家庭での食育とは?子どもの健康を育む伝え方とアイデア

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「好き嫌いが多い子どもに食事の大切さをわかってもらいたい」

「いくら伝えても野菜を食べてくれない状況をどうにかしたい」

子どもの好き嫌いに日々格闘している方や、「あれが嫌い、これが嫌い」と言われて困っている方も多いはず。

食事の大切さを理解してもらうことは、子どものその後の人生に大きな影響を及ぼします。

そこでこの記事では、家庭でおこなう食育の重要さと伝える際のアイデアをお伝えします。

年齢別にまとめているので、ぜひ参考にしてください。

目次
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子どもへの伝え方の前に!食育の必要性を知ろう

子どもに食事の重要さを伝える前に、まず保護者のみなさんが食育の必要性をしっかり理解しておくことが重要です。ここでは、次の4つの視点から食育の必要性についてお伝えします。

  • 食育とは「生きるうえで大切なこと」
  • 食育は生活の基盤を整える
  • 食育で身につけたい内容6つ
  • 家庭でおこなう食育活動の重要性

食育について深く理解すれば、家庭内での実践に役立ちます。

食育とは「生きるうえで大切なこと」

食育は「生きるうえでの基本」として、政府が各省庁と連携を図りながら取り組んでいる国家プロジェクトです。

2005年に食育基本法が制定され、2015年からは農林水産省が中心となりすすめられています。

農林水産省は、消費者庁・文部科学省・厚生労働省とも連携を取り、学校や地域を通して指導に力を入れています。

食育基本法で提唱されている基本理念は次の7つです。

  1. 国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成
  2. 食に関する感謝の念と理解
  3. 食育推進運動の展開
  4. 子どもの食育における保護者、教育関係者等の役割
  5. 食に関する体験活動と食育推進活動の実践
  6. 伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配慮及び農山漁村の活性化と食料自給率の向上への貢献
  7. 食品の安全性の確保等における食育の役割

参照:農林水産省「食育基本法」

食育基本法の目的は、食育を通じて健康的かつ文化的な国民生活と活力あふれる豊かな社会を実現することです。

食事に関することだけでなく、健康づくりや人間形成にもかかわる重要な役割を「食育」が担っているのがわかります。

さらに農林水産省の「食育の推進」では次のように食育を定義づけています。

食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、さまざまな経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。

引用元:農林水産省|食育の推進

食育が「健全な人間を育てる」こと全般に関する重要なものだと伝わってきますね。

とくに幼児期にその大切さを理解することがポイント

食べ物に対する知識を深めることは体と心を健康に保つ第一歩です。しかし、大人になってから食生活や生活習慣を変えるのは難しいですよね。

健康な大人になるためには、幼児期から正しい食生活や生活習慣を学び身につける必要があります。

幼いころから食の正しい知識を理解・実践すれば、健全な成長期を迎えられ、病気のない健康な体を手に入れられるはずです。

さらに、命の大切さを学ぶことは人間としての成長につながります。

地域や学校教育の場を利用しつつ、家庭の場でも幼児期から食育を進めていきましょう。

メリットがたくさん!食育は生活の基盤を整える

健康的な暮らしや体を作るために食育は重要です。

幼いころから食事の重要性を学べば次のようなメリットがあります。

健康な体になる栄養バランスが良い適量の食事は、健康で丈夫な体をつくります。肥満や病気を防げるうえ、活力ある日常を送れます。
情緒が安定する個食を避け、家族などで楽しみながら食事することも食育の一環です。家族に限らず親しい人と楽しく食事をするなかで、情緒が安定します。
学力が向上する文部科学省がおこなった調査によれば、朝食を毎日とる子どもの方がテストの得点が高いことがわかっています。
食事のマナーが身につく食育には、栄養面だけでなく食事時のコミュニケーションも含まれます。食事をともにする人と楽しく過ごすためには、正しい食事のマナーも重要です。相手を思いやる大切さなども食育を通じて伝えられます。

