はちみつレモンは、疲労回復に良いイメージがありますよね。はちみつとレモン、両方とも自然の食品ですが、副作用がないのか気になるところ。
この記事では、はちみつレモンの栄養効果と副作用や飲み過ぎのデメリットについて解説します。
簡単な作り方やアレンジ方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
はちみつレモンは体に悪い?論文・研究をもとに効果を検証
はちみつレモンの栄養効果について、次の3つのポイントから解説します。
- はちみつ自体の栄養価はあまり高くはない
- レモンの果汁はミネラルの吸収を促進させる
- どちらの食品も栄養面でのメリットはある
ただしはちみつレモンの研究がないため、はちみつとレモン(もしくはレモンウォーター)それぞれの論文や研究をもとに見ていきましょう。
はちみつ自体の栄養価はあまり高くはない
はちみつ小さじ1杯強と砂糖大さじ1杯分がほぼ同じ甘さです。
商品にもよりますが、砂糖の約1/3の量で同じ甘さのうえ、同量100g当たりのエネルギー量は、はちみつ329kcalに対し砂糖391kcalと低カロリー。(日本食品標準成分表より)
ただし、成分のほとんどがブドウ糖と果糖であり残りは水分です。脂肪とタンパク質はゼロ、食物繊維もほとんど含まれていませんが、、ビタミンとミネラルをわずかに含みます。
カロリーの大半がブドウ糖と果糖が占めているはちみつの栄養価は、それほど高くないようです。
はちみつが咳止めに効くかも…
民間療法でも、はちみつがのどに良いことは知られています。
実際に、上気道感染症(いわゆる風邪)の症状がある子どもにはちみつを使用すると次のような効果が認められました。
【ケース1】
139名の上気道感染症の子どもに、はちみつと咳止めシロップ両方を試してみたところ、はちみつのほうが効果が高いと認められた。
【ケース2】
上気道感染症の105名の子どもに2日はちみつを使用。咳止めシロップよりも咳止め効果があり、睡眠の質も改善した。
このように、はちみつは咳止めとして優秀な効果を持ちます。
抗酸化に効く成分がたくさん含まれている
成分のほとんどがブドウ糖と果糖そして水分であるはちみつですが、抗酸化に効く成分がたくさん含まれています。
抗酸化とは、炎症を抑える・シミを防ぐ・新陳代謝を促進するなど体の炎症や老化を抑える作用のことです。それには、はちみつの花粉に含まれるタンパク質・ビタミン・カルシウム・鉄・ミネラルが関わっています。
2002年にイリノイ大学が出したレビュー論文によると、はちみつの抗酸化性能はフェノールペプチド・有機酸・酵素といった複数の成分が合わさって発揮されると報告されています。
また2020年8月には、オックスフォード大学の研究チームが「はちみつは市販薬や抗生物質よりも風邪の治療に効果的」とレポートしました。
参照:Honey better than usual care for easing respiratory symptoms, especially cough
参照:さまざまな花源からの蜂蜜の抗酸化成分の同定と定量化
心疾患のリスクが下がるとの研究もある
はちみつには、フラボノイドといった抗酸化物質も含まれます。ポリフェノールの一種であるフラボノイドには、抗酸化・ストレス緩和・がん抑制・免疫力向上・血液をサラサラにするなどの効果も。
さらに血管を拡張し、活性酸素を抑えることから多くの健康食品にも配合され、心疾患リスクを下げるとの研究結果もあります。
参照:Honey promotes angiogeneic activity in the rat aortic ring assay
レモンの果汁はミネラルの吸収を促進させる
一方、レモンにも良い効果があります。平成22年度日本調理科学会大会で発表された研究によると、レモン果汁に含まれる有機酸によって、高硬度ミネラルウォーターに含まれるカルシウムやマグネシウムを促進させることがわかりました。
通常、摂取したミネラルは腸内で不溶化し、吸収を妨げられることが知られていますが、レモン果汁と一緒に摂取することで、ミネラルの吸収がスムーズにおこなわれます。
参照:J-stage|レモン果汁がミネラルウォーター中のCa及びMgの吸収に及ぼす影響
ほかにもうつ病改善に役立ったという研究もある
レモン果汁には豊富なビタミンCが含まれます。ビタミンCには、コラーゲンを生成する・メラニン色素の生成を抑え日焼けを防ぐ・活性酸素を抑えるなど、さまざまな効果があります。
そのほかにもうつ病改善に役立ったという研究も。322名の入院中の高齢患者の状態を調べてみたところ、ビタミンCが欠乏している患者のほうがうつ症状が出やすいことがわかりました。
うつ病以外にも、不安や落ちこみ、イライラ、パニック、集中力の低下などビタミンCが欠乏すると精神面への影響があるといわれています。
【結論】どちらの食品も栄養面でのメリットはある
はちみつもレモン(レモン果汁)も栄養面でのメリットが多い食品です。ただし明らかに数値が改善されたなどのデータは今回の調査で見つかりませんでした。
