「なんだかやる気がない…。」
「最近、すぐに体調を崩してしまう」
近年は偏った栄養摂取や食生活の乱れによる、身体的・精神的な健康への影響が懸念されています。
そのような問題を解決する手段の一つに食育があります。
とくに食習慣を大人になってから変えるのは難しいので、早いうちからよい習慣を身につけることが大切だとされています。
生涯にわたって健康的な生活を送るために必要な知識を学んでいきましょう。
食育の重要性とは?目的や意味を学んで実践しよう
栄養の大切さを知る人が増えてきた今、正しい知識を身につけ実践することが重要です。
食育には、もっと楽しく食事ができるようになること、人間関係の輪を広げることなど、さまざまな狙いがあります。
生涯にわたって健康的でいるためにも、必要な知識をしっかりと身につけたいですね。
そもそも食育とは?メリットは…
そもそも食育とはなにか。食育を推進をしている農林水産省「食育の推進」によると、以下のように定義されています。
食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。
引用元:農林水産省「食育の推進」より
食べることは生きるのに重要なので、「食育=健康に生きるために必要な教育」ともいえます。
食育はすべての年代に関係しますが、とくに子どもにとっては、
- 心と体の成長や性格を形成する
- 豊かな人間関係を育てる
という点において基礎になるものです。
また、食や生活習慣を大人になってから改めるのは難しいので、子どもころから正しい知識を理解し、実践することが求められています。
現代社会ではより食育が重要となる
ここ数十年で、私たちの食に対する考え方や消費の仕方は大きく変化してきました。
現代では、食べたいときには簡単に食料が手に入り、多くの人が衣食住において不自由なく過ごしています。
さらには加工食品や即席食品が多く登場し、家庭でも利便性と効率が重視されるようになりました。
しかしその反面、「食の大切さ」「食を正しく評価し、消費すること」が軽視されているのが現状です。
とくにこれらの問題は、子どもたちに大きな影響を及ぼしています。たとえば体力や気力の低下、感情のコントロールができない子どもが増えたことなどが挙げられます。
実際に令和3年におこなわれた全国体力・運動能力、運動習慣等調査では、体力合計点について令和元年度調査と比べ、小・中学生の男女ともに低下していることが分かりました。
原因は運動時間の減少、学習以外のスクリーンタイム(テレビやスマホの視聴時間)の増加、肥満である児童生徒の増加などが考えられているようですが、食事は単に食べることだけではありません。
与えられた食べ物に感謝し、生きるエネルギーを蓄え、マナーや社会性を実践する機会でもあります。
食育基本法で食育を 「生命の基礎であり、知育・徳育・体育の基礎となるもの 」と定義しているのはこのためです。
朝食を摂るこどもほど、学力テストの成績がよい
平成19年度全国学力・学習状況調査によると、毎日朝食をとる子どもほど、ペーパーテストの得点が高い傾向にあることが判明しました。
中学3年生の数学においては、まったく食べていない子どもの正解率は54.4%でしたが、朝食を食べている子どもは75.5%と約20%の差があります。
かならずしも食がすべてとは言えませんが、食は人生を豊かにする一つの要素です。日々の食事が子どもに与える影響をあらためて考えてみましょう。
子どもの教育に必要な「食育基本法」を知ろう
2005年食育の基本原則が書かれた「食育基本法」が制定されました。
これまでお伝えしたとおり、食育は食に関する正しい知識と適切な食習慣を身につけるために必要ですが、食育基本法ではそんな食に関する「教育の重要性」が記されています。
まずは7つの基本理念について見てみましょう。
- 国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成
- 食間する感謝の念と理解
- 食育推進運動の展開
- 子どもの食育における保護者、教育関係者の役割
- 食に関する体験活動と食育推進活動の実践
- 伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配慮および農山漁村の活性化と食料自給率の向上への貢献
- 食品の安全性の確保等における食育の役割
上記の内容を簡単にまとめると、食育は国民の心身の健康を増進し、豊かな人間形成につながるということ。
そのためには、食に対する感謝の気持ちや理解を深めることが重要であり、食への感謝や理解を育むには、保護者や教育関係者の協力が必要であるとのことです。