朝食と学力との相関関係

平成19年度全国学力・学習状況調査によると、毎日朝食をとる子どもほど、ペーパーテストの得点が高い傾向にあることが判明しました。中学3年生の数学においては、まったく食べていない子どもの正解率は54.4%でしたが、朝食を食べている子どもは75.5%と約20%の差がありました。

画像出典:文部科学省|子どもの生活の現状

栄養バランスのよい食事をとると、脳や筋肉の働きがよくなり、学力向上が期待できるのも大きなメリットです。

反対に学ばないと…

食育を学ばないと、前述のメリットを享受できないことはもちろん、次のようなデメリットがあります。

  • 体が弱くなる
  • 食への関心が薄くなる
  • 子どもへ伝えられない

栄養が偏った食事では、健康を維持できません。また食の重要性を理解していないと、日々の食を豊かにする努力もしなくなります。

さらに保護者が食育の重要性を理解していないと、正しい知識を子どもに伝えられないでしょう。

健康な次世代育成のためにも、食育を学ぶ重要性はかなり高いはずです。

食育で身につけたい内容はおもに6つ

文部科学省が提案している「食育で身につけること」は次の6つです。

  • 食べ物を大事にする感謝の心
  • 好き嫌いしないで栄養バランスよく食べること
  • 食事のマナーなどの社会性
  • 食事の重要性や心身の健康
  • 安全や品質など食品を選択する能力
  • 地域の産物や歴史など食文化の理解など

6つの内容は、単なる食事の栄養バランスにとどまらず、感謝の心・マナー・安全性への知識・歴史や食文化など多岐にわたっています。

文部科学省が学校教育のなかでおこなう食育の機会を上手に利用し、家庭で同時に取り組むのもおすすめです。

また、保護者が食育について幼児期から伝えていけば、学校で学んだときに食育の内容が定着しやすいでしょう。

参考:文部科学省|食育って何?

保育園での食育活動よりもまずは家庭から

保育園や学校の場で食育はおこなわれていますが、毎日の食事の中心は家庭です。

楽しく食事をすることを通じて、幼児期からよい習慣を身につけるよう取り組みましょう。

「朝ごはんを食べよう」

「三食きちんと食べよう」

「お野菜は体の調子を整えるために大切だよ」

「食事のマナーを守ろうね」

など幼い子どもでも理解できる言葉で伝えていきます。継続的に食事や食事にまつわる知識を伝え、少しずつ食育をおこなっていきましょう。

子どもに食育を!伝え方の工夫とアイデア

子どもに食育をおこなう場合、年齢に合った伝え方を知っておくと効果的です。

ここでは、未就学児・小学生・中学生と3つの年齢層に分けてコツをお伝えします。

【未就学児0〜5歳】食べる力や意欲を育む

未就学児とひと言でいっても、離乳期から小学校入学前まで身体的・精神的能力の差が大きい時期です。

年齢を1歳重ねるごとに食べられる食品の幅や食事に対する理解度も違います。

小学校入学前までは「食べる力や意欲」をはぐくむ時期だととらえ、毎日の食事を通して少しずつ食育に取り組みましょう。

年齢に応じた食育のポイントを次の表にまとめました。

年齢目標その他
離乳期・授乳や食事を通じて信頼関係を深める
・食べる喜びを知る・心地よく過ごす
・生活リズムを整える
1歳・食べたい意欲を育てる
・噛んで食べる事を楽しむ
・さまざまな種類の食べ物に挑戦する
・生活リズムを整える
2歳・いろいろな食材、味付けを味わう
・人と食事を楽しむ
・生活リズムを整える
・朝食をしっかり食べる
3歳・食事のマナーを守る
・箸の正しい使い方を学ぶ
・楽しく食べる 
・苦手なものに挑戦する
・歯みがきの習慣づけ
4歳・食事のマナーを守る
・箸の正しい使い方を身につける
・楽しく食べる
・食物と身体の関係について知る 
・苦手なものに挑戦する
・行事食の意義を伝える
・食事環境を整える
・歯磨きの習慣づけ
5歳・食事のマナー
・箸を正しく使う
・食物と身体の関係について知る
・食事にかかわる人に感謝の気持ちを持つ
・簡単な手伝いをさせる
・行事食の意義を伝える
・食事環境を整える
・歯磨きの習慣づけ

