マーガリンが体に悪いのは嘘?トランス脂肪酸が危険といわれる理由・発がん性について徹底解説

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「マーガリンが体に悪い」と一度は聞いたことはありませんか。はたして、それは真実でしょうか。

「マーガリンのトランス脂肪酸がダメなのでしょ?」

「悪いと言われながら日本で販売されているのはなぜ?」

「具体的な危険性は何?」

この記事ではマーガリンの危険性や発がん性について詳しく解説します。

結論、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸は確かに体に悪いものでもありますが、近年では企業努力によって低トランス脂肪酸のマーガリンが販売されてます。

製品によってはバターよりもトランス脂肪酸の含有量が低いことがあるのも事実です。

なんとなく「マーガリンは体に悪いのでは?」と思っている方も、不安の正体を明確にできるでしょう。

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マーガリンは体に悪い?危険性やバターとの違いも解説

そもそもマーガリンとバターの違いをご存じですか?ここでは、次の4つのポイントからマーガリンについて深掘りしていきます。

  • マーガリンのトランス脂肪酸には心疾患・発がん性のリスクを高める可能性
  • 日本で規制がないのは影響が小さいと考えられているから
  • トランス脂肪酸はバターにより多く含まれていることもある
  • 通常の食生活をしている限り影響があるとは考えにくい

順に見ていきましょう。

マーガリンのトランス脂肪酸は心疾患・発がん性のリスクを高める可能性がある

トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸の一種で天然のものと植物油を高温に熱して作るものの2種類があります。

天然のものは、牛肉・羊肉・牛乳・乳製品などに微量に含まれます。人工の場合は、植物油や魚油に水素を添加し、液体から固体・半固体へ加工した際にできるものです。おもにマーガリン・ファットスプレッド・ショートニング・揚げ油などに含まれています。

天然のものと人工のものの違いは、水素原子の位置です。天然物はシス型、人工ものはトランス型となっています。

ただし現時点では、天然と人工で健康に及ぼす影響に違いがあるか、またたくさんの種類があるトランス脂肪酸の中で、どのトランス脂肪酸が健康に悪影響を及ぼすかについて、十分な科学的情報はありません。

画像引用:農林水産省|すぐにわかるトランス脂肪酸

しかし、トランス脂肪酸が健康に悪影響を与えることについては分かってきています。

2003年にはWHOが「トランス脂肪酸はLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やすので動脈硬化・狭心症・心筋梗塞などのリスクを高める」と報告しました。

そのほかにも免疫機能の低下、アレルギー疾患の増加、発がんリスクの上昇、認知症・糖尿病の発症に関連しているなど、さまざまな健康リスクが疑われています。 

 心血管疾患患者の死亡数は毎年50万人を超えると推定

2018年にWHOは、世界中の食糧供給から工業的に生産されたトランス脂肪酸を排除する計画を発表しました。トランス脂肪酸摂取が原因の心血管疾患患者の死亡数が毎年50万人を超えると推定されたからです。

トランス脂肪酸が多い食事は、心疾患リスクを21%、死亡率を28%増加させると指摘しています。

工業的に生産されたトランス脂肪酸とは、マーガリンなどの硬化植物油脂を差し、スナック菓子や油で揚げた食品にも多く含まれています。

WHOは、トランス脂肪酸の総摂取量をエネルギー総摂取量の1%未満(1日2,000kcalの食事で2.2g未満)に制限することを推奨。さらにトランス脂肪酸を減らすための行動計画「REPLACE」を公表し、2023年までにトランス脂肪酸の摂取量を減らすよう各国政府に呼びかけています。

参照:食品安全委員会|世界保健機関(WHO)、世界中の食料供給から工業的に生成(副生)されたトランス脂肪酸を排除する計画であることを公表

 アメリカではトランス脂肪酸の規制を大きく進めている

2006年アメリカのニューヨーク市では、「食品中に含まれるトランス脂肪酸を規制する」と委員会で決定しました。これらの規制はレストランをはじめとする飲食サービス業者に対するものです。

