白樺や樫の木からとれるキシラン・ヘミセルロースという糖分から作られ、糖アルコールの一種で砂糖と同程度の甘さがあります。むし歯を予防する天然甘味料として、北欧諸国で多用され、チューイングガムやタブレットなどに使用されています。厚生労働省より食品添加物として認可されているほか、世界保健機関(WHO)や 国連食糧農業機関(FAO)もその効果を認めています。(中略)代謝するのにインスリンを必要としないので、糖尿病の人が摂取しても心配ありません。
e-ヘルスネット|キシリトール
あめやチューインガムを与える場合は、砂糖よりも虫歯の心配が少ない代替甘味料を使用しているものを選ぶとよさそうですね。
お菓子を購入する際は成分表をチェックして、代替甘味料を使用している製品も検討してみましょう。
人工甘味料に関しては、こちらの記事に詳しく解説しています。
白砂糖が体に悪いことに関するよくある質問
白砂糖が体に悪いことに関する、よくある質問にQ&A形式で回答していきます。
Q.なぜ甘いものはおいしく感じるのか?
Q.白砂糖、黒砂糖、三温糖は何が違う?
Q.きび砂糖も体に悪いのですか?
Q.てんさい糖は白砂糖の代わりになりますか?
気になる項目をチェックしておきましょう。
なぜ甘いものはおいしく感じるのか?
その理由は、甘いものが快楽や喜びといった感覚に直結しているからです。
人間が感じる5種類の味覚「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うまみ」のうち「甘味」は、脳内の快楽を感じる部分を刺激します。
その結果、脳内で「βエンドルフィン」という神経伝達物質の一種が分泌されます。
βエンドルフィンが分泌されると、鎮痛効果・気分の高揚・幸福感などが得られるため、脳内麻薬とも呼ばれるホルモンです。
甘いものを食べると、βエンドルフィンが分泌され、喜びを感じたり、疲れが癒されるように感じたりします。こういった理由で、人間は本能的に甘いもの=おいしいと感じるのです。
白砂糖、黒砂糖、三温糖は何が違う?
白砂糖、黒砂糖、三温糖は、どれも原料のサトウキビを加工したもので、その違いは精製度です。
サトウキビを細かく砕き、汁を煮詰めたものが黒砂糖、その後煮詰めたり、ろ過したりして不純物を取り除き、真っ白に仕上げたものが白砂糖。
さらに白砂糖を繰り返し煮詰めて結晶を取り出す工程を繰り返したものが三温糖です。
三温糖は、煮詰める工程を繰り返すことでカラメル色がついてくるため、やや茶色くなります。
基本的にほとんどの成分がショ糖ですが、黒砂糖にはカルシウムが豊富に含まれており(100g中240mg)、コクが感じられます。
一方、三温糖は、黒砂糖のようにミネラルはほとんど含まず、栄養価は白砂糖と変わりません。香ばしい甘みや風味があるため、煮物などに向いています。
きび砂糖も体に悪いのですか?
きび砂糖の原料もサトウキビなので、白砂糖や三温糖と成分はほぼ同じです。
ただし、マグネシウム・リン・鉄・カルシウム・ナトリウムなどは白砂糖よりも多く含まれています。
特にカリウムは、100gあたりきび砂糖には142㎎含まれるのに対し、白砂糖には2㎎しか含まれません。栄養は白砂糖よりも豊富といえます。
また見た目が薄茶色く白砂糖よりきめが粗い一方で、味にコクがあり料理に色や照りがでやすいのが特徴です。
黒砂糖と白砂糖のちょうど間に位置し、ミネラルを含むきび砂糖。しかし基本的な成分は白砂糖と同じです。虫歯になる危険度など、摂取することで生じるリスクは白砂糖と変わりないといえます。
てんさい糖は白砂糖の代わりになりますか?
てんさい糖と白砂糖の違いは原材料ですが、白砂糖の代わりに使用可能です。
てんさい糖の原料は、甜菜(てんさい)、またの名をサトウダイコンやビートともいいます。
北海道で栽培されており、根の部分を煮詰めたりろ過したりして蜜と結晶を取り出します。
結晶は、白いグラニュー糖や白砂糖になりますが、一般的には薄い茶色の「てんさい含蜜糖」が「てんさい糖」と呼ばれています。
じつは世界の砂糖の生産の内訳は、サトウキビが60%、甜菜が40%の割合で、ヨーロッパにおいては甜菜のほうが砂糖の原料として有名です。
また白砂糖に比べ、ナトリウムやカリウムが豊富であり、さらにはオリゴ糖も含まれています。ちなみにオリゴ糖には整腸作用があり、免疫機能アップ効果があると注目されています。
ただし、オリゴ糖はてんさい糖の成分のわずか5%のみです。ショ糖が大部分を占めることを考えると、白砂糖とあまり変わりません。
白砂糖よりは体によい成分を多く含みますが、摂り過ぎると白砂糖と同様の危険性をもたらすかもしれません。
まとめ
白砂糖が体に悪い理由やその科学的根拠について解説してきました。
最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- 白砂糖を代謝するためにビタミンB1が必要
- 白砂糖の摂り過ぎは心疾患リスクを上げる
- 白砂糖の摂り過ぎは虫歯につながる
- 白砂糖以外の砂糖も成分はほぼ同じ
- 代替甘味料も試してみよう
この記事では、白砂糖と虫歯の危険性に強い結びつきがあることや、白砂糖の摂りすぎで心疾患リスクが高まることを解説しました。
また、白砂糖以外の砂糖も成分はほぼ同じであることから、虫歯になる危険度など摂取することのリスクは同等のようです。
甘いものは、幸せな気分にさせてくれますが、食べ過ぎは禁物です。白砂糖以外の代替甘味料を試しつつ、上手な付き合い方を見つけましょう。
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