年齢に応じて、食事を楽しむ習慣をつけましょう。また食にまつわるマナーや生活習慣も伝えていきます。

具体的な取り組み例

もちろん食事の場以外でも食育は可能です。具体的な取り組み例をいくつかご紹介します。

取り組み内容
野菜を育てる子どもとともに家庭菜園を楽しみましょう。
野菜嫌いの子どもさんは少なくありません。育てたから野菜嫌いがすぐに治るわけではありませんが、食材に対する理解が深まります。
一緒に買い物に行く一緒に買い物に行けば、完成された料理のみではなく、調理前の状態や産地、旬などについて学べます。
食事作りの手伝いをさせるキャベツの葉をちぎる、みかんの皮をむくなど幼児でもできる簡単なお手伝いで、食事作りの手間を経験させましょう
行事食を一緒に楽しむ行事と食の結びつきは深く、季節の移り変わり、食文化・伝統などを学べます。お節料理・節分・桃の節句などを家族で楽しみながら、行事食に親しみましょう。

【小学生】バランスの良い食事や習慣を身につける

小学生の食育は、バランスのよい食事について理解したり、正しい食習慣を身につけたりすることが重要です。

小学生になれば食事の重要性や生活習慣を整える意義も理解できます。家庭でできる食育の実践には次のようなものがあります。

  • 「早寝・早起き・朝ご飯」を定着させる
  • 好き嫌いなく食べるようにする
  • 食事のマナーや食文化を教える
  • 食後の歯磨きを習慣づける

順に見ていきましょう。

「早寝・早起き・朝ご飯」を定着させる

子どもの健やかな成長のためには、食事以外にも睡眠や規則正しい生活習慣が大切です。

しかし現実では生活習慣の乱れで睡眠不足に陥り、朝ごはんを食べずに登校する小学生が増えています。

それが学習意欲や体力、気力の低下を招いているとの指摘もあります。

朝ごはんをしっかり食べるために早寝・早起きを心がけ、正しい生活リズムを身につけましょう。

参考:「早寝早起き朝ごはん」全国協議会|なぜ早寝早起き朝ごはんが必要なのでしょうか

好き嫌いなく食べるようにする

好き嫌いがはっきりしてくる時期ですが、同時に食事の意味について理解できるようになります。

食事を通して、自分の健康を維持することを意識させましょう。体を作るために必要な栄養素について伝え、好き嫌いをなくしていくよう根気強く接していきます。

食事のマナーや食文化を教える

正しい食事のマナーや伝統食、行事食などの食文化について伝えていきましょう。

正しい食事マナーや食文化への理解は、社会へ出ていくために身につけておきたい重要な要素です。

幼児期は食事を一緒に楽しむことが中心でしたが、小学生になれば背景や意義なども理解できるようになります。折に触れて根気強く伝えていきましょう。

食後の歯磨きを習慣づける

小学生の間に、ほとんどの歯が永久歯に生え変わります。食後は口の中を清潔に保ち、歯を健康に保つことの重要性を伝えましょう。

低学年のうちは仕上げ磨き、高学年になっても歯磨きの習慣が定着するまでは、こまめに声かけするなど補助します。

【中学・高校生】自分自身で食生活・健康管理ができる

中学生や高校生にもなれば、食事が自分の体に影響を及ぼすことを理解できるようになります。少しずつ自身の食生活や健康管理もできるようになってほしいものです。

文部科学省が定めた中高生における食育目標には次のようなものがあります。

  1. 体を作る・動かす
  2. 自らの「食生活」を営む
  3. 体を守る・強くする
  4. 食を通じて他者とかかわる
  5. よりよい社会を作る

文部科学省では、2023年より中学校で使用する食育用教材を作成しました。その教材で栄養学の基礎に加え、スポーツ栄養やSDGs(持続可能な開発目標)、食文化、食にかかわる職業などを幅広く学びます。

