「飲ませてあげたいけど、やっぱり糖分が気になる…。」
ジュースは子どもにとってどのような影響があるのでしょうか?
結論、ジュースの飲みすぎは下痢や虫歯、さらには将来的に糖尿病の原因となる可能性があります。
とはいえ悪い面だけではなく、適度な量を守れば、子どもにとっての楽しみにもなるでしょう。
なぜこのような悪影響があるのか、また最適なジュースの与え方について解説します。
ジュースの与え方の基本|子ども健康を守るためにすべきこと
じつはジュースの与え方や身体への影響については、2017年6月にAAP(米国小児科学会)の発表でほとんどが結論づけられています。
英文であるため、以下に論文の内容を大まかにまとめました。
- ジュースは1歳未満の乳児に対して栄養上の利点はない
- 子どもの年齢に合った量であれば、重大な臨床症状を引き起こす可能性はない
- 過剰なジュースの消費は、下痢、腹部膨満、虫歯の原因となり得る
- カルシウム強化ジュースを飲むのは良いが、母乳や乳児用調整粉乳よりも栄養が少ない
- 1日のジュース上限量 1~3歳:120ml 、4~6歳:120-180ml 、7~18歳:200-240ml
(※1オンス=30mL 換算。)
そのほか約20項目について述べられています。米国小児学会の論文をもとに、それぞれの内容を詳しく見てみましょう。
米国小児学会(American Academy of Pediatrics)
米国小児学会とは、約6万人のアメリカ人小児科医師が所属する非営利団体です。すべての乳幼児や青少年が心身共に健康な状態を目指すことを使命としています。
日本医師会がAPPのガイドを基に日本人に対して指針を作成することもあるほど、権威のある学会です。本記事で紹介している結論は、このAPPがさまざまな文献や研究から導き出している情報となります。
ただし、日本ではアメリカほど子どもの肥満や生活習慣病が問題になっているわけではありませんし、体格も異なります。
あくまでアメリカ人の子どもの対象にした指標なので、すべての子どもに向いていないことを理解しつつ、子育てする上で参考にしたい点を取り入れましょう。
いつから?頻度は?「ジュースのパッケージを見て」
ジュースをあげる年齢は基本的にパッケージを参考にすると良いでしょう。
例にM社から販売されている子供向けジュースのの対象年齢目安を見ると「1歳ごろから」とされています。
一方国民的に人気なスポーツ飲料は3か月ごろから飲めるようです。いつから飲ませて良いかは商品によって異なるので、商品ごとに対象年齢を参考にする方が安全だと言えます。
与える頻度よりも量を重視する
ジュースを与える頻度が多くても、1日の上限を守っていれば、子どもの健康にすぐに問題がでることはないでしょう。とはいえ、飲み過ぎによる習慣化は避けたいところ。
AAP(米国小児科学会)によると1日に推奨される量(健康を守るのに安全な量)は以下の通り。
・1~3歳:120ml
・4~6歳:120-180ml
・7~18歳:200-240ml
明治のアンパンマンジュースは1パック125mlなので、1〜3歳の場合は1パック程度に留める方が良さそうです。
あくまでアメリカ人の子どもに対する指標なので、かならずしもすべての子どもに当てはまるとは限りません。基本は指標を参考にしつつ、糖分の取り過ぎが心配であれば、半分の量を水で薄めてあげると良いでしょう。
※パッケージに対象月齢が6か月と書かれていても、「薄めて使用してください」と注意書きがある商品もあります。
ただし、1歳未満はジュースを与えるメリットがない
1歳未満は栄養的な面でジュースを与えるメリットがありません。
WHOでは、理想的な成長、発達、健康を促すために生後6か月までは母乳のみの育児をおこなうことを推奨しています。