はちみつレモンを飲んだから、すぐに何らかの効果を実感できるようなものではなさそうです。ただし健康にプラスの効果があるので、日々の生活に取り入れるのはよいでしょう。
ダイエット効果は△「食べないこと」の影響が大きそう
「はちみつレモンでダイエット」「1ヶ月-〇kg成功!」などの体験談を見かけることがありますが、はちみつレモンがダイエットに効くといった根拠を示すデータは今回の調査では見つかりませんでした。
しかし、はちみつに含まれるグルコン酸が腸内のビフィズス菌を増殖させ便秘の解消につながります。
レモンを多く摂取すると食欲のコントロールをしやすい、体の老廃物を排出するデトックス効果があるなどダイエットに関連する信頼度の高い研究は複数あります。しかし、はちみつレモンダイエットに効果があるとされるのは「食事前に水分を取ることでお腹が満たされた」ことが主な理由と推測されます。
上手に利用するとダイエットのサポートになるかもしれませんね。
はちみつレモンは体に悪い?摂取する際の注意点
はちみつレモンが体に悪いとしたら、どういった部分が悪いといえるでしょうか。はちみつレモンを摂取する際に気を付けるべきポイントを次の4つにまとめました。
- 市販のはちみつレモンには砂糖や人工甘味料などが使われている
- 1歳未満の乳児にはちみつを与えない
- ビタミンCの大量摂取で下痢や腹痛が発生するかも
- はちみつの摂取目安量は1日約30g
順に見ていきましょう。
市販のはちみつレモンには砂糖や人工甘味料などが使われている
市販のはちみつレモンには、はちみつ以外に砂糖や人工甘味料などが使用されているケースが多いことを知っておきましょう。
市販品のはちみつレモンのカロリーは、200mlで50kcal程度。お菓子などに比べると少ないと感じるかもしれませんが、健康のために飲むのであれば、砂糖や人工甘味料を使用している商品は避けたほうが良さそうです。
1歳未満の乳児にはちみつを与えない
スーパーフードといわれるほどのはちみつですが、1歳未満の乳児には与えないでください。乳児は腸内の働きが未成熟で、はちみつに含まれるボツリヌス菌を消化できません。
腸内で増殖したボツリヌス菌は、便秘や筋力低下、ほ乳力の低下、麻痺症状などを引き起こし、ひどい場合だと死につながります。100度程度の加熱では死滅しないので注意が必要です。
2017年には、はちみつを入れた離乳食を与えたことで生後6ヶ月の男児が死亡しています。
参照:日経新聞|乳児ボツリヌス症で初の死亡例 ハチミツ与える
ビタミンCの大量摂取で下痢や腹痛が発生するかも
ビタミンCは水溶性のビタミンなので、大量に摂取しても尿と一緒に排出されます。ほとんどの場合は大丈夫ですが、1日に3~4g以上のアスコルビン酸(ビタミンC)を摂取した場合に、吐き気・下痢・腹痛など胃腸への影響があるとの報告も。
一時期は、ビタミンCを摂りすぎすとシュウ酸塩が蓄積されるため、腎機能障害がある人は避けるようにと指導されていましたが、現在は間違いだとされています。
ほとんどのビタミンCは体外に排出されるので安全
健康な人がビタミンCを過剰に摂取した場合、吸収率が低下し尿へ排出されます。このことから厚生労働省も摂取上限量は設定していません。
大量に摂取すると、ビタミンCの吸収率は200㎎/日程度までは90%ですが、1g/日になると50%以下まで低下します。体内濃度の調整は、腎臓がおこなっており、400㎎/日で飽和するといわれています。
はちみつの摂取目安量は1日約30g
はちみつの成分の7~8割はブドウ糖や果糖です。はちみつ100gあたりのカロリーは329kcalで糖質は81.9g含まれています。
WHOが2015年に発表したガイドラインによれば、1日の遊離糖類摂取量は25g。遊離糖類とは単糖類(ブドウ糖・果糖等)および二糖類(ショ糖・食卓砂糖等)のことで、食品・飲料に添加する糖類のほか、蜂蜜・シロップ・果汁・濃縮果汁中に存在している糖分を指します。
はちみつで換算すると、30gあたりの糖類が24g。はちみつ以外でも糖類を摂取すると考えると、最大でも30gと考えたほうが良さそうです。
参照:食品安全委員会|世界保健機関(WHO)、ガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」を発表
レモンはとくに制限なし
厚生労働省は1日に350g以上の野菜や果物を摂取するよう推奨しています。そのなかにレモンも含まれますが、野菜や果物の過剰摂取に関する制限などは特に設定されていません。
もちろん、ビタミンCを摂りすぎると腹痛や下痢になるといったリスクを考慮すると、食べすぎは禁物でしょう。
おすすめのはちみつレモンの作り方
ここではちみつレモンのレシピを紹介します。材料がシンプルでレシピも簡単なので、挑戦してみてください。作り方は、次の3ステップです。
- レモンを輪切りにする
- レモンを器に入れてはちみつを加える
- 冷蔵庫で一晩寝かせる
はちみつレモンを使ったアレンジレシピも最後にご紹介します。