出典:文部科学省「中学生用食育教材」

食に関する幅広い知識を身につけ、食生活や健康を自己管理できるようになるといいですね。

学校で学んだことを家庭で実践できるよう、保護者も学校での取り組みを知っておくのがおすすめです。

親が子どものことを理解してあげる、正しい情報を与えるなど

中高学生になると勉強や部活、遊びで生活リズムが狂いがちです。またダイエットを始める子もいるかもしれません。

間違った知識で栄養やエネルギーが不足し、日々の活動や勉強に影響が出ないよう、注意して見守りましょう。

朝食と学力の相関性については前述しましたが、体力との関係も指摘されています。

画像出典:文部科学省「平成29年度全国学力・学習状況調査」

自分自身で生活リズムや健康の管理ができるようになる年齢であるものの、学校で学んだ知識をすべて自分で実践できるほど自立はしていません。

思春期なので伝え方が難しいと感じる場面も多いでしょう。

しかし頭ごなしに指摘するのではなく、子どもの気持ちを理解したうえで、必要な情報や正しい情報をしっかり伝えるようにしましょう。

感情的にならないで!子どもの目線に合わせよう

どれだけ親が懸命に食育の重要さを伝えたとしても、即座に子どもが理解・実践するわけではありません。いくら言っても伝わらないと感じるのは、保護者共通の悩みですよね。

特に子育ての大きな悩みのひとつに「子どもの𠮟り方」があります。食育に関しても、ついつい叱る場面も出てくるはずです。

「好き嫌いせずに食べなさい!」
「おやつばかりはダメ!」
「お箸をきちんと持ちなさい!」
「遊び食べはやめて!」
「音を立てずに!」
「姿勢よく!」

など毎日繰り返し伝えているにもかかわらず、まったく伝わらず苛立つ保護者も多いことでしょう。

ベネッセのアンケートによると95%の方が子どもを叱ることが難しいと感じており、なかでも「感傷的になってしまう」と悩んでいる方が80%にものぼりました。

食育だけでなく子育て全般において大切なことは、今すぐ効果が出ると期待せず、継続して伝えていくことです。

感情的にならず、普通の言い方で繰り返し伝えていきましょう。先ほどの食事に対する注意の言葉も次のように言い替えてはいかがでしょうか。

「好き嫌いせずに食べたら元気な体になるよ」

「おやつよりも普段の食事が大切よ」

「お箸をきちんと持てるとかっこいいな」

「食事に集中して食べようね」

「音を立てて食べるのはマナー違反だよ」

「姿勢がよいと見ている私も気持ちがいいな」

などシンプルな言葉で根気よく伝えていきたいものです。楽しく食事ができるような雰囲気作りなどから始めて、日々できることから取り組みましょう。

まとめ

このページでは、家庭でできる食育の伝え方やアイデアをご紹介しました。

最後に重要なポイントをおさらいしましょう。

  • 保護者が食育について学ぼう
  • 食育は生きていく基盤となる
  • 食育は生活の基盤を整えてくれる
  • 食育は幼児のころからおこなおう
  • 食育は政府・学校・地域で取り組まれている
  • 食育は家庭での実践が大切
  • 年齢に合わせた食育を知ろう
  • 食育はすぐに効果は出ないが根気強くおこなおう

食育は生まれたときから始まり成人するまで続きます。すぐに効果が現れない反面、長年の積み重ねが知力・体力・精神に影響します。

家庭で根気強く食育をおこなうことが、子どもの将来に良い影響をもたらすはずです。

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この記事を書いた人

子供を健康に育てたい全てのママに向けて、栄養や食育、幼児教育などの情報を発信する「mamahealth(ママヘルス)」編集部です。

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