行政が規制を取り入れるくらい、トランス脂肪酸の健康に対する影響が大きいことがうかがえます。

その他諸外国でもトランス脂肪酸を規制している

アメリカ以外でも、カナダは2018年にトランス脂肪酸を含む商品を輸入禁止に。続いて2019年にタイも同じ措置を取りました。

また、アルゼンチン・中国・サウジアラビアなどでは、トランス脂肪酸の含有量を表示することを義務化しました。シンガポールでも、2021年6月にトランス脂肪酸を含む商品を全面的に輸入・販売禁止としています。

こうした規制は、脂質やトランス脂肪酸を多く含む食事が多い国を中心に増えてきています。

WHOによると2015年には7か国だったのが、2020年には14か国となり、2022年4月の時点で44か国まで増えました。

参照:農林水産省|トランス脂肪酸に関する各国・地域の規制状況

ただし脂質摂取が比較的少ない日本人への影響はわかっていない

世界中で健康被害の報告がされているなかで、食品安全委員会のトランス脂肪酸に関する調査では、次のようなことがわかりました。

  • 日本人の脂質摂取量は世界水準で見ると少ない
  • WHOが目標とする1%をどの年代でも下回っている
  • 食品メーカーの取り組みでトランス脂肪酸の含有率は低下している

消費者委員会の調査「日本人のトランス脂肪酸平均摂取エネルギー比」によれば、どの年代でもトランス脂肪酸の摂取割合は総エネルギーの1%以下だとわかります。

画像引用:消費者委員会|トランス脂肪酸に関するとりまとめ

マーガリンやファットスプレッドに含まれるトランス脂肪酸含有量についても次の表でわかるように、わずかですが減少傾向にあります。

画像引用:消費者委員会|トランス脂肪酸に関するとりまとめ

このことから食品安全委員会は、トランス脂肪酸が与える日本人の健康への影響について、「通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられる」としています。

ただし摂取エネルギーに含まれる脂質の割合は、年々増加傾向です。工業由来のトランス脂肪酸は油脂に含まれることから、脂質の摂取が多い人は注意が必要だとの指摘もあります。

現時点で体に影響がなくても、今後は問題になるかもしれません。

どのトランス脂肪酸が影響があるかも不明

トランス脂肪酸にはたくさんの種類がありますが、どのトランス脂肪酸がどのような影響を及ぼすかはわかっていません。

また十分な科学的情報がないのに加え、トランス脂肪酸に関する調査は脂肪酸を多く摂取する欧米人を対象としたものがほとんどです。

欧米に比べ脂質の摂取量が少ないとされる日本では、欧米ほど危険視されておらず、科学的根拠を持つ研究が少ないようです。

参照:農林水産省|すぐにわかるトランス脂肪酸

バターより体に悪いは間違い?!トランス脂肪酸はバターのほうが多いことも

「トランス脂肪酸が気になるからマーガリンはダメ」と思っている方は多いかもしれません。たしかにほとんどの製品ではマーガリンのほうがトランス脂肪酸を多く含みます。

食品安全委員会では、食品にどれくらいのトランス脂肪酸が入っているかを調査しました。バターとマーガリンに含まれるトランス脂肪酸量は下の表のとおりです。

画像引用:食品安全委員会|食品に含まれるトランス脂肪酸

この表によると、バター13製品の平均トランス脂肪酸含有量は1.9g/100gでした。一方マーガリンの場合は34製品の平均は7g/100gです。

この数値だけ見ると、マーガリンのトランス脂肪酸含有量はバターの3倍以上あると結論づけられます。

しかし右側の最大値と最小値に注目してみると、バターのトランス脂肪酸量が1.7g~2.2g/100gであるのに対し、マーガリンは0.3g~13g/100gと幅があります。

つまりバターのトランス脂肪酸は製品による差がそれほどない一方で、マーガリンは製品によって、バターよりもトランス脂肪酸量はるかに少ない可能性があります。

これまでマーガリンのほうが体に悪いと言われてきましたが、近年ではトランス脂肪酸に対する企業側の意識から、トランス脂肪酸の含有量が少ない製品が販売されているようです。