豊かな人間形成に大きな影響を与えるこの法律を意識しながら、子どもに教育していたいですね。
食育の取り組み事例!家でもできることがたくさんある
食育は一見むずかしそうに感じますが、家や学校でも簡単に取り組めます。
たとえば、料理教室に参加する、家庭菜園で野菜や果物を育てるなど。ほかにも以下のようなものが挙げられます。
- 地域の特色を活かした給食を食べる
- 食品廃棄物工場の見学
- 農林業・漁業の体験
- 食品に含まれる栄養そのものを知る
- ダイエットや太ることの影響を考える
食への望ましい習慣や栄養バランスに関することであれば、「食育」と考えられるでしょう。
簡単なものでいえば、食べ残しを減らすことも、その一環です。
- 食べ物を大切にする感謝の心
- バランスの良い食事を摂取できること
- 食事のマナーや協調性
- 心身の健康や食への知識
- 食文化や歴史の理解
親子で一緒に食育に取り組みながら、上記の理解を少しでも深められるとよいですね。
農林水産省ではデジタルガイドブックを用意
農林水産省では、デジタル技術を活用した食育を実践してみたいと考えている個人・グループの方々向けに、取組のヒントを盛り込んだ「デジタル食育ガイドブック」を用意しています。
ガイドブックとは、オンライン食育イベントの運営、食育動画の制作、SNSやアプリを活用した食育活動などを網羅したものです。
またイベント開催に必要な手順を簡単に追えるように、活動のフローチャートも含まれています。さらにはオンライン食育イベントでありがちな失敗例、その対処法も紹介しているので実例も学べます。
「デジタル食育ガイドブック」を活用して、ぜひ食育に活かしてみてください。
保育園での食育活動よりもまずは家庭から
保育園や学校の場で食育はおこなわれていますが、毎日の食事の中心は家庭です。楽しく食事をすることを通じて、よい習慣を身につけましょう。
「朝ごはんを食べよう」
「三食きちんと食べよう」
「お野菜は体の調子を整えるために大切だよ」
「食事のマナーを守ろうね」
など、家庭では子どもでも理解できる言葉で伝えるのがポイントです。継続的に食事や食事にまつわる知識を伝え、少しずつ食育をおこなってみてください。
また食育で重要なのは価値観を押しつけないことです。あくまで食育は子どもの自立的な思考や生き方を育むものであり、強要するものではありません。
個人を尊重し、さらには命のありがたみを感じる。これが食育の1つのあり方です。
食を通じて親子で話し合い、お互いの成長を目的にすることが最適だといえるでしょう。
世代別!家庭で実践できる食育のポイント
幼少期からの食育は大切ですが、どのようなことに気をつければよいかは、子どもの年齢によって異なります。
ここでは年齢を大きく3つに分けて、食育のポイントをご紹介します。
- 離乳食開始から完了まで
- 幼児期
- 学童期・思春期
それぞれの内容を詳しく見てみましょう。
【離乳食開始から完了まで】赤ちゃんに寄り添う
千葉県栄養士会によると、乳児期は成長・発達が著しい時期であり、個人差が大きいため、年齢や月齢で一律に判断するのではなく、一人ひとりの成長・発達の状況や健康状態、栄養状態などに応じて対応することが重要としています。
「そろそろ5カ月だから離乳食を始めないといけない」「泣いてばかりで食べてくれない」など、成長のガイドラインに沿う必要はないでしょう。
また食育の観点では、赤ちゃんに寄り添うことが大切だそうです。
例えば、母乳育児は母と子の強い絆の形成に役立ちます。温かなふれあいを通して、心の安定を供給し、赤ちゃんの食欲を育んであげてくださいね。
少しずつ歯が生えてきたら、体や口の発達に合った形状の食材を経験させることで舌の動かし方を覚えます。小さいうちからたくさんの食材に触れる機会をつくり、食事に興味を持ってもらいましょう。
【幼児期】規則正しい生活リズムを作る
幼児期とは、1歳から小学校入学前の時期です。乳児期よりも身体の発育が盛んになり、さらには運動量が多くなります。
この時期に大切なのは規則正しい生活リズムを作ること。早寝早起きの規則正しい生活リズムは、小学校の生活に影響します。
「寝る子は育つ」といわれるように、とくに睡眠は脳や身体の発達には欠かせません。
東北大学でおこなわれた5〜18歳の子ども290人を対象にした研究では、睡眠不足が脳の発達に悪影響を及ぼすことが判明しています。
平日の睡眠時間と脳のMRI写真を比較すると、睡眠時間の短い子どもは脳の海馬(特に短期記憶に密接に関連する場所)が小さかった
