「子どもの身長がまわりの子と比べて小さい…。」
テレビ広告やネット、雑誌、あらゆるところで、成長を助けるサプリや飲料を見かけますが、その効果は本当なのでしょうか?
残念ながら身長を「確実に」伸ばせるサプリはありません。
アルギニンやカルシウムなど、骨の成長に大きく関係する成分を売りにしている製品が、身長アップに寄与する効果があることは学術的に証明はされていません。
しかし栄養が身長に大きく関与していることは間違いなく、仮に不足している栄養があれば、サプリメント等で補うことで結果的に効果が出ることはあるでしょう。
この記事では身長を伸ばす可能性のある栄養分(サプリ)を論文などを交えて解説していきます。
身長を伸ばす可能性のあるサプリ(成分)を論文ベースで考察
身長を伸ばす効果があると言われている栄養素に関して、調査した結果をまとめてみました。
- プロテインの質と摂取量は身長に相関がある
- 亜鉛不足の場合、亜鉛サプリは効果的
- ビタミンDは特に身長に関与
- アルギニンは経口接種だとほとんど無意味
- カルシウムの作用はあくまで骨を強くすること
- ローヤルゼリーはどちらとも言えない
各成分について解説する前に、まずは「サプリで身長が伸びない」ことについて、もう少し理解を深めていきましょう。
身長を確実に伸ばすサプリはない
「本当に身長を伸ばす成分がないのか?」それについての答えは、日本小児内分泌学会の「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解という資料を読むのが手っ取り早いです。
現状ネット上で得られる情報としてはかなり信頼できるソース、かつまとまった内容でしょう。
ただし学術用語が多く使用されており、少し専門的で読みづらい内容なので、簡単に要点をまとめてみました。
- カルシウム/鉄/ビタミンDを含むサプリメントは、栄養不足の場合は成長を正常化させる可能性がある。
- 成長ホルモン分泌の促進効果があるとされる物質(アルギニン)を含むサプリメントはほとんど効果が望めない。
- 成長ホルモンを含むスプレー(鼻や口から)はほとんど効果が望めない。
2013年と一昔前の情報であることに引っかかりは覚えますが、論文ベースの内容であるため、信憑性の高い情報と言えるでしょう。
不足している栄養を補うなら身長が伸びる可能性あり
要は「足りない栄養はサプリで補えば、身長が伸びるかもしれない」ということです。
不足している栄養は日々の食事メニューなどからある程度推測できますが、サプリを使う場合、過剰接種で副作用が出る成分もあるため、慎重に行いたいところ。
正確に栄養状態を知るためには採血をして調べるのも一つの手です。
数字として管理できれば、過不足なくサプリを摂取でき、より効率的な身長アップが期待できるでしょう。
プロテイン(たんぱく質)の摂取は効果があるかも
さまざまな論文から推察するに、身長と相関性が高そうな成分がタンパク質です。サプリで置き換えると、トレーニングやスポーツの文脈で登場するプロテインのことですね。
世界105カ国の男性を対象に調査した結果をまとめた論文では、身長とタンパク質の量には高い相関関係がみらることが示されています。
参考文献:Major correlates of male height: A study of 105 countries
横軸:男性の平均身長
縦軸:タンパク質の摂取量/1日
プロット:国名
表をみると、平均身長が高いヨーロッパ諸国(青丸)は、東南アジア諸国(緑丸)の2倍以上のたんぱく質を摂取しています。
また同じ論文内では、平均身長が高い国ほど良質な(肉や魚などの動物性)タンパク質を摂取していることも明らかにされています。
市販されているプロテインのタンパク質の品質は気になるところですが、「肉よりも品質が高い」と表現されることもあるくらいなので、問題無いでしょう。
プロテインは子供が飲んでも大丈夫?