バターのほうが安全だと言い切るのは早合点かもしれません。

マーガリン以外にも牛肉・乳製品にトランス脂肪酸が含まれている

マーガリンやショートニング、さらに油で加工されたスナック菓子などに含まれるトランス脂肪酸。じつは天然のトランス脂肪酸は、牛肉や乳製品などにも含まれています。

食品安全委員会の「食品に含まれるトランス脂肪酸」の調査によれば、トランス脂肪酸の100g当たりの含有量は下記の表のとおりです。

食品名トランス脂肪酸含有量(g/100g)
マーガリン7.0
ショートニング13.6
スナック菓子0.62
バター1.95
牛肉0.52
ヨーグルト0.04

バターのほうがスナック菓子よりもトランス脂肪酸の含有量が多いことがわかります。

スナック菓子とは異なり、バター100gを一気に摂取する機会は少ないので一概には言えませんが、トランス脂肪酸の観点から言えば、決してバターは健康的な食品だとはいえないようです。

さらには「バターよりもマーガリンのほうがよい」という研究もある

2020年アメリカミネソタ大学での研究で、83種類のマーガリンを調べたところ、マーガリンにはトランス脂肪酸がほぼ含まれておらず、飽和脂肪酸含有量もバターに比べて少なかったことがわかりました。

この変化の背景には、FDA(アメリカ食品医薬品局)が2018年以降、食品への水素添加油脂の使用を禁止したこともあるようです。

なお固形のものよりはチューブ入りのやわらかいタイプのほうが、飽和脂肪酸量も少ないとのこと。近年のアメリカでは、バターよりもマーガリンのほうがトランス脂肪酸含有量が少ないのは常識になりつつあるようです。

つまり「マーガリンはトランス脂肪酸が多いから絶対ダメ」と頭ごなしに決めつけるのではなく、適切な商品を選ぶ柔軟な姿勢が求められるということです。常に新しい情報を取り入れることが大切でしょう。

参照:「Public Health Nutrition」Nutrient comparisons of margarine/margarine-like products, butter blend products and butter in the US marketplace in 2020 post-FDA ban on partially hydrogenated oils

【結論】通常の食生活をしている限り影響があるとは考えにくい

ここまでで日本人の場合、「通常の食生活をしている限りトランス脂肪酸の悪影響があるとは考えにくい」ことがわかりました。

日本人のトランス脂肪酸の平均的な摂取量は欧米諸国と比べはるかに少ない量です。

ただし最近では脂質を摂りすぎている人も増えているので油断は禁物です。

農林水産省がおこなった調査では、摂取エネルギーに占める脂質の割合が上昇しており、そのなかで飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取量が増えています。

画像引用:農林水産省|脂質のとりすぎに注意

脂質のなかには、不飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が含まれているので、脂質の多い食事をしていれば自然にトランス脂肪酸の摂取量は増えてしまいます。

またトランス脂肪酸は、バターやマーガリン以外の多くの食材にも含まれています。このことから食事内容全体に気を付ける必要がありそうです。

低トランス脂肪酸のマーガリンなら1日に一箱食べなければ危険量に達しない(トランス脂肪酸換算)

WHOによるトランス脂肪酸の1日摂取勧告量は「総エネルギー摂取量の1%未満」です。日本人の総エネルギー平均は約1900kcalなので、グラムに換算すると1日当たり約2g未満に相当します。

通常のマーガリンのグラム数に換算すると、平均的なマーガリンのトランス脂肪酸含有量は100g当たり7gですから、約28gが摂取目安量となります。(参照:食品安全委員会「食品に含まれるトランス脂肪酸」)