①レモンを輪切りにする
【材料】
- レモン:2個
- はちみつ:150g
使用するレモンは、できるだけ無農薬のものを選びましょう。国産のレモンであっても防カビ剤などの農薬は使用されています。
もし無農薬レモンが手に入らない場合は、皮表面を洗剤などで洗います。皮も口に入ると考えると、塩・野菜用洗剤・重曹などのナチュラルな洗浄剤が安心かもしれません。もちろん市販の食器用洗剤でも、しっかり洗い流せば大丈夫です。
洗剤をしっかり洗い流し、水気を拭いたのち、薄く輪切りにしていきます。種は取り除いておきましょう。
②レモンを器に入れてはちみつを加える
煮沸消毒した清潔なビンにレモンを入れ、最後にはちみつを加えます。
はちみつは、レモンが浸る量が必要です。ビンの大きさによって、必要なはちみつの量は変わります。
③冷蔵庫で一晩寝かせる
ビンのふたを閉め、冷蔵庫に入れましょう。
下にはちみつがたまるので、時々振ったり上下を返したりして均等になるようにします。
半日から1日置けば完成です。
炭酸で割ればはちみつレモンソーダに
完成したはちみつレモンは、次のようにアレンジしてみましょう。
- 水で割る
- 湯で割る
- 炭酸で割る
- 紅茶に加える
【はちみつレモンのソーダ割】
- はちみつレモンシロップ…大さじ1杯
- レモンのはちみつ漬け……1枚
- 炭酸……200cc
はちみつレモンの量は、お好みに合わせて調節してください。
余ったレモンはトーストに乗せてみよう
はちみつに漬けたレモンは、ドリンクに添える以外に、トーストの上に乗せてはいかがでしょうか。
レモンのさわやかな酸味とはちみつの甘さで、元気が出そうですね。
【材料】
- 食パン:1枚
- バター
- レモンのはちみつ漬け:数枚
- はちみつレモンシロップ:大さじ½
バターの代わりに、クリームチーズを塗るのもおすすめです。
はちみつレモンは体に悪い?に関するQ&A
はちみつレモンに関する、よくある質問にQ&A形式で回答していきます。
Q. レモンウォーターにはデトックス効果がある?
Q. おすすめのはちみつはある?
Q. 寝る前に飲むのはあり?
気になる項目をチェックしておきましょう。
Q. レモンウォーターにはデトックス効果がある?
レモンウォーターにはデトックス効果があるといわれています。その理由は、レモンに含まれる成分であるカリウム・食物繊維・ビタミンCです。
カリウムにはナトリウムを排出する作用があるので、体内の塩分を調整しむくみ解消の効果が期待できます。
またレモンの食物繊維は腸内環境を整え、血圧上昇を抑える効果も。ビタミンCにも腸を刺激し、ぜん動運動を活性化する効果があります。
便秘の症状があるときは、シロップだけでなくレモンも一緒に摂るのがおすすめです。
参照:earthwater|水+レモンで効果倍増!レモンウォーターを徹底解明!
Q. おすすめのはちみつはある?
一般的に「はちみつ」として販売していても、成分のほとんどがぶどう糖果糖液糖やショ糖・水あめの場合があります。購入する際には、できるだけ純度100%のはちみつを選びましょう。
はちみつを選ぶ際の指標として次のような特徴があります。
- 色は淡黄色、琥珀色、褐色で透明でないもの
- 時間が経過すると結晶化し乳白色に固まる(特に冬)
- 粘度が高い
- 微粒な粒子(花粉)が見える
見た目やテクスチャーの違いはもちろんですが、食品表示を見れば純度100%かどうかわかります。購入前に食品表示をしっかりチェックしましょう。
参照:平田農園|蜂蜜の選び方
Q. 寝る前に飲むのはあり?
レモンとはちみつ両方に快眠を助ける成分が含まれているので、寝る前に飲んでも大丈夫です。
レモンに含まれるリモネンは、柑橘類の皮に精油成分でリラックス効果があるとされています。またはちみつに含まれるトリプトファンは、セロトニンの原料となり鎮痛作用や不眠解消効果もあります。
ただし糖分を含むので、飲んだあとにうがいや歯磨きを忘れないようにしましょう。
参照:アロマオイル効能ガイド|リモネンを含む精油
参照:健達ネット|トリプトファンとは?多く含まれる食材・摂取量・効果・注意点を説明
まとめ
このページでは、はちみつレモンが体に悪いという説の真偽や摂取するときの注意点などを解説しました。
最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- はちみつ自体の栄養価はあまり高くはない
- レモンの果汁はミネラルの吸収を促進させる
- どちらの食品も栄養面でのメリットはある
- 市販のはちみつレモンには砂糖や人工甘味料などが使われている
- 1歳未満の乳児にははちみつを与えない
- ビタミンCの大量摂取で下痢や腹痛が発生するかも
- はちみつの摂取目安量は1日約30g
自然の食品であるはちみつとレモンで作ったはちみつレモン。どちらも体に優しくプラスの効果が期待できます。
ただし市販品の場合は、糖分や添加物が気になるところ。オーガニックのものなど安心できる材料を選び、生活に取り入れてはいかがでしょうか。