出典:暮らしスタイル研究所
睡眠時間を十分に確保して、朝食をしっかりと摂り、生活の基盤を整えましょう。
【学童期・思春期】自主的な行動をはたらきかける
学童期・思春期(5〜18歳ごろ)は、幼児期とは違い自分でありとあらゆることができます。
食事の準備やご飯の片付けなど、簡単なお手伝いからでもよいので、自主的な行動を促しましょう。
また、中学生~高校生になると、食生活が乱れがちになることも。習い事や塾などで忙しく、ファーストフードやインスタント食品、菓子パンなど、手軽に食べられる食事が増えてしまうかもしれません。
必要な栄養をしっかり摂取させるためにも、ふたたび食事のあり方から考えることも大切です。
子どもの食生活だけでなく、親自身の食生活にも目を向け、正しい食生活を心がけましょう。
栄養バランスのよい食事づくりのコツは、下記の記事を参考にしてみてください。
感情的にならないで!子どもの目線に合わせよう
どれだけ親が懸命に食育の重要さを伝えたとしても、即座に子どもが理解・実践するわけではありません。いくら言っても伝わらないと感じるのは、保護者共通の悩みですよね。
とくに子育ての大きな悩みのひとつに「子どもの𠮟り方」があります。
ベネッセのアンケートによると95%の方が子どもを叱ることが難しいと感じており、なかでも「感傷的になってしまう」と悩んでいる方が80%にものぼりました。
食育に限らずですが、子育て全般において大切なことは、今すぐ効果が出ると期待せず、継続して伝えていくことです。
感情的にならず、冷静になって伝えましょう。食事に対する注意の言葉も次のように言い替えてみてください。
「好き嫌いせずに食べなさい!」 → 「好き嫌いせずに食べたら元気な体になるよ」
「おやつばかりはダメ!」 → 「おやつよりも普段の食事が大切よ」
「お箸をきちんと持ちなさい!」 → 「お箸をきちんと持てるとかっこいいな」
などのように一概に「ダメ」と伝えるのではなく、「こうするといいよ」と表現することが大切です。
食事を急かすのは逆効果
ペンシルバニア州立大学の研究によると、食事中に圧力をかけられなかった子どもは、圧力をかけられた子どもより約20%食事量が多かったそう。
食べるように圧力をかけられていないときに、かなり多くの食物を消費し、圧倒的に少ない否定的なコメントをしました。家で食べるように圧力をかけられた子供たちは、ボディマス指数が低かった。
引用元:‘Finish your soup’: Counterproductive effects of pressuring children to eat on intake and affect
研究の内容は以下の通りです。
- 3〜5歳児の子ども27人を2つのグループに分け、それぞれ5分間好きなだけスープを飲んでもらう
- 一方は普通に飲む、もう一方は1分に4回「Finish your soup(飲み干して)」と急かした
- 結果、急かされたグループは「飲みたくない」「嫌い」とネガティブな発言が目立ち、食事量が減った
つまり食事中に叱ったり、怒ったりする(プレッシャーをかける)と、食事量が減り、食事自体が楽しくなくなるということ。
健康を考えると食べさせたい気持ちになりますが、子どもにとっては逆効果なようです。
強い口調ではなく、「食べてくれなくてママは悲しい」「もうちょっと食べてくれると嬉しいな」といった伝え方をしてみましょう。
落ち着いたトーンであれば、きっと子どもにも伝わりますよ。
まとめ
このページでは、食育について幅広く解説しました。
最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- 食育とは健康的に生きるうえで必要な教育
- 現代社会ではより食育が重要
- 食育は小さいころからおこなうのが大切
- まずは家庭での取り組みから始める
- 離乳期は赤ちゃんに寄り添う
- 幼児期は規則正しい生活リズムを作る
- 学童期・思春期は自主的な行動をはたらきかける
- 育児では感情的にならないようにする
「食育」という言葉が一般的になっていますが、その考え方の根底にある「食育基本法」には、食を通じた人間形成を推進しようという意味が込められています。
とくに子どもの食事は、心身ともに成長するために重要です。そんな子どもの成長と発達を助けるためは、親自身が食について深く知る必要があります。
適切な食育ができれば、きっと大切な子どもはすくすくと育ってくれますよ。
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