「プロテインは筋肉がつきすぎて身長が伸びなくなる」という噂もありますが、これは学術的な根拠には乏しい意見。
プロテインはあくまで不足した栄養を補う役割なので、子どもが飲んでも問題は全くありません。
ただし、大人向けのプロテインを使用する場合は注意が必要。成人の食事摂取基準値などをもとに栄養素が配合されている可能性があるからです。
栄養過多を防ぐために量の調整が必要になるため、手間を考えると子供むけのプロテインがおすすめです。
高校生ならクレアチンも効果あり
筋トレをしている方であればよく耳にする”クレアチン”。
成長ホルモンの分泌を妨げるコルチゾールを減少させる効果があるため、間接的に身長を伸ばす効果が期待できるとされています。
また骨を急激に成長させる「テストステロン」の値を上げる作用もあり、最強の成分に思われますが、一点だけ利用する上での注意点が…。
クレアチンには骨端線(こったんせん)の閉じを促進する作用があります。
骨端線とは骨の両端にある軟骨層のことで、ここが開いていると骨が伸びる仕組みになっています。
「骨端線が閉じてしまう=身長が伸びなくなってしまう」ことを意味するので、思春期になり身長の伸びが緩やかになったタイミングから使用し、摂りすぎないように注意が必要です。
亜鉛は不足している場合は摂取により効果がある可能性も
論文などから推察するに、タンパク質の次に身長を伸ばす効果が期待できそうなのが亜鉛。
タイで140人を対象とした実験では、亜鉛サプリメントを飲ませたグループではそうでないグループよりも、身長の伸びに半年で1cmの差が出た、という結果が報告されています。
実験対象が「亜鉛欠乏状態のタイ子どもたち」という前提こそあるものの、「ランダム化比較試験」と信頼性の高い手法で行われた実験でもあり、亜鉛と身長は相関があると言えそうですね。
- 偽薬(プラセボ)を摂取した子ども:平均+4.7cm
- 亜鉛サプリメントを摂取した子ども:平均+5.6cm
参考文献:Zinc supplementation enhances linear growth in school-aged children: A randomized controlled trial
亜鉛は、牡蠣やレバー、牛赤身肉など、食卓に頻出しない食材に豊富に含まれているため、不足になりがちな栄養素。
日本人の子どもでも、亜鉛が不足している場合はサプリによる摂取で身長アップのサポートになる可能性は十分にありそうです。
マルチビタミンとの併用も効果あり?
さらに亜鉛に加えてマルチビタミン(ビタミンDを含む)も併用した実験でも、半年で約1.3cmの差がでました。
- 亜鉛/マルチビタミンを内服した子ども:+4.9cm
- 内服していない子ども:+3.6cm
参考文献:Effect of zinc plus multivitamin supplementation on growth in school children
野菜や果物不足と感じるご家庭では、マルチビタミンのサプリを子どもに摂取させてあげることで成長促進につながる可能性がありそうですね。
亜鉛は摂りすぎに注意
亜鉛自体の毒性は極めて低いため、食事からの摂取で中毒になることは考えにくいですが、サプリを利用する場合は注意が必要。
厚生労働省運営の情報サイトによると過剰摂取(1日2g以上が目安)をした場合、激しい副作用が見受けられるとのことです。
過剰摂取した場合、吐き気、嘔吐、食欲不振、胃痙攣、下痢および頭痛などの徴候がみられます。
*出典:厚生労働省、「統合医療」情報発信サイト
以下の安全な上限値を守った上で、適量をサプリから摂取できるようにしましょう。
- 生後6カ月:4 mg
- 生後7-12カ月:5 mg
- 1-3歳:7 mg
- 4-8歳:12 mg
- 9-13歳:23 mg
- 14-18歳:34 mg
アルギニンは成長ホルモンの分泌を助けると言われているが…
成長ホルモンの分泌を助けると言われているアルギニン。
アルギニンの配合量をプッシュしている成長補助食品/飲料の広告もよく見かけますが、サプリメントによる摂取に関して学会は「身長を伸ばす効果がない」と断言しています。