また低トランス脂肪酸のマーガリンのトランス脂肪酸含有量は100g当たり0.4gです。

低トランス脂肪酸のマーガリンの場合に限っては、500g摂取しないとトランス脂肪酸量2g(1日の摂取勧告量)に達`しない計算になります。

500gといえばマーガリン1~2箱分相当です。

通常の食事をしている限り、トランス脂肪酸を取りすぎることはなさそうですね。

結論としては、低トランス脂肪酸のマーガリンを選べば、トランス脂肪酸の量を気にすることなく摂取できるでしょう

マーガリンを日常的に使用する方は、商品を選ぶ際に「低トランス脂肪酸」であるかも意識してみてください。

マーガリンは体に悪い?に関するQ&A

マーガリンに関して、よくある質問をQ&A形式で回答します。

Q. マーガリンとバターの安全性の違いはある?

Q. マーガリンとバターのコレステロールの違いは?

Q. チューブタイプのマーガリンと通常のものは何が違う?

気になる項目をチェックしておきましょう。

Q. マーガリンとバターの安全性の違いはある?

マーガリンもバターもどちらも過剰摂取は危険です。

今までマーガリンとバターの大きな違いは、トランス脂肪酸の含有量でした。トランス脂肪酸は、狭心症や急性心筋梗塞などの「冠動脈疾患」の危険因子のひとつとされています。

しかし近年では低トランス脂肪酸のマーガリンも開発され、マーガリンとバターに大きな違いは無くなってきています。

どちらも脂質は多いですが、適量を守って使用する分には、マーガリンとバターの安全性に違いはないといえます。

Q. マーガリンとバターのコレステロールの違いは?

バターはマーガリンの42倍のコレステロール値を有します。

100g当たりのコレステロール値を比較してみると、バター210㎎・マーガリン5㎎となっています。(参照:日本食品標準成分表2020年版)

コレステロール値の観点からいえば、植物スタノールやステロールを含むマーガリンは、総コレステロール値とLDLコレステロール値を下げる働きがあり、バターよりも健康によいといえるかもしれません。

植物ステロールとは、コレステロールに構造や機能が似た植物由来の化合物で、腸でのコレステロール吸収を抑制する働きがあります。

コレステロール値が気になる方は、バターよりもマーガリンを選択肢に入れてみましょう。

参照:Oregon State University|植物ステロール

Q. チューブタイプのマーガリンと通常のものは何が違う?

チューブタイプはバターとマーガリンがブレンドされている商品です。

チューブタイプのマーガリンの原料には、バターが含まれます。

冷蔵庫に入れておくと固くなってしまうバターとは違い、絞るだけで手軽に取り出せ、最初からやわらかい状態で使いやすいのも特徴です。

また植物性油脂であるマーガリンを混ぜることで、コレステロール値もバターよりも低くなっています。バターの風味を残しつつ、使い勝手の良さや低コレステロールを実現した商品なので、マーガリンとバターのいいところ取りの商品といえます。

ただし、乳化剤や酸化防止剤、香料などが添加されている場合が多いのが現状です。

添加物が気になる方は原材料の表示をチェックして購入を決めるようにしましょう。

まとめ

このページでは、マーガリンの安全性や危険といわれる理由についてまとめました。

最後に重要な点をおさらいしておきましょう。

  • マーガリンのトランス脂肪酸には心疾患・発がん性のリスクを高める可能性
  • 日本で規制がないのは影響が小さいと考えられているから
  • トランス脂肪酸はバターのほうが多いこともある
  • 通常の食生活をしている限り影響があるとは考えにくい
  • マーガリンのほうがコレステロール値が低い

トランス脂肪酸の含有率が高く危険視されていたマーガリンですが、低トランス脂肪酸のマーガリンも開発されており、適切な商品を選べばトランス脂肪酸に関する心配はないといえそうです。

このような理由から、家庭で適度に使用する分には、どちらを使用しても問題ないでしょう。

ここで重要なのは、マーガリンもバターも、ほとんどの成分が脂質であるということ。過剰摂取には注意する必要があります。

また、スナック菓子やクッキー・菓子パン・ファーストフードなどで使用される油脂については、トランス脂肪酸の規制はされていません。総エネルギーに占める脂質の割合が年々増えていることを踏まえて、食事内容には気を付けていきたいものです。

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この記事を書いた人

子供を健康に育てたい全てのママに向けて、栄養や食育、幼児教育などの情報を発信する「mamahealth(ママヘルス)」編集部です。

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