母乳は人工的に作ることができない成分(病気から守る抗体、食欲や絆を深めるホルモンなど )が含まれているため、赤ちゃんの身体にとって必要です。
1歳未満にジュースを与えると、母乳を飲む機会が少なくなるので、与えないようにすることが賢明でしょう。
健康を考えると、ジュースを与えるくらいなら、母乳や乳児用調製粉乳(粉ミルク)の方が良さそうですね。
野菜ジュースやスポーツ飲料も栄養面ではメリットが少ない
野菜ジュースやスポーツ飲料は一見身体に良さそうに見えますが、糖分がはいっている限り、栄養学的なメリットは少ないと言えます。
- 野菜ジュース:砂糖不使用、食物繊維が豊富な商品であれば、野菜の栄養を効率的に摂取できる可能性があるでしょう。ただし一般的な野菜ジュースは製造過程で熱を加えたり、野菜を絞ったりなどの加工がされているため、生の野菜に含まれている栄養素は少ないとされています。※1
- スポーツ飲料:多量の汗が出ている場合にの水分補給に最適。ただし、市販の物は、炭酸飲料よりも砂糖が多く含まれている場合があるので、できる限り水で薄める方が好ましい。(0.1~0.2%の食塩水、または、ナトリウム40~80mg/100mlのスポーツドリンク・経口補水液)※2
身体に良さそうなジュースでも、しっかりと知識を持って、適切な場面で提供できると良いですね。
子どもにジュースは悪影響!?飲み過ぎは「貧血」や「糖尿病」の原因に
子どもにジュースを与えすぎると、貧血を引き起こし、神経系や身体の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。
1,675人のイギリスの子どもを対象にした栄養調査では、砂糖やはちみつ、フルーツジュースの摂取量が多いと、鉄や亜鉛が不足する結果に。
砂糖やはちみつ、フルーツジュースの摂取量が多い子どもは、鉄や亜鉛、ビタミンDが不足する傾向にあり、特にエネルギーの24%以上をそうした糖分から摂取している子どもたちは、鉄と亜鉛が必要量を下回っていることがわかりました。
引用元:Gibson SA. Non-milk extrinsic sugars in the diets of pre-school children: association with intakes of micronutrients, energy, fat and NSP. Br J Nutr. 1997;78(3):367-78.
鉄や亜鉛は身体の発達に関わる栄養素。ジュースを飲むことによって、鉄や亜鉛が含まれているお肉や野菜などを食べる量が減ったことが原因だそうです。
論文から推測するに、どれだけの量を与えたかよりも、ジュースでお腹が満たされ、普段の食事ができなくなることに問題があると言えるでしょう。
ジュースを飲み続けると、糖尿病の発症リスクが上がる
2013年に世界的な医学雑誌「BMJ」は、1日1本以上のジュースを飲む人は、2型糖尿病の発症リスクが21%上がると発表しています。
調査期間は1984年~2008年(24年間)、 参加人数はのべ18万7382人という大規模な調査であるため、子どもを対象にしたデータではありませんが、信ぴょう性はかなり高いと言えるでしょう。
ジュースを飲むと血糖値が上がりやすくなるのは、商品に砂糖が含まれているのに加え、果物の食物繊維(血糖値の上昇を抑える)をそぎ落としているから。
「濃縮還元100%」と書かれている商品でも、食物繊維をそぎ落としてから、パッケージにしているので血糖値が上がりやすくなります。
反対に食物繊維を落とさず、果物をそのまま食べた場合には、糖尿病の発症リスクが23%低下したとのデータも。果物にも水分が含まれているので、砂糖入りのジュースを飲むなら、果物を食べさせる方が良さそうですね。
朝からジュースを飲むと太る…?