血中のアルギニン濃度はわずかな上昇に留まるのではないかと考えられます。従って、サプリメントの服用で成長ホルモンの分泌が促進するとは考えられません。
引用元:日本小児分泌学会「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解(2013年3月29日公表)
成長ホルモン分泌刺激試験の薬として用る場合、アルギニンを体重1kgあたり 0.5g(つまり30kgの場合は15g)を30分間と短い時間で直接血管内に点滴投与します。
一方サプリの場合は以下のように成長ホルモンの分泌が促進されるほど血中濃度が高まることは考えにくいそうです。
- サプリに含まれるのは200mg~5gの錠剤
- 内服薬(サプリ)なので全てが吸収されるわけではない
仮に成長ホルモンが出たとしても…
また、仮に成長ホルモンが出たとしても、身長を伸ばす効果は期待できないとも学会は結論づけています。
成長ホルモン分泌を促進する効果が明らかな薬でさえ成長を促進することができないことから、薬効が明らかでない「成長ホルモン分泌促進薬」が効くとは全く考えられません。
引用元:日本小児分泌学会「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解(2013年3月29日公表)
「GHRP-2(成長ホルモン放出ペプチド-2)」という成長ホルモン分泌の促進効果が証明されている強力な薬ですら身長が伸びないのに、アルギニンでは一層ありえない。」というロジックらしいです。
ただしアルギニンが体内で作られにくいアミノ酸であることは間違い無いので、広く健康という観点で見ればサプリでの摂取を悲観的に捉えなくても良さそうですね。
カルシウムの効果はあくまで”骨の強化”
「身長を伸ばすといえば牛乳!」のイメージが定着している日本では、身長を伸ばす成分としてまず一番にカルシウムが挙がると思います。
しかしカルシウムは、あくまで骨を強くする成分であり、身長を伸ばす直接的な効果はありません。
特にカルシウム製剤は、成長を促進すると思われていますが、骨を強くする作用はありますが、成長促進作用はありません。
引用元:日本小児分泌学会「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解(2013年3月29日公表)
インスタント食品や清涼飲料水などに多く含まれるリンは、カルシウムの吸収を阻害してしまうので、特に成長期が終えるまではなるべく控えさせたいところです。
また、ナトリウムが多く含まれる食品は尿からカルシウムが排出するのを促すため、過度な塩分を摂取するのも控えた方がよいでしょう。
ローヤルゼリーの効果はどちらともいえない
ビタミンB6を初めアミノ酸が豊富に含まれるローヤルゼリーも紹介しておきます。
2009年セルビアの12際のサッカー少年を対象にした実験では、ローヤルゼリーを摂取した少年の方がそうでない少年たちより、身長の伸びが良かったという報告が。
ただし、ローヤルゼリーに含まれる脂肪酸の一種、「デセン酸」には注意が必要。
男女間の身長差は”女性ホルモン”が原因とまで言われているのですが、デセン酸はその”女性ホルモン”と似た役割をします。
紹介した論文も対象者が25人/観察期間2ヶ月と非常に短いため、ローヤルゼリーに関してはあくまで参考程度に留めておくのが懸命でしょう。
まとめ
最後にこの記事の重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- 身長を伸ばす効果が証明されているサプリはない
- 足りない栄養はサプリで補えば、身長が伸びるかもしれない
- プロテイン(たんぱく質)の摂取は身長に効果があるかも
- 亜鉛は不足している場合は可能性あり
- 亜鉛とマルチビタミンの併用も効果が期待できる
- アルギニンに身長を伸ばす効果はない
- ローヤルゼリーはどちらともいえない
子供が身長を伸ばす上で最も大事なのは、言わずもがな食事と睡眠と運動です。
サプリメントはあくまで栄養の補助という前提を理解した上でうまく活用できれば、身長アップを促進する効果を期待できるでしょう。
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