朝に限らずですが、糖質(ジュース)を取ると血糖値の上昇に繋がります。
通常、食後30分から1時間程度で血糖値は下がりますが、このときに集中力の低下、空腹感、イライラなどが起こります。
また急激に上がった血糖値を抑えるために、脂肪を蓄えるので、太りやすくなることも。適切な量であれば、重篤な病気になる可能性は低いものの、デメリットは知っておきたいところ。
デメリットを知ったうえで、飲ませすぎに注意しましょう。
糖質を取るなら「質に注目」
糖質の摂取は血糖値の上昇に関わります。とはいえ、子どものエネルギー源になるので、摂取することも必要です。
ポイントは砂糖の質。大きく分けるとブドウ糖、砂糖の主成分であるショ糖、果物に含まれる果糖があります。
血糖値の上昇を抑えながら、喉を潤わせたい場合には、果物を与える方が良いでしょう。糖質の量は同じでも、質が違えば、血糖値をコントロールしやすくなりますよ。
※人工甘味料(アスパルテーム、サッカリンなど)は血糖値上昇に関与しませんが、インスリンの働きが鈍くなり、結果的に血糖コントロールができなくなる可能性があります。
参考文献:くにちか内科クリニック
ジュースを与える3つのポイント(薄める、コップに入れる、常温)
子どもにジュースを与えるときは、薄める、コップに飲みきれる量だけを出すなどの工夫をすると良いでしょう。
- 薄めて提供する:糖質の摂取を減らす
- 幼児にはコップで与える:飲み過ぎを防ぐ
- 常温にする:お腹の冷えを防ぐ
大人と違い、子どもの消化器官は未発達です。与えすぎは身体に負荷がかかり、下痢にも繋がるので気をつけたいところ。とはいえ、ジュースは子どもにとって楽しみにもなります。
お友達の家に遊びに行ったとき、家族みんなで旅行に行ったときなどの特別な日には、あまり分量を気にせず出してあげても良いでしょう。
ダメだと言って、ジュースを与えないと返って子どものストレスになります。「ジュース=特別なもの」として、出してあげることが最適ですね。
やめさせたい時の対処法|一番は「そもそも買わない」
ジュースばかり飲む子どもには、「ジュースを買わない」という選択が良いでしょう。
口コミサイトにも、そもそも買わないといった意見が多くありました。
冷蔵庫を開けて、ジュースはないのを確認させたりね。最初は麦茶に砂糖を入れたものを飲ませ、徐々に砂糖を減らしていくって方法もあるよ。
引用元:mamasta
家もそうでしたがジュース買わないで無くしておいたら今はお茶かお水になりましたよ。最初は結構グズりましたが…それでも本当に喉が乾いたらお茶飲みました。ジュース、ジュース言わなくなったので今はオヤツの時だけと決めてあげてますよ。
引用元:mamasta
子どもがないことを理解できれば、それ以上ジュースを求めなくなるようです。また米国小児科学会でも、そもそもきっかけを与えない方が良いとの見解が発表されています。
ジュースを置いていければ、無理に取り上げる必要もないので、お互いのストレスを軽減できるでしょう。
飲む時間や量をお子さまと決めながら、嗜好品の1つとして考えられると良いですね。
飲むならこんなジュース(炭酸水、手作り、砂糖不使用)
それでもジュースが飲みたい子どもには、炭酸水や手作りのジュースを提供してみましょう。
- 無糖の炭酸水
- 手作りのフルーツジュース
- 砂糖、添加物が少ないドリンク
炭酸水は砂糖が入っていませんが、炭酸飲料と同様にシュワシュワとしたのどごしを楽しめます。
手作りのフルーツジュースには、砂糖入れずに提供すると良いでしょう。ジップロックにバナナを入れて潰したものを、牛乳に入れれば、ミキサーなしでジュースが作れます。
親子で一緒に楽しみながら、身体に良いジュースを作る経験もできますね。
また、砂糖や人工甘味料を使用していないジュースを取り入れるのもよいでしょう。
コーラを飲んでも骨や歯は溶けない
コーラに限らずですが、炭酸飲料では骨や歯は溶けません。
たしかにコーラに含まれている酸味料は、骨や歯の成分であるカルシウムやマグネシウムを溶かしますが、飲んでいるだけではそれほど、大きな影響はないでしょう。
ただし、清涼飲料水に含まれている砂糖は虫歯に繋がります。なるべく飲む量を減らす、飲んだら口をゆすぐなどの対策をしながら、飲み過ぎに注意しましょう。
参考文献:東洋経済オンライン
まとめ
このページでは、子どもにジュースを与えることについて解説しました。
最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- ジュースは1歳未満の乳児にとって栄養上の利点はない
- 子どもの年齢に合った量であれば、重大な臨床症状を引き起こす可能性はない
- 過剰なジュースの消費は、下痢、腹部膨満、虫歯につながる
- カルシウム強化ジュースを飲むのは良いが、母乳や乳児用調整粉乳よりも栄養が少ない
- 1日のジュース上限量 1~3歳:120ml 、4~6歳:120-180ml 、7~18歳:200-240ml
(※1オンス=30mL 換算。) - ジュースをやめさせるコツは「買わない」こと
- 飲むなら炭酸水、手作り、砂糖不使用が最適
ジュースは栄養上のメリットはないですが、子どもにとっては楽しみです。
ダメだと言って、ジュースを与えないと返って子どものストレスになることも。「ジュース=特別なもの」として、出してあげることが最適だと言えるでしょう。
どうしても飲ませたい場合は、炭酸水や手作り、砂糖不使用のジュースで代用してみてくださいね。
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